バイデン政権が台湾に自爆型無人機などの武器供与 15回目

バイデン政権は6月18日、台湾側の求めに応じ、自爆型無人機「スイッチブレード300」720機や小型無人機「アルティウス600M」最大291機など、総額約3億6,020万米ドル(約586億円)の武器供与を国務省が承認して議会に通知したと米国防安全保障協力局が発表。

2024年から2025年までに引き渡す予定だという。

産経新聞は、台湾が「中国との軍事力格差に対応する『非対称戦』で防衛力を高めようとしていて、無人機導入を進めている。

米国からの調達に加え、台湾での開発にも取り組んでいる」と解説。

今回の武器供与はバイデン政権では15回目となり、今年に入って3回目となる。

矢継ぎ早の武器供与の背景には、米国側の審査にかかる時間が大幅に短縮されたことが挙げられる。

米国はこれまで中国が軍事的な圧力を強める台湾に対して武器を供与してきたが、武器製造には一定の時間がかかる。

そこで、緊急性のある武器や軍事物資などを迅速に届けることで中国への抑止力を高めるため、2023年8月から米軍が在庫として備蓄している武器を直接供与する枠組みを活用しはじめたことで、供与までの時間が大幅に短縮された。

下記に、バイデン政権によるこれまでの台湾への武器供与について紹介したい。

・1回目:2021年8月4日 155ミリ自走榴弾砲40輌や弾薬補給車20輌、先進野戦砲兵戦術情報システム1組などなどの供 与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・2回目:2022年2月7日 5年間にわたるミサイル防衛システムの維持、保全、改良を目的とした計画のための軍事関連装置とサービスを供与することを国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・3回目:2022年4月5日 地対空ミサイル「パトリオット」に関する訓練や保守などの技術支援や関連装備の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・4回目:2022年6月8日 中国軍の航空機や船舶による台湾周辺の海域や空域での活動が活発化していることから、軍艦を適切な状態に維持するのに役立つ艦艇用の部品や関連装備など1億2000万米ドル(約160億6600万円)の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・5回目:2022年7月15日 戦車や戦闘車両を補修するための整備に関する技術支援と関連装備として、総額1億800万米ドル(約150億円)規模の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・6回目:2022年9月2日 ミサイル早期警戒レーダーシステム、地上配備型対艦ミサイル「ハープーン」、空対空ミサイル「サイドワインダー」など総額11億ドル(約1530億円)規模の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・7回目:2022年12月6日 F16戦闘機を含む米国の技術を使用した軍用機やシステム向けの部品4億2800万ドル(約585億円)相当の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・8回目:2022年12月28日 対戦車地雷散布装置「ボルケーノ」や重高機動戦術トラック「M977A4 HEMTT」など1億8000万ドル(約240億円)相当の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・9回目:2023年3月1日 F16戦闘機用の対レーダーミサイル「ハーム(HARM)」100発や空対空ミサイル「アムラーム(AMRAAM)」200発、発射装置や訓練用の模擬ミサイルなど6億1900万ドル(約840億円)相当の供与を国務省が承認して議会に通知したと国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

・10回目:2023年6月29日 焼夷曳光榴弾や多目的弾、訓練用弾の各種30ミリ弾とその関連装備、車両や武器、その他関連部材用の予備・修理用部品など総額4億4020万ドル(日本円約637億円)相当の供与を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

1ヶ月後に発効する見込み。

・11回目:2023年8月23日 遠距離の目標に対する偵察と追跡の能力を高めるF16V戦闘機搭載「赤外線捜索追尾システム」(IRST)を5億米ドル(約730億円)で供与する案件を国務省が承認して議会に通知したと国防総省が発表。

案件は1ヵ月後に正式に発効する見込み。

・12回目:2023年12月15日 戦域情報を管理するための通信設備の予備部品の売却や関連する技術支援を行うため、指揮・統制・通信・コンピューター(C4)ライフサイクル支援と関連の装備品など総額3億ドル(約426億)の軍事物資の供与を国務省が承認して議会に通知したと米国防安全保障協力局が発表。

・13回目:2024年2月21日 バイデン政権は台湾側の求めに応じ、軍の作戦情報の共有に用いるデータリンクというシステムの性能向上を目的としたクロス・ドメイン・シナジー(CDS)、全地球測位システム(GPS)受信機、通信機器などの費用や、エンジニアリングおよび技術サポートサービスを提供するため、約200人のアメリカの政府関係者と200人のアメリカの請負業者代表者の台湾への渡航費用などを含む、総額7500万米ドル(約113億円)の武器供与を国務省が承認して議会に通知したと米国防安全保障協力局が発表。

・14回目:2024年6月5日 バイデン政権は台湾側の求めに応じ、F16戦闘機の予備・修理部品や消耗品、付属品などの他、米国政府と請負業者によるエンジニアリングや技術、物流、その他の関連サービスを含む、総額約3億米ドル(約467億円)の武器供与を国務省が承認して議会に通知したと米国防安全保障協力局が発表。

・15回目:2024年6月18日 バイデン政権は台湾側の求めに応じ、自爆型無人機「スイッチブレード300」720機や小型無人機「アルティウス600M」最大291機など総額約3億6,020万米ドル(約586億円)の武器供与を国務省が承認して議会に通知したと米国防安全保障協力局が発表。

2024年から2025年までに引き渡す予定。


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