バイデン政権が台湾に16回目の武器供与 日米首脳最後の会談の懸念は中国問題

バイデン政権は9月16日、軍用機と関連設備の部品の返却や修理、再輸送など総額約2億2800万米ドル(約320億円)の武器供与を国務省が承認して議会に通知したと発表した。

連邦議会の審議を経て1カ月以内にも正式に発効する予定だという。

中国は、戦闘機が台湾海峡の「中間線」越えの空域で頻繁に活動し、台湾への威圧行動を常態化させている。

それは日本にも押し寄せてきている。

防衛省は、空母「遼寧」など艦船3隻が9月18日に沖縄県の与那国島と西表島の間を通過する際に初めて日本の接続水域に入ったと発表した。

中国が得意とするサラミ戦術なのだろうが、気づいたときには滑走路まで作ってしまった南シナ海の二の舞とならないよう、日米の中国への抑止活動は強化されている。

バイデン政権は、政権発足後7ヵ月を経ない2021年8月4日に155ミリ自走榴弾砲40輌や弾薬補給車20輌、先進野戦砲兵戦術情報システム1組などなどの武器供与を決定して以来、今回で16回目の武器供与となる。

バイデン大統領は大統領選を降板した政権末期にもかかわらず、中国はアメリカに対して武器売却など台湾への軍事支援をやめるよう求めているが、それに反発するように台湾への武器供与は加速されていて、今年は2月21日、6月5日、6月18日に続く4回目となっている。

一方、日本でも政権末期にある岸田文雄総理は9月21日にバイデン大統領を訪問し、異例のことながらバイデン大統領の私邸において会談を行った。

岸田総理は「両国はG7、日米豪印、日米韓、日米比等を通じた同志国連携を通じて、『自由で開かれたインド太平洋』を更に発展させていくとともに、こうした協力をグローバル・サウスとの間でも進めていく必要性を強調」(外務省)したという。

また、両首脳は「中国をめぐる諸課題への対応に当たり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致し、中国による東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに反対し、毅然として対応することを確認しました。

また、両首脳は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」(外務省)したそうだ。

日米首脳会談はこれが最後となる。

両首脳の最大の懸念は中国をめぐる諸課題への対応であり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致したという。


米国、台湾への軍事支援発表 約320億円 軍用機の部品修理など【中央通信社:2024年9月16日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202409170002

(ワシントン中央社)米国防安全保障協力局(DSCA)は16日、国務省が台湾に対する軍事支援を決定したと発表した。

支援内容は軍用機と関連設備の部品の返却や修理、再輸送などで、総額は約2億2800万米ドル(約320億円)と見積もる。

国防部(国防省)は17日、報道資料を発表し、今回の軍事支援が空軍が保有する各種機材の装備や戦備、可用性を維持するのに寄与するとし、決定に対して心からの感謝を表明した。

軍事支援は連邦議会での審議を経て、1カ月以内にも正式に発効する見込みだとした。

外交部(外務省)も同日、報道資料を発表し「大いに歓迎する」とコメント。

米国政府が、台湾との関係の在り方を定めた米国内法「台湾関係法」と台湾に対する「六つの保証」に基づいて、台湾の安全へのコミットをし続けているとして感謝を表明した。

(石秀娟/編集:田中宏樹)


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