昨年10月の総選挙で当選したばかりの和田有一朗・衆議院議員が2月8日に予算委員会で質疑して以来、所属する外務委員会で立て続けに台湾問題について質疑しています。
3月23日の外務委員会では、台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)加入、日本との自由貿易協定(FTA)締結、日中共同声明の第3項と第6項について質疑しました。
下記に「議事速記録」から質疑と政府答弁の全文をご紹介します。 ◇ ◇ ◇
○和田(有)委員 (前略) 次に、こういう状況の中で、やはり多くの国民が、先ほど来ほかの委員の方からも質問がありましたけれども、これは他人事ではない、対岸の火事ではないんだ、これは極東アジアに飛び火する可能性がいっぱいある、こう思っている方がたくさん、国民の方、世論調査を見たって出ているわけですね。
そういう中で、私たちが取り組めることは何かということは、やはり、我が国の一つの意思として、力による現状変更は認めないんだというメッセージを出すこと。そのメッセージを出すためには、やはり一つは、台湾と我々はしっかり連携しているよというような意思表示をすることだと思うんですね。それは、もう私、予算委員会でも申し上げましたし、この外務委員会でも何回かさせていただきました。
その中で、やはり一つのメッセージとして大事なのが、台湾を国際社会に迎え入れをする。そういう中で、現実には例えばTPPの加盟の問題があります。このことをお聞きしようと思うんですね。
台湾の蔡英文総統は、しっかりとルールをクリアして、我々はCPTPPに加盟をしていくんだ、そういう申請をしていくんだというふうな意思表示もなさっておられます。実際、輸入禁止措置を全面撤廃もされました。片や、大陸中国、中華人民共和国は、同様に申請をしていますけれども、いまだもって日本の禁輸をしているわけですね。
そういった流れの中で、じゃ、台湾が加入をしていくために今後乗り越えなければいけない課題というのは何なんだろうか、どうお考えかをお伺いします。
○林国務大臣 今委員からお話がありましたように、このTPP11への加入申請、既に台湾からあったわけでございまして、我が国として歓迎をしておるわけでございます。そして、蔡英文総統が全てのルールを受け入れる用意があるとの決意を指導者として自ら示していることにつきまして、肯定的に受け止めております。
我が国としては、台湾がTPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているかどうかについて、まずはしっかりと見極めていく考えでございます。この加入申請を提出したエコノミーの扱いについてでございますが、これはほかの参加国ともよく相談する必要がございますけれども、我が国としては、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていく、こうしたTPP11の意義を参加国と共有しながら、戦略的な観点や国民の理解、こうしたものも踏まえながら引き続きTPPの議論を主導していきたいと考えております。
○和田(有)委員 様々なハイスタンダードなもの、要件を満たし、国民の理解も大体整ってきていると私は思うんですね。専門的なことに関しては分からないことはありますが、国民の理解だって、特にこのウクライナ危機の中にあっては、恐らく多くの国民は目を転じたときに理解があるだろうと思います。
他の批准国と台湾はもう二国間協議に入っているというふうに報道等では聞くんですけれども、日本とはどうなっておりますか。
○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。
台湾との間では、双方の民間窓口機関の間で経済貿易分野についても幅広く対話が行われてきていると承知しております。本年一月及び二月に開催されました日台貿易経済会議におきましても、TPPを含め、日台それぞれが関心を有する経済課題について意見交換を行ったと承知しております。
我が国といたしましては、引き続き日台経済関係の強化に向けて台湾側と意見交換を行っていく考えでございます。
○和田(有)委員 この批准国とする二国間協議に日本は入っているというふうに私は今の御答弁で感じるわけですね。しっかりと、では進めていただきたいと思うんです。やはり同じ理念を持つ、経済ベースを持つ両国でありますから、しっかりとこのTPP11、今のCPTPPに入っていただけるように進めていただきたいと思うんですが、この点について、大臣、何かお考えはありますでしょうか。
○林国務大臣 台湾、TPPについて先ほど具体的な話を政府参考人から答弁いたしましたけれども、まさに台湾は我々と、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーであると考えております。先ほど申し上げましたように、こうした台湾の加入申請を歓迎しておるわけでございます。
したがいまして、具体的なプロセスは、これは我々だけではなくて、先ほど申し上げたように、参加国と議論しながら進めてまいらなければならないわけでございますけれども、引き続き日台経済関係の強化に向けて台湾側と意見交換、これを行っていきたいと考えております。
○和田(有)委員 しっかりお願いします。
そこで、先ほど政府参考人からも日台両国の貿易を大いに促進すべしという言葉があったように、ここでFTAの、台湾とのFTA締結についてお伺いしたいと思うんですね。これも随分と国民的に議論が出る中でなかなか進んでいるように私には思えないんですが、ここに課題があるとしたら何なんでしょうか。
○林国務大臣 我が国と台湾との間ではこれまでも、例えば投資や二重課税防止、知財など様々な分野において、双方の民間窓口機関の話で対話や民間取決めを積み上げることによって具体的課題に対応して経済関係の強化、これを進めてきております。
事柄の性質上、御指摘の点について予断を持ってお答えすることは差し控えますけれども、いずれにしても、日台間の経済分野における具体的課題への対応を含めて日台の経済関係強化の在り方につきましては、我が国の台湾との関係に関する基本的な立場、これを踏まえつつ、幅広い経済関係を視野に入れながら検討を進めていきたいと考えております。
○和田(有)委員 分かりました。しっかりと進めていただきたいと思います。
