和田有一朗・衆院議員の予算委員会における台湾問題質疑の全文

 本誌2月13日号で、1月17日から開かれている第208回国会(常会)の衆議院予算委員会において、2月8日(火)午前、日本維新の会所属の和田有一朗(わだ・ゆういちろう)議員が台湾問題について質問したことを伝え、インターネット審議中継のURLをご紹介しました。改めて質疑URLをお伝えするとともに、予算委員会「速記録」から質疑の全文をご紹介します。

 なお、この速記録は、今後、訂正、削除が行われる場合があり、正規の会議録ではないことをお断りします。

・和田有一朗議員の予算委員会質疑[2月8日11:11〜11:29] https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53536&media_type=

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○根本委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。  次に、和田有一朗君。

○和田(有)委員 日本維新の会の和田有一朗でございます。 国会で初めて質問をさせていただきます。大変緊張をいたしております。この場に至るまでにお力をいただいた全ての方に感謝を申し上げつつ、質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、せんだって、小松基地を飛び立った航空自衛隊の隊員の方が今もって行方不明のままです。一日も早い救助、救助されることをお祈りしまして、私からは質問に入っていきたいと思います。

 せんだって、前原先生が、昨日ではなく、そのもう一つ前の質問のときに、最初にこう切り出されました。最も尊敬する政治家は、こういうふうに言われました。誰かなと思って、私、後ろでおりまして、身を乗り出したんですが、?小平さん、こういうふうに言われました。ああ、なるほどと。そうですかという感じで。

 私は、台湾を民主化した李登輝先生を尊敬しております。政治家というよりは、明治の気骨を持った偉大な人物、政治家の枠組みに入らない人だなというふうに思っております。

 今、その台湾が大変揺らいでおります。大変、皆さん、緊張が走っているところがございます。台湾有事と言われることです。そういったことについて質問をしていきたいと思います。

 台湾有事は、日本有事、すなわち日米同盟の有事に直結すると私は認識しています。我が党の馬場代表は、衆議院の代表質問において、台湾有事において、岸田総理に見解をただしました、私には、答弁で総理が、台湾海峡の危機について直接的な言及を避けているな、そういうふうなイメージを持ちました。このことは素通りすることがあってはならない、政府の姿勢はどうも台湾のこの有事に関して甘いのではないのかなというふうな気が私からはしております。

 総理は、我が党の馬場代表の質問に対して、台湾海峡をめぐる情勢も念頭に、中国との間で諸懸案を含めて対話を重ねていくというふうに答弁をなさったわけですが、台湾有事は諸懸案なんでしょうか。私はもっと重大な問題だと思います。

 一体、台湾有事とは何なんでしょうか。私は、イメージとして、やはり中華人民共和国、中国が武力侵攻してくるとか、そういったことをどうしてもイメージいたします。

 現在の台湾有事に対する認識というものをどのように政府は思っておられるのか、まず、お伺いします。

○林国務大臣 両岸関係については、経済分野を中心に深い結びつきを有している一方で、その軍事バランスは、全体として、中国側に有利に変化をしてきておりまして、その差が年々拡大する傾向が見られるところでございます。

 中国による台湾への武力侵攻の可能性については、事柄の性質上、お答えは差し控えますが、台湾海峡の平和と安定、これは我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であると考えております。

 台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場でございまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き、関心を持って注視をしてまいりたいと思っております。

○和田(有)委員 今お答えありましたけれども、やはり、台湾有事は日米同盟にも直結する話だと思います。要は、断固として私たちは力による現状変更は認めないという姿勢をしっかりと示していくことが大事だと私は思うんです。そのメッセージを発していくことがやはり私たちには求められている。日本は、しっかりとこの台湾海峡にコミットをしていく、そのことによって、断固として力による現状変更は認めないということを示す必要があると思います。

 時間がないので、もう次々質問を繰り出してまいりますけれども。そういう中で、じゃ、何ができるんだということになってくるわけですが、次の質問は、台北駐在武官の増員についてであります。

 我が党の馬場代表は、総理にこうも問いました。台湾とも、対中国で共同で対処していく道を公式に模索していくべきではないかと。これに対して、総理からは、台湾との関係は、非政府間の実務関係を維持していく、日台間の協力と交流の更なる深化、深めていくという意味ですね、を図っていく、このように答弁があったんですが、その中で、具体的に、私、聞きたいんです。

 現在、台湾の首都台北には、日本台湾交流協会台北事務所というのがあります。ここには、実は外務省や経産省の現役の公務員の方が派遣されているんです。彼らの身分は、台湾交流協会の職員ということで出向扱いでございます。

