中国にすり寄る日米媚中勢力とアジアの反発  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2023年7月5日号】https://www.mag2.com/m/0001617134*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付けたことをお断りします。

◆訪中前に玉木知事が物議を醸す尖閣を巡る県議会答弁

 台湾の立法院のトップ游錫●(方2つに土)院長が、フェリーを使って沖縄の与那国島を訪れました。その目的は、表向きは「定期航路開設を含む経済での連携も重要」とのことですが、当然防衛上協力体制を整えたいという思惑もあるでしょう。

 游院長が与那国島を訪問しているまさに同じ日、沖縄の玉城デニー知事は、中国北京を訪問していました。そして、「中国政府商務部の王部長と面談し経済交流の発展に向けて取り組む事を提案し、王部長も知事の提案に賛同したということです。」

 そもそも玉城知事の訪中は、河野洋平・元衆議院議長を団長とする日本国際貿易促進協会の訪中団への参加という形であったため、表向きは経済促進というものです。しかし、尖閣諸島についての県議会での質疑応答が、日本のメディアで注目されています。以下、報道を引用しましょう。

<今回の訪中は、経済交流を目的とし、中国商務省の関係者との交流や政府要人との会談も調整している。その一方で、訪中を前にした先月26日、沖縄県議会では尖閣諸島を巡る知事の発言が物議を醸した。

自民党・大浜一郎県議:「『尖閣諸島は古来より中国の領土だった』その説明を受けたら、知事はどのように答 えますか」

玉城知事:「色々な対応があろうと思いますが、発言しないことも一つの対応。必要であれば、そこで即答しな いことも必要ではないかということも検討しておきたい」

 経済面での連携を重要視する玉城知事は、中国側が尖閣諸島の領有権を主張しても、即座に反論はしない可能性を示唆したのだ。>

 同報道によれば、2013年、中国は「『琉球は明や清の時代に中国の属国だった』『琉球は日本に奪われた』と指摘」。中国は、尖閣諸島だけでなく沖縄の所有権まで主張しているのです。そこへ、玉城知事が北京へやってきて、尖閣の主権を主張せず、経済促進、経済交流を求めるような媚中発言を繰り返すのですから、中国メディアも玉城知事の訪中を大歓迎して、一面で紹介しています。

 台湾有事の際にカギとなる沖縄が媚中的行動を取れば、台湾だけでなく尖閣諸島も沖縄本島も中国のものになる可能性は大きいでしょう。

◆ベトナムのハリウッド映画「バービー」上映禁止には明確な理由があった

 先日、アメリカのワーナー・ブラザースが製作した映画「バービー」がベトナムで上映禁止となりました。理由は、「劇中に登場する地図に「九段線」(中国が南シナ海での領有権を主張するため、独自に設定した境界線)が描写されているため。オランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年、「九段線」には国際法上の根拠がないとして、中国の主権を認めない判断を下していた。」

 ハリウッド映画は、中国での上映による収益を狙いたいために、様々な媚中的なことをしてきました。それでも、中国はなにかと言いがかりをつけては様々な作品を中国で上映禁止にしてきました。

 例えば、「最近では『モンスターハンター』がそうだ。問題となったのは、アジア系アメリカ人のラッパー、オウヤン・ジンが、「俺の膝を見ろ。どんな膝(ニーズ)だ? チャイニーズだ」というシーン。作り手に差別の意図は全くなかったのだが、映画を見た一般観客は、アジア人の子供を馬鹿にする遊び歌を連想し、人種差別だと捉えたのである。この騒ぎが出ると、劇場は次々に上映を取りやめ、初日、中国全土の四分の一ほどのスクリーンで上映されていた同作は、翌日には0.7%しか占めない状況になった。

 制作側はすぐに謝罪し、該当シーンを全世界でカットしたのだが、中国ではそのバージョンも許可されず、上映は打ち切りの状態のままだ。」

 ハリウッドが媚中的な方向で作品を作っているとすれば、映画「バービー」に登場した「九段線」も偶然ではないでしょう。ベトナムの上映禁止の決断は潔く、私はそれでいいと思います。

 日本政府はもっと自国の立場をはっきりとさせる行動を取り、沖縄を守る意識をもっと強く持つべきでしょう。

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※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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