【祝】 大分県日出町が新竹市と「友好交流協定覚書」を締結

7月4日、大分県速見郡(はやみぐん)日出町(ひじまち)の安部徹也(あべ・てつや)町長は、新竹市政府庁舎において邱臣遠・副市長(代理市長)と「友好交流協定覚書」を締結しました。

今後、観光、産業、教育、文化などで緊密に関係を維持し、手を携えて交流を促進し、双方の関係をより安定させ、長期的な発展を目指すそうです。

帰国後、7月9日に開いた記者会見で安部町長は「かつて世界でも最大のテキサス・インスツルメンツがここにあったということで、できれば半導体企業のTSMCとASE、これに関連する企業が進出していただければということで準備している」と述べ、台湾から半導体関連企業の誘致に向けた意欲を表明していました。

ちなみに、安部町長は今年度から「日台共栄首長連盟」(会長=宮元陸・加賀市長)に加入しており、早速、交流の足場を築いた感があります。

ところで、報道では「友好交流協定」と「交流協力覚書(MOU)」の2つの表記が見られました。

安部町長は記者会見で「友好交流協定を締結いたしました」と述べ、締結した映像の背景にも「大分県日出町と新竹市の友好交流協定書」と大書してありました。

しかし、その背景には新竹市側の表記として「新竹市・大分縣日出町 合作備忘録簽署儀式」(覚書調印式)と大書してあり、新竹市の「市政新聞」も「竹市府與日本日出町簽署MOU」(新竹市と日出町が覚書に調印)と伝えています。

MOUは「Memorandum of Understanding」の略ですから「覚書」や「基本合意書」の意味です。

一般的に、覚書(MOU)に法的拘束力はなく、協定が正式に結ばれる前段階の合意文書を指します。

日出町と新竹市の交流を進めてゆくと合意したことに留まっていて、具体的なことは決まらなかったようですので、本誌では、新竹市側が表記したように「友好交流協定覚書」とします。

都市間提携では協定なのか覚書なのかは重要なポイントですので、いささか詳しく触れました。

この日出町と新竹市の「友好交流協定覚書」は、7月1日の北九州市と高雄市の「都市間の連携強化に関する協定」に続く日台都市間提携で、今年は7件目となります。

また、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結からは171件(本会調査)となりました。

心より祝意を表し、下記に新竹市政府「市政新聞」とNHKニュースの記事をご紹介します。

最後になりましたが、新竹市が市長の高虹安氏ではなく、なぜ副市長が調印式典に臨んだのか疑問に思った方もいるかもしれません。

実は、新竹市の高虹安・市長(台湾民衆党)は、立法委員のときに公設秘書の給与や残業代をだまし取ったとして汚職防止条例違反などの罪に問われ、懲役7年4月、4年の公権剥奪の判決を言い渡されて有罪となりました。

かなり重い刑罰です。

そこで内政部は、高市長の職務を停止し、邱臣遠・副市長(台湾民衆党)を代理市長に選任した次第です。

高虹安・市長は台湾民衆党を離党したとも報じられています。

高虹安・市長は、台湾で起こっている大罷免運動(集団的なリコール運動)では、7月26日に投票が行われる国民党籍の立法委員24人と同じく、リコール投票のための有効署名が集まった唯一の首長です。

◆城市外交再添一●!竹市府與日本日出町簽署MOU 邱臣遠代理市長:多元交流共創雙贏 【新竹市市政新聞:2025年7月4日】(●=椿の春の中の日が臼) https://www.hccg.gov.tw/hccg/app/know/view?module=municipalnews&id=30122&serno=202507040012


大分 日出町と台湾 新竹市が協定締結 半導体企業進出に期待【NHKニュース:2025年7月9日】https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20250709/5070021774.html*動画付き

日出町は世界的な半導体メーカー、TSMCの本社がある台湾の新竹市と友好交流協定を結びました。

町では協定をきっかけに半導体関連企業の誘致などを進めたいとしています。

新竹市は、台湾の北西部に位置し、TSMCの本社など世界的な半導体メーカーが立地しています。

日出町は新竹市を訪問したり、台湾の関係者を町に招待したりするなどして、交流を深めてきました。

その結果、新竹市と今月4日、友好交流協定を結んだということです。

町では今後、台湾からの観光客の誘致や、学生の相互派遣といった交流事業を進めていくことにしています。

また、この協定を契機に町内で増設中の工業団地に、台湾から半導体関連企業を誘致したいとしています。

9日会見した安部町長は、「友好都市協定は観光面や経済面などいろんな分野で町の未来にとって重要な意味を持つ。

半導体工場を日本に移すという流れにしっかりのっていきたい」と話していました。


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