 一方で、防衛担当者に関しては、現役の自衛官はおりません。自衛隊を退官したOBの方、昔風に言いますと、いわゆる退役将校の方がたった一人駐在しているだけなんです。台湾海峡の緊張が高まって、台湾有事の具体的な安全保障上の課題となっていく中で、こんな体制でいいんでしょうか。そしてまた、私の見方ですけれども、中国に配慮をしてこういうことをしているんじゃないかと私には思えてしまうぐらいです。

 非政府間の実務という枠組みで既に他省庁では実現しているわけですけれども、防衛分野でも、現役の自衛隊の皆さん、それも、情報収集したりすることにたけたような方、陸海空一人ずつぐらいでも増員をして配置すべきだと思いますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。

○岸国務大臣 今委員御指摘のとおり、日本台湾交流協会においては、現在一名、自衛官OBの方が一名、台北事務所で勤務していると承知をしております。当該自衛官OBは、日本台湾交流協会の業務の一環として様々な情報収集等の活動を行っているものと承知をしております。

 台湾というのは、我が国にとっても、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係で、人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でもあります。

 中台の軍事バランスについて、先ほど外務大臣からもお話がございましたけれども、防衛省・自衛隊としては、中台の軍事動向について、引き続き、強い関心を持って情報収集、分析を続けてまいります。

○和田(有)委員 具体的な、当然、答弁はなかったわけですけれども、以前、私が承知する範囲では、大臣は、大臣としてではありません、政治家として、この点について御発言をなさったことがあったと思います。現役武官の方をしっかりと配置をする、これがやはりメッセージに私はなると思うんです。我々は台湾にコミットするんだ、そして、絶対に力による現状変更は認めないんだということは日本は示しているということを示すメッセージとなると思いますので、是非とも前向きに検討をしていただきたい、こう思います。

 続きまして、駐日台北代表処の名称表現についてお伺いしたいと思うんです。日本には、台湾政府のいわば大使館に当たる駐日台北代表処というのが東京にあります。白金台にあります。これは台北代表処なんです。何か、知らない人が聞きましたら、台北市の東京事務所みたいなんですよ。私は神戸から来ているんですけれども、神戸市がシアトルに事務所を置いているようなふうにしか取れない。実際には大使館業務をやっているわけです。これに関して、やはり私たちはそろそろ考え方を変えるべきではないかと思います。

 今般、アメリカでも同様の話がありまして、駐ワシントンの台湾の代表処、これは名称が台北代表処らしいです、やはり。でも、これをやはり、米台間の関係を深化、深めていくためには、台湾代表処にしてもらっていいんじゃないかという議論が起こっているそうです。

 日本においても、台湾との関係を深化するのであれば、この台北代表処の名称を台湾代表処に変えることをお認めになってもいいのではないですか。いかがでしょうか。

○林国務大臣 今お話のありました台北駐日経済文化代表処でございますが、これは日台間の実務関係における台湾側の民間の窓口機関でありまして、その名称につきましては台湾側が定めるものでございますので、日本政府としてコメントする立場にはないわけでございます。

 その上で申し上げますと、台湾は、日本にとって、基本的価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーでございまして、大切な友人であります。

 例えば、新型コロウイルスの感染拡大という未曽有の困難に直面する中においても、日本から台湾への四百二十万回分のワクチン供与、台湾から日本へのマスクや酸素濃縮器の供与等、日台の関係は更に深まっております。

 そうした中にあって、台北駐日経済文化代表処は、その名称のいかんにかかわらず、大きな役割を担ってきておると承知しております。引き続き、台湾に関する我が国の基本的立場を踏まえながら、日台間の協力と交流、更なる深化を図ってまいりたいと考えております。

○和田(有)委員 これは台湾側が決めることだと今この場で御発言なさいました。ならば、そうお願いしましょうよ。それでいいじゃないですか。私はそう思います。

 いずれにいたしましても、関係各位の御努力をお願いして、次の質問に移ります。

 戸籍において、台湾出身の方が、国籍欄に中国と書かれていることについてです。

 どういうことかといいますと、台湾の方が日本人と結婚をして、その戸籍を上げますと、元々の国籍欄が中国と書いているんです、中国。これ、私たちから見たら、普通、中国と見ましたら、中華人民共和国ですよ。台湾の方は皆さん、きょとんとするわけです、えっ、私は中国人じゃない、台湾人だと。それがやはり今の台湾の多くの皆さんのアイデンティティーだと思うんです。

