テニス場から皇居までの60年  馮 寄台(元台北駐日経済文化代表処代表)

本日、日本は令和元年を迎えました。きょうの東京は夜来の雨も上がり、少し肌寒いものの新緑が朝陽に映える清々しくも瑞々しい朝を迎えています。

 昭和から平成の御代替わりは、先帝昭和天皇の崩御という悲しい場面を通してでしたが、平成から令和への御代替わりは譲位という憲政史上初めての場面を通して行われていて、昭和から平成の御代替わりを体験した一人として、一連の御代替わりの儀式を感慨深く拝しています。

 台湾の人々にとっても、この御代替わりには格別の思いを抱かれる方も多いようで、台北駐日経済文化代表処の代表(駐日台湾大使に相当)だった馮寄台氏もそのお一人です。

 産経新聞が連載していた「改元によせて」の昨日、馮寄台氏が「テニス場から皇居までの60年」と題して寄稿しています。

 この中で、東日本大震災から1年後の2012年3月11日に政府主催で行われた「東日本大震災追悼式」に触れ「各国の駐日大使が1人ずつ献花をしたが、台湾の代表だけはその中になかった」と記しています。

 当時の民主党政権下の野田内閣は、台湾を代表して参列した台北駐日経済文化代表処の羅坤燦・副代表を来賓扱いとせず、指名献花からもはずして冷遇したのでした。顔から火が噴き出るほど恥ずかしいとはこのことで、政府の心ない行為に多くの批判が巻き起こりました。

 しかし、この政府の大失態を救い、台湾に感謝の意を表されたのが当時の天皇陛下と皇后陛下(現在の上皇陛下と上皇后陛下)で、4月19日に両陛下が主催された園遊会に台湾代表として馮寄台・台北駐日経済文化代表処代表ご夫妻をお招きになったのでした。

 今でも翌日の産経新聞1面、題字のすぐ下に今上陛下が馮寄台代表に対し、にこやかに話しかけられている写真を掲載し、「陛下、台湾の震災支援に感謝」という大きな見出しで報じていたことを鮮明に覚えています。

 皇室と台湾の接点は皆無といっていい現況で、日本と台湾が昭和47年(1972年)9月に国交を断絶して以来初めて台湾の代表を招かれたのでした。

 下記に紹介する寄稿文で、馮寄台氏は「一生忘れられない園遊会となった」と記しています。馮氏に限らず、日台関係者にとっても「一生忘れられない園遊会となった」のでした。

—————————————————————————————–テニス場から皇居までの60年元台北駐日経済文化代表処代表 馮寄台氏【産経新聞「改元によせて−海外から」:2019年4月30日】https://www.sankei.com/world/news/190429/wor1904290030-n1.html

 日本は明日、「平成」から「令和」となり、全ての国民が喜びのうちに新時代を迎える。1956年、外交官の父が中華民国在日大使館(当時)に派遣され、私は東京・西麻布の小学校に入った。4、5年生のある日、授業が終わると、同級生が当時、皇太子だった明仁さまと美智子さまが麻布のテニスクラブでテニスをされているのを見つけた。私たちは大勢で走っていき、金網越しにその様子を見た。

 小学校卒業後、父は台湾に戻り、父と同じ外交の道を歩んだ私は2006年、駐ドミニカ共和国大使を終えて退職した。その翌年、旧友の馬英九氏が総統選に出馬し、選挙対策チームに加わった。馬氏は当選後、私を駐日代表に任命した。

 11年、日本で東日本大震災が起き、台湾の人々は2億ドル(約222億円)を超す義援金を送った。日本から見れば大した金額ではないかもしれないが、他の国々の支援総額の2倍の額で、日本人は台湾の思いやりに感動した。

 1年後、天皇、皇后両陛下は追悼式に出席され、各国の駐日大使が1人ずつ献花をしたが、台湾の代表だけはその中になかった。このことに多くの国会議員が政府を批判した。古川禎久(よしひさ)衆院議員は、その半年前にも野田佳彦首相に「政府は第三者の顔色をうかがい、真の友人に気づかないふりをしている」と詰問した。世耕弘成参院議員も追悼式での台湾への「失礼な扱い」を追及し、野田首相は「台湾の皆さまには温かい支援をいただいた。その気持ちを傷つけるようなことがあったら、本当に申し訳ない」と述べた。これは1972年の日台断交以来、日本の首相が初めて台湾に謝罪した出来事だろう。

◆忘れられない園遊会

 数日後、(対台湾窓口機関の)交流協会(当時)から通知があり、4月19日に赤坂御苑で開かれる園遊会に招待された。これも断交後、初めてのことだが、日本側は対外的に公言しないよう求めた。

 その日、陛下は私の前に来ると、私の胸の名札をじっとごらんになった。私は思わず「陛下、私は台湾の駐日代表です」と申し上げた。陛下は笑顔になり、私の方に近づかれた。陛下は私が会場にいることをご存じだったのだ。

 陛下は、台湾の支援に感謝の言葉を述べられ、続いて、「日本の生活には慣れましたか」などと聞かれた。陛下がお話を終えて立ち去ろうとすると、皇后陛下が突然、私の妻にとても流暢な英語で「How long have you been in Japan(日本に来て何年ですか)」と話しかけられた。日本語ができないはずの妻は、緊張して「はい。Three years(3年です)」と日英両語交じりで答えてしまい、その後、少しの会話を交わした。

 私と妻は非常に温かな気持ちになった。まさしく震災後、被災者の前に膝をついて慰問をされた天皇、皇后両陛下の姿であった。園遊会が終わる前、私たちはビールを手に取り祝杯を挙げた。その日は私たちの結婚36周年で、一生忘れられない園遊会となった。

 その翌日早朝、交流協会の担当者から電話があり、産経新聞の朝刊を見たのかと問う。事務所に行き産経を開くと、1面トップに陛下が私と話した写真が出ている。見出しは「陛下、台湾の震災支援に謝意」だった。交流協会に電話し、この話は自分が話したものではなく、私を知る産経の記者が私を写真に撮り推測したものだろうと話した。彼らは後に、私が園遊会に参加したことについて、北京は日本に抗議しなかったと伝えてきた。

◆勲章 生涯の最高峰

 馬総統が2期目の当選を果たした翌日、私は辞表を出し台湾に戻った。1年ほど前、交流協会の沼田幹男代表から、私の在任中の日台関係の貢献に対し、日本政府が私に「旭日重光章」を授与すると通知された。私と妻は東京に赴き、皇居で陛下から勲章を授与された。

 小学生のころ、明仁皇太子がテニスをされるのを金網越しに見て以来、皇居で勲章を授与されるまで、私と日本の縁は驚きと栄誉に満ちていた。私の目に映る陛下は、一人の慈悲深い年長者であり、自らの職責を毅然と執り行う人物であった。テニス場から皇居までの60年は、私にとり幼い時の思い出から外交官としての生涯の最高峰までである。陛下の譲位は、私にいくばくかの感傷をもたらした。(寄稿)

                ◇     ◇     ◇

馮寄台(ひょう・きたい)氏1946年、台湾・高雄市生まれ。東京都港区立笄(こうがい)小学校卒。米ハーバード大修士。台湾・外交部(外務省に相当)礼賓局長、駐ドミニカ共和国大使などを経て2008〜12年、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)代表。現在は中国信託銀行(台湾)国際事務最高顧問。


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