毎年年末に、本会調査による協定や覚書締結について本誌で発表しておりますが、昨年くらいから、日台交流の質的変化が起こっているようです。
これまでは自治体同士の姉妹提携や友好協定提携などの都市間提携や学校同士の姉妹提携が目立っていましたが、昨年から企業や自治体が大学や研究所などと連携する産学連携が顕著になってきています。
CyberZと世新大学(2月)、高千穂の旅館「神仙」と静宜大学(4月)、富山県立山町と新竹市の中華大学観光学院(6月)、東京都市大学と資訊工業策進会(10月)、東京大学と台湾積体電路製造(11月)の5件ありました。
ちなみに昨年は、JR四国と高雄の高苑科技大学(3月)、東京電力パワーグリッドと国立成功大学(6月)、静岡県のグラウンドワーク三島と国立雲林科技大(10月)、藤枝市と遠達国際企業(10月)、青森県と台日商務交流協進会、台北市進出口商業同業公会(12月)の5件でしたから、今年もこの傾向を受け継いでいるようです。
この動きに比べますと、2016年には14件、2017年には18件、2018年には9件結ばれていた日台間の都市間提携ですが、今年の都市間提携は、富山県射水市と台北市士林区(7月)、宮崎県高千穂町と花蓮市(10月)、名古屋市と台中市(10月)、盛岡市と花蓮市(11月)の4件にとどまっています。
やはり日台間の交流のベースは都市間提携にあります。姉妹都市や友好都市の提携内容にほとんどの自治体が青少年交流を入れているからです。それを証明するように、8月に文部科学省が発表した平成29年度(2017年度)の「高等学校等における国際交流等の状況について」では、日本から台湾への修学旅行生はなんと5万人を突破して5万3,603人で、学校数も332校でダントツの1位でした。2位アメリカの2万8,335人(208校)のほぼ倍となっていました。
日台の都市間提携は1979年10月以来の41年間で、今年でちょうど90件目(本会調査)で、東日本大震災の翌2012年以降は72件にも及び、この8年間で全体の80%を占めるに至っています。
国交がない日本と台湾は、人々の往来もさることながら、自治体同士の交流がその絆を深めてきました。来年に期待したいと思います。
総括して、今年もまた日本と台湾は「最良の関係」をさらに深めた1年と言ってもいいかと思います。下記にこの1年間に結ばれた主な提携をご紹介します。また、2013年以降の日台間の鉄道提携には目覚ましいものがあり、改めて別掲でご紹介します。
今年1年、皆様には本当にお世話になりました。改めてご支援に感謝申し上げます。来年が皆様にとりまして素晴らしい年となりますようご祈念申し上げます。
—————————————————————————————–2019年の日台交流
01月15日九州大学と台湾科技大学が院生のダブル・ディグリーを含む「大学間協定」を締結。
01月日本のパネル検査機器メーカーのシステム・ジェイディーと台湾の光宇材料が廃棄太陽光パネルを繊維にリサイクルする協力態勢を確立(2018年3月28日に覚書締結)。
01月27日謝長廷代表が全日本台湾連合会の新年会で「日台交流基本法」の制定推進を表明。
01月29日本会から台北日本人学校へ寄贈の河津桜苗木が天壽里長に寄贈され蘭興二号公園に植樹。
01月31日自宅で転倒して入院中の李登輝元総統が退院。
02月16日金沢市の花園地区町会連合会と台南市の六甲区林鳳連合町会が「友好交流協定」を締結。
02月19日CyberZと世新大学がスマートフォン広告のトレンド分析・共同研究で産学連携。
02月20日つくば研究支援センターと工業技術研究院産業サービスセンターが「相互協力覚書」を締結。
03月02日産経新聞が安全保障問題で日本政府との対話意向を表明する蔡英文総統談話を掲載。
03月08日鹿児島銀行が台北市信義区のオフィスビル交易広場に「台北駐在員事務所」を開設。
