ハタ禁輸でまたもや中国の台湾いじめ  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2022年6月15日】https://www.mag2.com/m/0001617134*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付けたことをお断りします*原題は「自国の非道を他国になすりつけて批判する中国」ですが、本誌掲載に当り「ハタ禁輸でまたもや中国の台 湾いじめ」と改めたことをお断りします。

◆台湾が「国際慣例に反する」中国のハタ禁輸に猛反発

 中国の台湾いじめが止まりません。パイナップル、レンブ、バンレイシに続いて、今度は中華料理の高級魚「ハタ(石斑魚)」の輸入を停止すると発表しました。理由は、禁止薬物がたびたび検出されたためとのこと。

 台湾メディアによると、中国側が主張する禁止薬物とは、「マラカイトグリーン(中国語名:孔雀石緑)」と「クリスタルバイオレット(中国語名:結晶紫)」の2種類で、両方とも禁止薬物に指定されています。この薬物を含んだ魚を長期間にわたって摂取すると、人体に多大な害を及ぼすということです。

 台湾メディアによると、台湾のハタの年産量は約2万トンで、そのうち約6,000トンを中国に輸出しているそうです。

 しかし、台湾側は、そんな薬物は検出されていないと主張しており、双方とも主張は平行線です。産経新聞によると、台湾ではこの件をめぐって以下のような憶測も飛んでいるようです。以下、報道を一部引用します。

<「パイナップルなどの果物と魚のハタは、高雄や台南など台湾南部を産地にしている。中国と距離を置く台湾の与党、民主進歩党の支持者が多い地域として知られる。中国の一連の措置について、民進党関係者は「今年11月に行われる統一地方選挙を念頭に、民進党に対する嫌がらせを繰り返している」と指摘した。>

 台湾は中国のやり方に対し、世界貿易機関(WHO)への提訴を検討しており、「『一方的な措置で、国際慣例に反する』と猛反発している」とのこと。

◆自国の非道を他国に当てはめる中国のやり方

 そもそも、マカライトグリーンは、かつて中国産の養殖ウナギからたびたび検出された薬品です。自分たちが使いまくった禁止薬品を、台湾に当てはめているだけです。

 このように、自国の非道を他国に当てはめるというやり方は、日本軍による南京大虐殺や万人坑といったでっちあげと一緒です。中国の歴史上、自分たちが幾度も繰り返してきた虐殺手法を日本に当てはめて糾弾するというやり方です。

 ロシアとの近い関係を維持し続け、台湾に対する発言がだんだんと過激になってきている中国は、「シンガポールで行われた米中国防相会談でも、中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相が『いかなる台湾独立のくわだても断固粉砕する』と強調した」とのことです。

 今年の秋に習近平の3期目の続投が決まれば、習近平の独裁体制はさらに強化されるでしょう。それに向けた布石としての強気発言で、中国による台湾への嫌がらせは、これからもっとあからさまになってくるかもしれません。

 また、わざわざ台湾独立の企ては断固粉砕すると言っているということは、「台湾独立の企てをでっちあげて粉砕するから覚悟しろよ」と言っているように聞こえます。台湾は、最大限に情報を収集し最新の注意を払って、中国の動きに気を付けるべきです。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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