笠間市といえば「笠間焼」を思い浮かべる人も多いかもしれない。また、日航機墜落事故で亡くなった歌手の坂本九が小さいころに過ごした母の実家「九ちゃんの家」がある。合気道に関心のある方には、開祖の植芝盛平(うえしば・もりへい)が創建した合氣神社のある街としても知られている。日本三大稲荷の一つ笠間稲荷神社もある。
これだけでは台湾とのつながりがよく分からないが、これまで笠間ロータリークラブなどが台湾と交流しており、台湾からゴルフに来る利用客も少なくなく、スナッグゴルフによる小学生の相互交流も行っていることなどから、台湾ゴルフ選手団の事前キャンプ地誘致を目指し、また台湾との人的・経済的・文化的な相互交流を図ろうと、本年(2018年)2月、タイとエチオピアに続いて、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウンとして台湾を追加登録している。
昨年3月には台湾ゴルフ協会を訪問し、9月には台湾ゴルフ協会の許典雅会長夫妻と各ゴルフ場支配人など47名が笠間市を来訪している。
この機運をさらに高めようとしたのが今回の「台湾交流事務所」の開設で、3期目をつとめる山口伸樹(やまぐち・しんじゅ)市長によれば「東豪旅行社と業務提携を図り、台湾へ交流事務所を設置し、笠間へ来客を増やすなど観光交流の拡大で経済効果」(市長コラム「笠間市台湾交流事務所の設置」平成30年3月)をはかるという構想だそうだ。
ちなみに、日本の自治体で最初に台湾に事務所を開設したのは沖縄県与那国町(よなぐにちょう)で2007年5月29日のことだった。次いで、2012年7月5日に山口県美祢(みね)市、2013年4月22日に静岡県(都道府県レベル初)、2017年4月1日に高知県と続き、5例目として笠間市の「台湾交流事務所」の開設となっている。
事務所の維持や職員の派遣はかなりの困難を伴うと漏れ聞いており、笠間市の勇気ある決断にエールを送りたい。自治体交流は実利がなければ頓挫する。台湾日本人会や日本台湾交流協会台北事務所などの手を借りながら、経済効果を伴う日台の絆を深めていただきたい。
◆笠間市ホームページ http://www.city.kasama.lg.jp/index.html
◆「台湾交流事務所」開設に関するお問い合わせ 笠間市役所秘書課 電話番号:0296-77-1101 ファックス番号:0296-78-0612 E-mail:info@city.kasama.lg.jp
————————————————————————————-茨城・笠間市が台北に台湾交流事務所開設【産経新聞:2018年8月23日】
茨城県笠間市は23日、台湾で同市の魅力発信や現地のニーズ調査などを行う「台湾交流事務所」を台北市に開設した。同市内で行われたオープニングセレモニーには、関係者ら約140人が出席した。
開設に先立つ22日には、笠間市の山口伸樹市長が台湾の行政院(内閣に相当)関係者を表敬訪問した。山口市長は文化政策などを担う「文化部」の丁暁菁(ディンシャオジン)政務次長(副大臣に相当)と、「中華オリンピック委員会」の宋守智(ツァンソウジ)副秘書長と面会。笠間市と台湾の相互発展に向けて意見交換を行った。
同市は東京五輪で台湾ゴルフ選手団の事前キャンプ地誘致を目指しているほか、台湾との交流事業を推進する「ホストタウン」に認定されている。山口市長は「交流事務所が台湾と笠間市、茨城県との懸け橋となり、さまざまな分野の交流が図られることを期待している」とのコメントを発表した。