記事では「中華人民共和国」の項に「中華人民共和国行政区分」を掲載して台湾を「台湾省」として記載していることに「最も強い違和感を覚える」と指摘。「どうして、岩波書店は中国側の主張に沿った地図を掲載し続けているのか」と疑問を投げかけ「ここまでの固執ぶりは理解困難だ」と批判した。
すでに日本政府は「台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない」という政府見解を総理大臣答弁として何度も表明している。また「台湾に関する我が国政府の立場は、昭和47年の日中共同声明第三項にあるとおり、『台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である』との中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重するというものである」とも表明してきている。
『広辞苑』が26番目の行政区として「台湾省」を明記する「中華人民共和国行政区分」地図を掲載し、日本は台湾が中華人民共和国に帰属することを実質的に認めたと記述していることに違和感を覚えるのは、まっとうな感覚だろう。いかに言論の自由が保障された日本とは言え、民間出版社が発行する辞典が日本政府の見解を無視して中国政府の代弁者のような記述を掲載するのはいただけない。
この夕刊フジに続いて、本日発売の月刊「WiLL」3月号も、中国問題を専門とする評論家の石平氏による「広辞苑『台湾は中国の一部』は大ウソ」と本会事務局長の柚原正敬氏へのインタビュー「『広辞苑』が何と言おうと、台湾は台湾です!」の2本を掲載した。
この3月号は総力特集が「フェイク報道」、『広辞苑』については「岩波書店の“忖度”」と銘打っていて、思わず笑ってしまった。
『広辞苑』のおかしな記述については研究者も関心を深めているという。広辞苑の台湾関係記述についての批判は昨年末までを第1弾とし、夕刊フジによって第2弾の火蓋が切って落とされたが、これからまだまだ続きそうな気配だ。
なお、本会は岩波書店に対し、第7版が発売された1月12日に「訂正要望書」を送り、1月22日に記述確認の要望書を送っている。昨日(1月25日)までに返答はない。返答が届き次第、本誌でご紹介したい。