しかし、問題は観光客などが行き来するための「足」の確保だ。秋田空港唯一の国際定期便だったソウル線は2015年から運休したままで、運航していた大韓航空は今年3月末に秋田支店を撤収し、再開の見込みはないという。
ただ、秋田空港には2004年度から桃園国際空港との間でチャーター便が運航し、昨年は高雄国際空港とのチャーター便も初運航している。それだけに、台湾との国際定期便を就航させることが秋田県の悲願とも言える。
ちなみに、東北では青森県の青森空港と宮城県の仙台空港を除いて、国際定期便を運行している空港はなかった。1999年に上海線とソウル線が就航した福島空港は東日本大震災以降に運休したままであり、山形空港にはこれまで国際定期便は就航していない。しかし、8月1日、花巻空港と桃園国際空港を結ぶタイガーエア台湾が運航し、岩手県の悲願だった岩手県初の国際定期便が就航している。
秋田竿灯まつり最終日の8月6日、台湾・高雄市の文化観光部門のトップである趙建喬秘書長や行政・国際分野局長の陳[王夐]華処長ら市政府訪問団が秋田県庁に佐竹敬久(さたけ・のりひさ)知事を訪問し、佐竹知事が秋田空港と高雄空港を結ぶ国際定期便就航に意欲を示すと、高雄市側も「いずれは定期便の就航を目指すと応じた」という。下記にその記事をご紹介したい。
実は記事にもあるように1987年11月4日、仙北市内にある田沢湖と高雄の澄清湖が姉妹湖を提携している。「姉妹湖」提携30周年を迎えた昨年、10月27日に仙北市国際交流協会が台湾自来水公司一行を招いてお祝いの記念式典を開催し、今年1月18日には今度は台湾自来水公司が門脇光浩(かどわき・みつひろ)仙北市長などを招いて高雄市内で返礼の30周年を祝う式典を開くなど交流は盛んだ。
田沢湖には台湾側から贈られた「飲水思源」像が建ち、清澄湖には秋田側から贈った辰子像が建っている。2007年6月、来日された李登輝元総統は国際教養大学学長で理事長を兼任されていた故中嶋嶺雄氏の案内で「飲水思源」像を訪ねられたことがある。
高雄市政府の趙建喬秘書長ら一行は、田沢湖の「飲水思源」像に立ち寄ってから佐竹知事を訪問、竿灯まつりのパレードにも参加している。
◆高雄市「市政新聞」:2018年8月7日【代發秘書處新聞稿】拜訪日本秋田參與竿燈祭盛況,推動秋田包機南進、促進直航交流https://www.kcg.gov.tw/CityNews_Detail.aspx?n=3A379BB94CA5F12D&sms=36A0BB334ECB4011&ss=A2BACECAA3466C83355E01B1757E36A68B713917445EB98FC612E2A9C4F82CB36E9812E6B168049B
————————————————————————————-高雄市の幹部らが秋田県知事を訪問 定期便就航に意欲【中央通信社:2018年8月8日】
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201808080005.aspx写真:佐竹敬久秋田県知事(右から3人目)を訪問する趙建喬高雄市秘書長(同2人目)=同市政府提供
(台北 8日 中央社)高雄市の趙建喬秘書長率いる訪問団が6日、秋田県の佐竹敬久知事と同県仙北市の門脇光浩市長をそれぞれ表敬訪問し、高雄−秋田間の定期便の就航や、高雄国際マラソンと田沢湖マラソン出場選手の相互派遣などについて意見を交した。
佐竹知事は、2004年から運航が始まった桃園空港と秋田空港を結ぶチャーター便に言及。台湾側の発着地を高雄空港にすることに意欲を示した。趙秘書長も、いずれは定期便の就航を目指すと応じた。高雄市秘書処によると、高雄−秋田間のチャーター便は昨年10月に初就航しており、今後引き続き、定期便の実現に向けて努力を続けるという。
両地の交流は、高雄市の澄清湖と仙北市の田沢湖が「姉妹湖」を締結した1987年から続いている。秋田県が2001年、高雄市が2009年に国際スポーツ大会のワールドゲームズを開催した共通の経験も友好を深める一助となり、2016年には国際交流の覚書を結んだ。以来、秋田竿燈まつりのパフォーマンス団体が高雄ランタンフェスティバルに2年連続で出演したり、2017年から高雄国際マラソンと田沢湖マラソンで選手を派遣し合うなど、各分野での交流が拡大している。
高雄市訪問団は3〜7日の訪日日程を終えて帰台。今度は佐竹知事と門脇市長が21日、観光業者など30人余りを率いて高雄を訪れ、トップセールスを行う予定だという。
(編集:塚越西穂)