 せんだってのオリンピックで、入場行進で随分と議論になりました。中国台湾、中国香港、これは中国共産党が統べる、統治する中華人民共和国の中の一行政区だというのが彼らの主張であります。いや、それは確かに、私も、日華断交、日中共同声明のときのいろいろな経緯とかは知っていますけれども、何も私たちはそのことにとらわれることはないと思うんです。

 まして、中国と国籍が書かれている戸籍謄本を持って、いろいろな免許証を取ったりするときがあるんです。例えば調理師の免許を取るときでも、役所のいろいろな手続で、添付書類を出してくださいというものがあって、戸籍をつけたりする。そのときに、中国と出てくるわけです。これはやはり、私から思うと、台湾の方に対して失礼ですよ。やはり台湾の方の人権問題だと私は思うんです。ですから、この表記を変えることはできないか。

 今まで、これが出たのは、昭和三十九年の民事局長通達から始まっています。日華断交前です。それ以降、第一次安倍政権のときに、自動車の免許の相互運用とか、あるいは、台湾との関係、台湾だけではありません、外国人登録証の表記の問題とか、我々は知恵を使って乗り越えてきているはずなんです。それができないんでしょうか。

 国籍の欄に台湾と書けないことは、私はいかがかと思いますが、御答弁を求めます。

○古川国務大臣 御指摘のとおり、日本人と婚姻をした台湾出身の配偶者の国籍欄には中国と記載をしております。

 そもそも、日本人が外国人と婚姻をした場合には、日本人の戸籍に配偶者である外国人の国籍に関する事項を記載する必要がございます。日本人が台湾出身の方と婚姻をした場合には、その国籍については、我が国が国家として承認しているところの中国と記載をしております。

 委員の御指摘につきましては、台湾に関する我が国の立場などを踏まえまして、慎重に検討する必要があるものと考えております。

○和田(有)委員 慎重に検討するということですので、検討してください。そして、前向きに物を進めていただきたいと思います。

 時間がありませんので、次に行きます。

 なぜこんな問題が今まで出てくるかというと、それは、我が国と台湾の関係を規定する法律がないからだと私は思うんです。アメリカはちゃんと持っています。アメリカと台湾に関係することを決める法律を持っています。日本も法治国家です。台湾も法治国家です。同じ民主体制を取る、同じ価値観を有する国です。ですから、法律で規定しないと、これは何もできない。

 自民党の高市政調会長さんですかね、今、肩書は。高市さんが、この間、ホットラインを結べばいいと言った。しかし、ホットラインを結ぼうと思ったって、法律の規定がないから、公的には何もできないんです、現実には。これは、何かあったら、台湾の総統がツイッターでぴゃぴゃっと書いて、私たちがぴゃぴゃっとツイッターで返すしか方法はないんです、現実には。これでは、この状況の中で、いかがかと思います。台湾と日本を規定する法律を作るべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○林国務大臣 台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、日中共同声明を踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものでございます。政府としては、こうした基本的立場に基づいて、これまでも、経済を始めとする幅広い分野で台湾との実務的な協力関係を積極的に推進してきております。

 台湾との関係に関する枠組み等については、様々な御議論があることは承知しておるところでございますが、政府といたしましては、以上の基本的立場に基づき、引き続き、台湾との間で幅広い実務関係を発展させていく考えでございます。

○和田(有)委員 もう時間が私はありませんので、あと、たくさん質問を用意しておったんですけれども、野田大臣も末松大臣もわざわざ来ていただいておりますが、申し訳ありません、そこまでは参りませんでした。

 やはり、今日の新聞、書いていますよ。台湾は日本の食品を輸入解禁するそうです。今日発表すると書いています。台湾の皆さんは応えてくれているんです。私たちも台湾の皆さんに何か応えなきゃいけませんよ。私たちにとってやはり最も、恐らく、私は思うに、最も世界で信頼ができて、そして友情があって、お隣にいる台湾の皆さんに私たちはしっかりと応えていかなければいけない。

 私、次に、実は、領土問題で、尖閣のことをお聞きしようと思っていたんです。実は、現職の国会議員の中で恐らく私がたった一人、尖閣、魚釣島に上陸した経験のある国会議員だと思います。

 今の日本政府の中国と向き合う姿勢というのは、どれを見ても、どうも、まあいかがなものかなと。もう少しはっきりとした態度を打ち出すべきではないかと私は思います。そのために、台湾有事は起こしてはならないんです。起こさないために、メッセージを出していかなければならないんです。そのために、幾つかの方策を私は提案もいたしましたし、質問をさせていただきました。

 残ったものは別の機会にさせていただきます。ありがとうございました。

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