ここからは、あと残り時間を若干使いながら、どうしても、今まで私が林大臣にいろいろなことを台湾の関係でお聞きしたら、基本的な日台間の立場を云々とか、どうも奥歯にはまったような御答弁になる。特に外務省の政府参考人の方は、そのことを先ほど松原委員が聞いたときに、木で鼻をくくったようなすぐ答弁になる、こう言うんですが、私に対しても、このことを聞くと必ず日中共同声明の下に何とかかんとかという木で鼻をくくったような答弁になるわけですね。
改めて、私、ここでもう一回この日中共同声明についてお伺いしたい、こう思うんです。
この日中共同声明なるもの、これはいろいろな文章があるわけですけれども、その中に、結局皆さんが言われるのは、要は、結んだときのこの声明に、この中に、「中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、」という言葉が出てくる。これは、確かにこういう言葉はありますけれども、これについてはいろいろな物の見方が出てくるわけですよ、やはり。これは何も相手の言っていることを全く認めたわけではないんじゃないんですかね。そう私はやはり思う。
その点について、一遍きちっと、もう一度、木で鼻をくくった答弁ではなく、しっかりと一度お聞きしたいと思うんです。
十分理解、尊重するということは、台湾が中華人民共和国の領土、不可分の領土であるということを承認したこととおっしゃっているんですか、皆さんは。いかがでしょうか。
○林国務大臣 台湾に関する我が国政府の立場でございますが、今委員からお話があった一九七二年の日中共同声明第三項にありますように、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するものでありまして、こうした我が国の立場は変わっていないわけでございます。
そして、この一九七二年の声明にあるとおり、さらに、「尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と規定をしておるわけでございます。
我が国は、日本国との平和条約第二条に従って、台湾に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置づけに関しての独自の認定を行う立場にはないというのが立場でございます。
○和田(有)委員 幾ら聞いてもこういう御答弁になるわけですね。
尊重するんだという言葉は承認するということではないというふうに、私は、今おっしゃられた答弁から受け取るんですね、そうなると。そうならば、いわゆる一つの原則、一つの中国という原則に我々は従う必要はないと私は思うんです。尊重はするけれども従う必要はないんですと私は理解します。今の私と大臣とのこの質問と答弁を聞いている限り、私はそう思うんです。
その点について、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今委員からお話がありましたけれども、私が先ほど御説明したとおり、我が国政府の立場というのは申し上げたとおりでございまして、これは変わっていないわけでございます。
台湾海峡の平和と安定というのは、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題、これが対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来から一貫した我が国の立場でありまして、そのような立場から、台湾をめぐる情勢について、引き続き関心を持って注視をしてまいりたいと考えております。
○和田(有)委員 これは幾ら繰り返しても同じ言葉と同じ言葉になる可能性がある。
だから、ちょっと時間が今日はもうまた来ちゃったのであれですが、じゃ、その中で、こういうのもあるんですね。第六項というのがあるんですね。お互いに威嚇しないというようなことを言っている。
じゃ、どうでしょうかね。例えば、去年の十月ですかね、中国の海軍は、ロシアの海軍と一緒に、対馬海峡を通ったりしていますね。まさに威嚇しているんです、日本を。既にそのこと自体で、この日中共同声明について、中国自らが、何というんでしょうか、乗り越えてしまっている部分があるように私は思うんですが、その点について、いかがお考えになりますか。
○林国務大臣 今先生からお話しのありました日中共同声明第六項でございますが、「日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」、こういう旨を規定をしております。
先ほどはちょっと場所を聞き漏らしましたけれども、例えば尖閣諸島について申し上げますと、これは歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であって、同諸島をめぐる解決すべき問題はそもそも存在しておらないわけですが、その上で、中国海警船舶が累次にわたって尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入して日本漁船に接近しようとする動きを見せていることは、断じて容認できないわけでございます。
尖閣諸島周辺の我が国領海内で中国海警船舶が尖閣諸島に関する独自の主張や我が国の主権と相入れない活動をすることは、国際法上認められた無害通航に当たらず、国際法違反である、こういうふうに考えております。
○和田(有)委員 もう時間が来たから終わりますけれども、今大臣もはっきりと、国際法上違反をしている行為である、そういうことを言われるということは、やはり、外務省の皆さんは余りにも中国に今まで気を遣い過ぎているんじゃないか。そういう言葉すら発しない状況で来た、それがやはり国益を損ねてきたんじゃないかと私は思うんです。
やはり、断固として言うべきことは言うし、態度で示すべきものは示さなきゃいけない。何か奥歯にはまったようなことを言って、何か言うと相手を刺激をして緊張感を高めてしまうというふうな何か感覚に陥っている。それでは、やはり私は、パラダイムシフトが起こってこれから新しい時代に入っていく世界の国際情勢の中で、極東アジアの平和と安全を我々が守り切ることは難しいんじゃないかと思いますので、しっかりと、中国に対しては断固として向き合っていただくという姿勢を取っていただきたい。
今日はこういうことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
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