姉妹湖の提携から30周年を迎えた昨年、10月27日に仙北市の駒ケ岳グランドホテルにおいて仙北市国際交流協会がお祝いの記念式典を開催し、地元紙の秋田魁新報は「澄清湖を管理する台湾の公営水道会社『台湾自来水公司』の訪問団33人と、仙北市国際交流協会の会員ら計約100人が出席し、今後も交流を深めていくことを誓い合った」と報じた。
また今年の1月18日、今度は台湾自来水公司が高雄市内で返礼の30周年を祝う式典を開き、秋田からも門脇光浩(かどわき・みつひろ)仙北市長、青柳宗五郎(あおやぎ・そうごろう)仙北市議会議長、吉田裕幸(よしだ・ひろゆき)仙北市国際交流協会会長、佐藤和志(さとう・かずし)田沢湖・角館観光連盟会長ら約80人が駆けつけてお祝いしたという。下記にそれを伝える秋田魁新報の記事をご紹介したい。
田沢湖というと、本会関係者は2007年に国際教養大学学長で理事長を兼任されていた中嶋嶺雄氏の招きで来日された李登輝元総統一行が訪問されたことを思い出す方も少なくないかもしれない。
岩手訪問の翌6月5日に中嶋学長の先導にて田沢湖を訪問、同行の黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席らと台湾側から贈られた「飲水思源像(いんすいしげんぞう)」を見ながらゆったりと散策された。
この日は天気もよく、飲水思源像前で李元総統は「昔、水を得るときには川や池から引いてきていたが不衛生だった。今は本当に便利になって、安全に水を使うことができるようになった。だから、水を飲むときは、先人の苦労と水の大切さに思いを馳せなくてはならないという戒めだ」と、農業経済の学者に戻ったように、台湾語で若い女性記者たちに教え諭されていた光景を思い出す。
秋田魁新報の記事に姉妹湖締結のきっかけについて「旧田沢湖町で開かれた国際シンポジウムで、パネリストが湖を縁に台湾と交流してはどうかと提案したのがきっかけ」とある。
このパネリストというのは、田沢湖町から台湾との交流について相談されていた外交評論家で本会副会長の加瀬英明氏のこと。
日台間にはこの姉妹湖を締結する1987年まで、1979年10月の青森県大間町を嚆矢として3件の姉妹都市提携があるだけで、田沢湖町も姉妹都市提携を模索していたものの、中国の圧力と妨害が厳しく、それで台湾にも詳しい加瀬氏に相談していたという。そこで、加瀬氏は湖に着目し、湖同士なら中国も文句を言ってこないだろうと提案したそうで、案の定、中国の圧力はなかったという。
ちなみに、この湖提携の前年の1986年1月、大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道を締結していて、31周年を祝って、昨年6月に阿里山鉄道運営の母体となる台湾行政院林務局の楊宏志副局長ら4人が大井川鐵道を訪問して交流を温めていた。
大井川鐵道と阿里山森林鉄道、田沢湖と澄清湖の姉妹提携に日台交流の原点を見る。田沢湖と澄清湖の姉妹湖30周年を心からお祝いし、末永く交流が続くことを心から願いたい。
—————————————————————————————–田沢湖との姉妹湖30周年祝う 台湾式典に仙北市訪問団【秋田魁新報:2018年1月19日】 【高雄市=本社・赤石昌之】秋田県仙北市の田沢湖と台湾・高雄市にある澄清湖(ちょうせいこ)の「姉妹湖」締結30周年を祝う式典が18日、高雄市で開かれた。仙北市の訪問団ら80人と、澄清湖を管理する公営水道会社「台湾自来水公司」の職員ら40人が出席。30年の歩みを振り返り、今後も交流を深めていくことを誓い合った。
同公司第7区管理所で行われた式典で、王明孝所長は「(協定書を交わした)1987年11月4日は忘れられない日。30年で築いた交流を末永く続けよう」と歓迎。仙北市国際交流協会の吉田裕幸会長は「今回のツアー参加者が100人も集まったのは、台湾に魅力があるからだ。今後も30、40年と付き合いたい」とあいさつした。
同協会が昨年10月、仙北市で記念式典を開き、今回はその返礼をしようと同公司が開催した。仙北市からは同協会会員と門脇光浩市長、青柳宗五郎議長、佐藤和志田沢湖・角館観光連盟会長らが出席。一行は秋田空港発着の中華航空チャーター便で台湾入り。21日まで滞在し、玉川温泉と提携協定を結んでいる北投温泉(台北市)との交流会に臨むなどして仙北市や本県の観光をアピールする。
澄清湖は高雄市民の生活用水供給を目的に52年に建設された人造湖で、風光明媚(めいび)な観光地として有名。姉妹湖締結は、旧田沢湖町で開かれた国際シンポジウムで、パネリストが湖を縁に台湾と交流してはどうかと提案したのがきっかけ。締結後、湖のシンボル像を贈り合ったり、両湖の写真展を開催したりして親交を深めてきた。台湾からの修学旅行が増えるなど、交流の幅は広がりつつある。