群馬県沼田市出身で「台湾紅茶の父」と今でも台湾の人々から尊敬されている新井耕吉郎(あらい・こうきちろう)を機縁に、6月25日、沼田市と南投県県魚池郷が「交流に関する覚書」を締結しました。
覚書の締結を前にした6月24日、劉啓帆・魚池郷長一行が来日し、沼田市利根町の薗原湖畔に建てられた耕吉郎の胸像などを見学し、その後、市役所に星野稔市長を表敬訪問したそうで、「劉氏は『薗原湖は日月潭の風景と似ていて感動した』と話し、『紅茶の縁を通して、沼田市と国際交流をしていきたい』と期待。
星野市長は『魚池郷との友好関係を一番大切にしたい。
交流が途切れないようお付き合いしていきたい』と応じた」(朝日新聞)そうです。
2016年6月にはすでに当時の魚池郷公所の陳錦倫・郷長一行が老神温泉や新井耕吉郎氏の記念碑(利根町園原)などを巡っていて「今後も沼田市と緊密なつながりを持ちたい」(沼田市フェイスブック)と話していたそうで、その思いが実った形となりました。
◆台湾紅茶の父新井耕吉郎氏の功績に感謝。
台湾魚池郷関係者が表敬訪問 【沼田市:2016年6月20日】 https://www.facebook.com/permalink.php/?story_fbid=1070000306413755&id=989869711093482
ちなみに、奇美実業創業者の許文龍氏は新井耕吉郎の胸像を4体制作し、そのうちの1体をご遺族の櫻井家に寄贈していました。
胸像は、2009年10月に新井耕吉郎の長女の玲子さんが眠る園原の桜井家の墓所内に設置されましたが、2022年4月13日、利根町・園原運動公園内の前に広がる薗原湖を見渡せる場所に胸像と記念碑を移転し、除幕式が執り行われています。
また、胸像と記念碑の移転をきっかけに2022年6月19日に新井耕吉郎顕彰会(星野本三会長)が設立され、日本李登輝友会理事でもある群馬地域学研究所代表理事の手島仁(てしま・ひとし)氏が基調講演しています。
沼田市と魚池郷の「交流に関する覚書」締結で、日台の都市間提携は、6月10日に北海道勇払郡むかわ町と台南市左鎮区の「友好交流協定」を結んでから今年は5件目となります。
また、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結からは169件(本会調査)となりました。
心から祝意を表するとともに、下記に東京新聞の記事をご紹介します。
「台湾紅茶の父」つなぐ縁 沼田市と魚池郷、交流へ覚書交わす【東京新聞:2025年7月3日】https://www.tokyo-np.co.jp/article/417137
群馬県沼田市は6月25日、台湾有数の観光地、日月潭(にちげつたん)がある南投県魚池郷と交流に関する覚書を交わした。
今後3年間で観光、教育文化、産業の各分野で交流を深め、発展させていく。
魚池郷には戦前、同市利根町出身の新井耕吉郎(1904〜46年)が日本人最後の支所長を務めた紅茶試験支所が置かれた。
新井は台湾最大の湖、日月潭の湖畔の盆地が紅茶の産地になると確信して研究を進めたことから、「台湾紅茶の父」とたたえられる。
この縁で同町の老神温泉関係者と現地との民間交流が続いている。
沼田市内のホテルで覚書に署名した星野稔市長は「この縁を大切に、交流を大きく育てたい」、劉啓帆(リュチファン)郷長は「新井先生のおかげで紅茶の一大産地となり観光客も訪れる。
沼田への観光も呼びかけたい」とあいさつした。
歓迎会に招かれた新井の孫の桜井克義さん=榛東村=は「耕吉郎も故郷に貢献できて喜んでいると思う」と話した。
。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。