岩波書店が出している「広辞苑」で、台湾が「中華人民共和国の一部」だと誤記された問題で、中国外務省の華春瑩報道官は、これを逆手にとって、「台湾が中華人民共和国の一つの省ではないとでもいうのか。台湾は中華人民共和国の不可分の一部だ」と突っぱねた。
つまり中国は、岩波の広辞苑の表記が正しいとし、岩波書店側を支持するかたちである。
環球時報(電子版)も、「岩波書店が台湾側の雑音に応えることはほぼあり得ないが、(修正に応じれば)中国側の激しい反発を引き起こすだろう」と一見脅しととれる記事を配信した。
日本政府の反応と言えば、いかにも日和見で、菅義偉官房長官は12月18日の記者会見で、「民間のことであり、コメントは控えたい」とした。
日本政府は台湾について1972年に調印した日中共同声明で中国の立場を「十分理解し、尊重」するとしており、菅氏は「政府の立場は日中共同声明の通りだ」と強調した。
台湾大使館にあたる「台北駐日経済文化代表処」は、「中華民国・台湾は独立主権国家であり、断じて中華人民共和国の一部ではない」と岩波書店側に表記の修正を求めている。
広辞苑の台湾に関する記述は、「台湾省」として記載されており、1972年に調印した日中共同声明では、日本は中国側の立場を「十分理解し、尊重」と表現するにとどめているにもかかわらず、同声明に関する項目では「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに帰属することを実質的に認め」などと出鱈目が書かれている。
こうした経緯から国民のあいだに岩波糾弾の声があがり、抗議デモが岩波書店をとりました。廃棄処分するまで闘うというグループもある。
「広辞苑」の、どこが嘘かと言えば、下記のことが歴史的事実であり、岩波の記述は意図的な政治的アジビラの類である。
(1)台湾は一度も中華人民共和国に帰属した歴史はない。
(2)日本政府は「台湾が中国の一部」だと認めたことはない。
(3)中華民国の帰属に関しても、日本は「国際法的には帰属不明」とする立場である。
つまり蒋介石が勝手に台湾に乗り込んで居座っているのが事実である。