この商談とは「台米国防産業フォーラム」のことで、台湾の軍事企業でつくる台湾国防産業発展協会と米国の防衛関連企業が技術協力について討論するフォーラムで、毎年秋に米国で開かれている「米台国防工業会議」の関連イベントだという。今回は5月10日、台湾で初めて開催されるそうだ。下記にそのニュースを紹介したい。
中国政府は米国による台湾への武器売却に「断固反対」を表明したが、米国は国内法として1979年1月に制定した台湾関係法で「防御的な性格の兵器を台湾に供給する」(第2条B項5)と定めている。
また、それをさらに補強して2016年7月6日、米国連邦議会の上院は「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」を可決し、この「台湾に対する『6つの保証』」では「台湾への武器供与の終了期日を定めない」ことや「台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない」とも定めている。
米国はこれに加え、トランプ大統領が昨年12月に署名して成立した「2018年版国防授権法」では「米海軍の艦船を高雄など台湾の港に定期的に寄港させること」とともに「水中戦での攻撃能力向上を目指す台湾への技術支援をすること」も定めているのだ。
中国は自国にとって都合が悪いときに「断固反対」を発するが、米国には中国の反対は犬の遠吠えにしか聞こえないか、国内法で定めていることになぜ中国が反対するのか訝しさを増すばかりだろう。
————————————————————————————-来月、軍事企業が協議へ 中国との新たな火種【毎日新聞:2018年4月12日】
【台北・福岡静哉】台湾の軍事企業で作る台湾国防産業発展協会は11日、米国の軍事企業と技術協力を議論するフォーラムを5月10日に台湾で初めて開催すると発表した。今月初旬には、台湾の潜水艦自主建造計画に米企業が商談参加することを米政府が初めて認めたことも判明。台湾との連携を強化するトランプ政権の姿勢に中国は反発を強めており、米中の新たな火種に発展する可能性もある。
同協会によると、フォーラムは軍港がある南部・高雄市で開催。造船▽サイバーセキュリティー▽航空・宇宙衛星の3分野で議論する。台湾メディアによると、米国からはロッキード・マーチン社などを含む15社以上が参加する見通し。米台の軍事企業による会議は毎秋、米国で開かれてきた。台湾でのフォーラム開催は初となる。
台湾側の最大の関心事は潜水艦だ。台湾が保有する4隻はいずれも老朽化が進む。米国はブッシュ(子)政権下の2001年、台湾への潜水艦売却に同意はしたが実現しなかった。中国への配慮とみられる。このため台湾は自主建造を目指している。
だが、潜水艦のエンジンなど一部の技術は海外からの導入が必要であるため、米政府が米企業の商談参加を認めたことで、フォーラムを機に商談が進む可能性がある。ただ、商談が成立しても、装備輸出などは改めて米政府の許可が必要で、技術移転が実際に進むかは不透明だ。
中国外務省の耿爽(こうそう)副報道局長は9日の記者会見で「米国が台湾に武器を売却することに断固として反対する」と強調した。
トランプ政権は台湾との連携を強めており、昨年12月以降、米台の軍艦船の相互訪問検討を盛り込んだ国防授権法や、米台の高官交流を促進する台湾旅行法が成立した。