台湾が自主建造を進める国産潜水艦の装備がすべて調達の見通し

 本誌で何度かお伝えしてきたように、現在、台湾の海軍は潜水艦4隻を保有しているものの、米国製の2隻は1940年代に建造され、2隻は1980年代に建造されたオランダ製とのことで、いずれも老朽化しているそうです。

 そこで、4年ほど前から国産潜水艦の建造に取り組みはじめ、昨年11月24日、蔡英文総統も出席して高雄市にある台湾国際造船において8隻の建造に向けた起工式を行い正式に始動しました。1隻目は2024年の完成、25年の就役を目指しているそうです。

 昨年3月に米国、英国、ドイツ、イタリア、日本、韓国から30人ほどの技術者が渡台したそうで、日本からは潜水艦を造っている三菱重工や川崎重工の元技術者だろうと報じられています。

 このほど「米国から潜望鏡の輸出許可が下りた」ことで「海外からの移転に頼ることが必要不可欠とされている装備が全て調達できる見通しとなった」と中央通信社が報じています。

 制空権を中国に握られている台湾にとって、潜水艦は中国に対する抑止力を高めるための重要な武器です。自主建造のメドが完全に立ったことで、建造に拍車がかかりそうです。

—————————————————————————————–国産潜水艦計画、さらに前進 カギとなる装備、米国が輸出許可【中央通信社:2021年3月15日】

 (台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)政権下で進められている潜水艦の自主建造計画について、米国から潜望鏡の輸出許可が下りたことが15日分かった。軍幹部が明らかにした。これで国内での開発、製造が不可能で、海外からの移転に頼ることが必要不可欠とされている装備が全て調達できる見通しとなった。

 潜水艦建造に必要な部品は調達や製造の困難さでレベル分けされており、潜望鏡は国内での開発、製造が不可能とされている「レッド」の装備の1つ。他にレッドに位置づけられている戦闘システムやデジタル化したソナー(水中音波探知機)システムについては、米からすでに輸出許可を得たと昨年12月に国防部(国防省)の張哲平・副部長により明かされていた。

 台湾初となる潜水艦の自主建造は昨年11月、南部・高雄で本格的に始動。同部の計画では、早くて2024 年に試作艦進水とされているが、軍幹部は目下、最大の障壁は新型コロナだと説明。海外メーカーの訪台時期に影響を及ぼす可能性があることに言及しつつ、作業のペースは現時点では予定通りに進められているとした。

(游凱翔/編集:楊千慧)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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