【祝】 日本と台湾が「法務司法分野における交流と協力に関する覚書」を締結

 3月16日、予定どおり、日本と台湾は東京・港区六本木の日本台湾交流協会東京本部において、日本は大橋光夫・日本台湾交流協会会長、台湾は蘇嘉全・台湾日本関係協会会長が臨み「公益財団法人日本台湾交流協会と台湾日本関係協会との間の法務司法分野における交流と協力に関する覚書」(略称:日台法務司法分野における交流と協力に関する覚書)に署名した。

 日本側は谷崎泰明・日本台湾交流協会理事長、台湾側は謝長廷・台北駐日経済文化代表処が立ち会った。

 覚書は8項目からなり、「民事、刑事、行政及び商事における法及び法制度等の調査及び相互理解の促進」や「犯罪者の処遇、更生保護及び再犯防止に係る制度及び運営に関する相互理解の促進」が眼目で、署名した3月16日から開始された。

 これで、裁判関係書類の送達や証拠調べに関して協力する「司法共助」や、刑事事件の捜査・公判に必要な証拠の提供に関して協力する「捜査共助」、また受刑者移送にも道が開けることになる。

 覚書の締結は、2020年に台湾側の要請ではじまり、「法務部調査局国際事務処と台北駐日経済文化代表処が中間での調整役を担い、外交部(日本の外務省に相当)、日本の外務省、日本の法務省、台日関係協会、日台交流協会などと3年がかりで取り組み、今回ついに法務司法分野での協力で合意」(Taiwan Today誌)に至ったという。

 日台は法務司法分野でようやく共助関係への第一歩を踏み出した。この覚書は、日台間の司法外交における新たな局面を切り開くことになる。外交関係がないために条約を結べない日台にもかかわらず、覚書締結に至った関係者の労を多とし、心から祝福したい。

 下記に覚書の全文と、Taiwan Today誌の記事をご紹介いたい。

◆日台法務司法分野における交流と協力に関する覚書[3月16日署名] https://www.koryu.or.jp/Portals/0/tokyo/MOU/20230316.pdf

—————————————————————————————–台湾と日本が「法務司法分野における交流と協力に関する覚書」に署名【Taiwan Today:2023年3月17日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=234184&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink

 台湾と日本は近年、「まさかの時の友は真の友」の関係にあり、震災による被災者支援や新型コロナウイルスの感染拡大による防疫面でのニーズのいずれにおいても迅速に助け合うなど深い友情を発揮している。蔡英文総統も、「一緒に努力して世界の新たな情勢に共同で対応し、台湾と日本の友好関係に新たな局面を切り開こう」と呼びかけている。

 こうした中で双方の法務機関がさらに連携、16日には日本台湾交流協会東京本部で、台湾の対日本窓口機関・台湾日本関係協会の蘇嘉全会長と日本の対台湾窓口機関・公益財団法人日本台湾交流協会の大橋光夫会長が、自由・民主・法の支配、及び基本的人権の尊重などの共通の価値に基づき、法務司法分野における協力関係を強化・促進し、互いに信頼出来るパートナーとなれるよう共に努力していくと宣言した。

 この日、双方の会長はそれぞれ台湾と日本を代表して、「台湾日本関係協会と公益財団法人日本台湾交流協会との間の法務司法分野における交流と協力に関する覚書」(略称「台日法務司法分野における交流と協力に関する覚書」)に署名、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表らが署名に立ち会った。署名のセレモニーは簡潔ながら厳かに行われ、双方の関係の一層の深まりと台日司法外交の新たな局面のスタートを象徴するものとなった。

 同覚書の締結は各方面での協力と努力を経て実現した。まず法務部(日本の法務省に相当)の蔡清祥部長(=大臣)が2020年に同部の国際及び台湾海峡両岸法律司(局)に計画を指示したことが始まり。その後、法務部調査局国際事務処と台北駐日経済文化代表処が中間での調整役を担い、外交部(日本の外務省に相当)、日本の外務省、日本の法務省、台日関係協会、日台交流協会などと3年がかりで取り組み、今回ついに法務司法分野での協力で合意、世界の人権保障に向けて大きな一歩を踏み出した。

 法務部では、覚書締結後、双方の法務機関は法規制度の情報交換、専門知識と意見、すでに公開されている資料と刊行物、会議の開催、研究訪問などを通して法務司法分野での連携を深め、双方の人々の権益を守り、公正な法の支配の価値を実現するため共に力を尽くして台日友好の固い友情を具体的に示していくとしている。

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