03月12日中国文化大学が「日本研究センター」を設立。14日の開幕セレモニーで国際学術フォーラム。
03月14日楽天とPChome Onlineが「戦略的業務提携」を締結。
03月15日和歌山市と台北市が「交流促進覚書」を更新。
03月18日ジェトロ・アジア経済研究所と台湾アジア交流基金会が「連携に向けた覚書」を締結。
03月19日大阪市港湾局と台湾港務が「パートナーシップ港に関する覚書」を締結。
03月19日日本台湾交流協会高雄事務所が嘉南農田水利会、高雄寿山ロータリークラブ、屏東科技大学水資源教育及研究中心に感謝状を贈呈。
03月28日H.I.S.と晶華国際酒店集団が「台湾ビジネス支援事業の連携と協力に関する提携」を締結。
04月02日高松空港と桃園国際空港が「提携協定覚書」を締結。
04月03日産経新聞が「李登輝秘録」の連載を開始。
04月16日島根の一畑電車が台湾鉄路管理局と「友好協定」を締結。
04月16日高千穂の旅館「神仙」と静宜大学が「産学協定」を締結。
04月19日JCBと高雄メトロがクレジット決済の「業務提携覚書」を締結。
05月09日みずほ銀行と台湾貿易センターが「日台企業の連携に関する覚書」を締結。
05月11日日本安全保障戦略研究所と台湾戦略研究学会が「日本と台湾の安全保障議論の活発化を目指す覚書」を締結。
05月19日台北駐福岡経済弁事処が熊本県で初の台湾修学旅行セミナーを開催。
05月21日春の叙勲で呉東進氏と李英茂氏が受章。
06月15日全日本川柳協会が杜青春・台湾川柳会代表を特別表彰。
06月18日さっぽろ産業振興財団と台北フィルムコミッションが「映像分野での協力覚書」を締結。
06月21日富山県立山町と新竹市の中華大学観光学院が「インターンシップに関する産学協定」を締結。
06月23日肥薩おれんじ鉄道と台湾鉄路の屏東線・南廻線が「姉妹鉄道協定」を締結。
07月09日富山県射水市が台北市士林区と「友好交流協力に関する覚書」を締結。
07月15日サッカーのFC琉球と台湾サッカー協会と「包括的パートナーシップ協定」を締結。
07月16日台北俳句会が外務大臣表彰を受賞。
07月18日JR四国と台湾の観光局が「協力覚書」を締結。
07月22日青い森鉄道と台湾鉄路縦貫線(台中〜高雄間)が「姉妹鉄道協定」を締結。
07月24日笠間市と農業委員会農糧署が「食を通じた文化交流と発展的な連携強化に関する覚書」を締結。
07月24日笠間市、宍戸国際ゴルフ倶楽部、台湾ゴルフ協会が笠間市における事前キャンプについて「基本合意書」を締結。
08月21日インターネットイニシアティブと台湾アドバンテックが業務提携。
08月22日ブルーイノベーションと台湾のエアロプロビングがドローンで業務提携。
08月27日文部科学省調査で高校生の台湾修学旅行が5万人を超え米国などに大差の1位。
09月02日茨城県の大洗旅館組合と新北市温泉観光協会が「連携に関する覚書」を締結。
10月08日宮崎県高千穂町と花蓮市が「姉妹都市協定」を締結。
10月19日今上陛下のご即位を祝い台湾から昭和天皇ゆかりの桜、竹、ガジュマルの目録贈呈式。
10月25日名古屋市と台中市が「観光分野におけるパートナー都市協定」を締結。
10月25日東京都市大学と資訊工業策進会が「産学連携に関する覚書」を締結。
11月03日秋の叙勲で林伯豊、彭誠浩、薛光豐の3氏が受章。
11月04日松山市と台湾のサッカー協会が「連携協定」を締結。
11月06日長崎大学と三軍総医院が「学術交流協定」を締結。
11月18日日本台湾交流協会の「台湾における対日世論調査」で今回も日本は「最も好きな国」に。
11月24日盛岡市と花蓮市が「友好都市協定」を締結。
11月27日東京大学と台湾積体電路製造が先進半導体の研究・開発で国際産学連携。
12月15日豊橋総合動植物公園と台北市立動物園が「連携と協力に関する覚書」を締結。
12月26日台北駐日経済文化代表処の「日本人の台湾に対する意識調査」で台湾が4年連続1位。