この記事でも伝えているように、笠間市は昨年8月23日、台北市内の東豪旅行社内に「台湾交流事務所」を開設し、職員1人と現地職員2人の態勢で臨み、観光客誘致などに取り組んできており、事務所設立1周年を記念して覚書を締結したそうです。
日本の自治体で台湾にオフィスを開設したのは沖縄県与那国町(よなぐにちょう)が初めてで、2007年5月29日に「与那国駐花蓮市連絡事務所」を開設し、駐在員を派遣しています。
続いて、山口県美祢市(みねし)が2012年7月5日「台北観光・交流事務所」を開設。2013年4月22日には都道府県レベルとして初めて静岡県が台北市内に駐在員事務所「ふじのくに静岡県台湾事務所」を開設(駐在員2名、現地採用職員2名)。さらに、高知県が2017年4月1日に「日本高知県台湾連絡弁事処」を開設。そして昨年8月の笠間市の台湾交流事務所」を開設に至っています。
なお、群馬県みなかみ町も、2013年12月13日に台南市と「友好都市協定」を結んだことで台南市に職員を派遣していて、2015年11月からは「公務員交換」により台南市も職員を派遣するようになっています。
笠間市はまた2018年2月28日、「オリパラを契機にスポーツ・ビジネス分野を含めた交流を深めるべく、同市に所在する『宍戸ヒルズカントリークラブ』でのゴルフの事前キャンプやパラ卓球の事前キャンプ誘致を進める」として。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、タイ、エチオピアに続いて台湾のホストタウンに登録しています。
農業委員会農糧署と「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結した同じ7月24日、笠間市の念願が叶い、宍戸国際ゴルフ倶楽部、台湾ゴルフ協会の三者で笠間市における事前キャンプについて「基本合意書」を締結しています。
これは別途ご紹介しますが、農業委員会農糧署との「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」締結により、今後は水戸市や大洗町の小中学校でも給食に台湾バナナが出されるようになるそうです。
このような自治体の交流深化を心からお祝いしたいところですが、台湾ではいまだに福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県からの農産品や食品の輸入禁止を続けていて、茨城県の農産品や食品などは台湾に輸出できない状態が続いています。交流は相互交流にこそ意義があり、茨城県が受け入れるだけの一方通行の交流には素直に喜べないものがあります。
とはいえ、ここは笠間市がそのような状況にもかかわらず積極的に台湾との交流を図っていこうとする姿勢を高く評価したいと思います。また、台湾政府には地域を基準にするのではなく、科学的根拠に基づく輸入に取り組むよう改めて要請します。
—————————————————————————————–台湾と笠間市、バナナ通じて交流促進 連携強化目指す覚書締結【中央通信社:2019年7月26日】
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201907260002.aspx写真:覚書に署名した山口伸樹笠間市長(右から2人目)と胡忠一農糧署長(左から2人目)
(台北 26日 中央社)行政院(内閣)農業委員会農糧署は24日、台北市内で茨城県笠間市と「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結した。農産物取引や人的交流の強化などで相互理解の深化を目指す。これにより笠間市内の小中学校などでは、11月以降に給食で台湾バナナが提供されるようになる。
笠間市は昨年8月、台湾に交流事務所を開設し、観光客誘致などに取り組んできた。事務所設立1周年を記念して覚書を締結したという山口伸樹市長は締結式で、今後はバナナだけでなく、より多くの台湾の農産物を買い付けたいと、交流拡大に意欲を示した。
ゴルフが盛んな笠間市は、来年の東京五輪・パラリンピックに参加するゴルフ選手団の事前キャンプ地や外国人選手を受け入れるホストタウンに登録している。これを踏まえて農糧署の胡忠一署長は、同市との交流促進を通じて東京五輪で各国の選手にも台湾産農産物をPRし、日本市場におけるシェアをさらに拡大させたいと意気込みを示した。
胡氏はまた、日本と台湾は気候が異なるため、農作物が競合しないと説明。日本の高品質な農産物が台湾市場に出回ることを歓迎するとともに、今後の相互協力を地域間から全国レベルに拡大し、深化させることにも期待を寄せた。農糧署によると、茨城県では笠間市のほか、水戸市や大洗町の小中学校でも給食に台湾バナナが出されるようになるほか、つくば市に本社を置く食品スーパー「カスミ」でも試食やPR活動が展開される予定で、台湾バナナの市場開拓につながることが期待される。
(李佳ジン、陳清芳/編集:塚越西穂)