本誌1月8日号で、昨年9月に中国から入国禁止や中国国内の財産凍結などの制裁を科された石平・参議院議員の台湾訪問について、同じく昨年10月に中国の重慶公安当局から「国家を分裂させる犯罪活動」に従事したとして、刑事責任を追及する捜査対象とされた台湾の沈伯洋・立法委員の活動も伝え、日台2人の国会議員が中国の逆手を取って行動した勇気は賞賛されてしかるべきとお伝えした。
石議員の訪台は、頼清徳総統が「中華民国と中華人民共和国がお互いに独立した、隷属しない国であることが石平さん一人の入国によって証明された」と述べたこともあり、多くの話題をもたらした。
なかでも、中国外務省の報道官に「取るに足らない悪党のたわごとであり、言及する価値もない」と不快感をあらわに言わしめたことに、一矢報いたとほくそ笑んだり快哉を叫んだ人も少なくなかったようだ。
中国が我が領土と主張する台湾に、入国禁止の石議員がやすやすと入り、頼総統まで称賛したのだから、苦虫を噛み潰したような中国報道官の吐き捨てた言い草をみれば、それも宜(むべ)なるかなである。
石議員は1月10日に帰国後、訪台の感懐を「現代ビジネス」に寄稿した。
下記にご紹介したい。
中国から入国禁止制裁を受けている私・石平が「台湾入り」したことで巻き起こした台湾の熱気【現代ビジネス:2026年1月14日】https://gendai.media/articles/-/162649?imp=0
◆台湾の土を踏んだことが証明したこと
日本の主要メディアでは、ほとんど大きく扱われることはなかったが、この1月6日から9日にかけて台湾を訪問した。
これは私にとっても台湾にとっても、大変なインパクトになった。
この訪台には二つの目的があった。
その一つが、私が台湾に入国することによって台湾が中国と違う国であることを証明すること。
これは台湾の土を踏んだ瞬間に達成できた。
あともう一つの目的は、台湾の各界、政府要人、議員、財界人と交流を深めること。
これも十分に達成できた。
台湾へ行くと決めたのは、昨年の9月8日、中華人民共和国政府から制裁受けた当日、だった。
臨時国会を控えていたので、この時期になったが、そもそもが中国に対する反撃の意図があった。
6日、台北の松山空港のゲートを出たところで、待ち構えていた多くの報道陣に取り囲まれた。
また多くの台湾の人々が出迎えてくれていた。
これには凄く感動した。
台湾のほとんど新聞、テレビも私の入国と「ここに来られたのは、中華民国(台湾)と中華人民共和国が別の国であることの証明だ」というスピーチを大きなニュースとして扱った。
台湾最大の新聞『自由時報』も1面で取り上げてくれた。
SNSでも空港でのこの記者会見が繰り返し拡散された。
しかも頼清徳総統が、私の入国、そしてその際の記者会見で私の発言に触れて、「中華民国と中華人民共和国がお互いに独立した、隷属しない国であることが石平さん一人の入国によって証明された」とコメントを出した。
この言葉が今回の私の訪台の意味するところを、もっとも的確に表していると思う。
国際社会に対し、台湾の正当性を分かりやすい形で証明したということで、台湾国内ではとても大きなインパクトを与えることになった。
私は一気に有名人になって、台北の街を歩いたら声掛けられるほど歓迎された。
そういう意味では、今回の訪台は大成功だった。
◆台湾人は委縮していない
この訪問は正式には、台湾のインド・太平洋戦略シンクタンクのシンポジウムへの招きに応えたものだった。
シンポジウムでは、公開で行われたもの以外にも、シンクタンク内で、非公開で会合が行われ、台湾の国防、外交の専門家たちと交流することができた。
シンポジウム以外にも、6日の晩には、「海鮮を食べて日本を応援しよう 千人宴会」という催しに招かれ、そこで台湾の首相にあたる行政院長の卓栄泰氏、そして財界の人々と言葉を交わすことができた。
この他、台湾外交部長の林佳龍氏を表敬訪問し、会談を行った。
また9日には日本の国会にあたる立法院を訪問して、外交国防委員会の委員長の王定宇氏を中心とした立法委員7人と懇談することができた。
これまで私は台湾とは、それほど太いパイプがあるわけではなかったが、今回、深い繋がりができた。
決して秘密裏に行ったわけではない。
だが、どこからも何の圧力もかからなかった。
日本国内に反対があったわけではなかったのだ。
一方、台湾側からは、これほど大きな反応があった。
一議員の訪台の枠をかなり超えた成果だと思う。
にもかかわらず、日本の主要メディアは、これほど盛り上がった私の訪台を、ほとんど取り上げようとしていないのである。
産経新聞が記事にしたくらいだ。
産経新聞以外のメディアは、中国に遠慮しているのではないかと思う。
このことは中国の威嚇の当事者であるはずの台湾と比べて異様な温度差を感じる。
私が現地で感じた範囲では、台湾人は中国に対して全く萎縮してない。
昨年末の12月29日と30日の、中国が台湾包囲軍事演習を行ったが、開始当日、台湾の株価(加権指数)は最高値を更新、終了後も上げ続けた。
台湾人はもう中国に対しビクともしていない。
この演習の直後であった私の台湾訪問中に、この演習は話題にすらなってない。
中国に対するのとは反対に台湾人は大変日本に好意的だ。
少なくとも私が接触した台湾人はみんな日本に対して極めて親しい感情を持っている。
また、台湾人はみんなとても日本に期待を寄せている。
アジアでもっと大きな役割を果たしてほしいと考えているようだ。
だから、中国の水産物禁輸に対して日本を応援するための、あの宴会に、1000人もの人が押し寄せてきている。
やはり台湾こそが本物の親日国家だ。
◆高市発言は心強い
現在、高市総理の台湾有事を巡る発言に対して中国が外交圧力を加えているが、さまざまな制裁に加え、軍民両用品目ということでレアアース輸出規制まで打ち出してきている。
ここまでやられても高市総理が中国の求めている「存立危機事態」発言撤回に対して無視を続けていることを、私が今回会った台湾人たちは心強く思っているようだった。
9日のニューヨーク・タイムズのインタビューで、明らかになったが、アメリカのトランプトランプ大統領は、いろいろな情報を元にしたアメリカ大統領としての状況判断で、習近平は台湾軍事侵攻を少なくともトランプ在任中には行わないと見ている。
さらに、高市総理の発言は、日本が中台問題に単独で武力介入するというものではなく、あくまでも日米同盟の話として、アメリカの行動を支援するというものだった。
それが、これだけの大騒ぎになっているのだが、それでも私は、あの発言はよかったと思う。
中国はあれだけ台湾に対し軍事的圧略を加えているが、トランプ大統領の見立てでは、軍事力を行使することはできず、台湾に対しては選挙で民進党政権を倒すしか方法がない。
だから、台湾人がこれほど信頼を寄せている日本の首相を叩き、日本に圧力をかけ、できれば頭を下げさせて、日米の支援への台湾人の期待を否定させようとしているわけだ。
台湾人も当然この発言の意味、そしてこの状況の意味を理解している。
だから高市総理の、絶対に発言撤回しないという姿勢が、台湾人にとってもすごく心強く、勇気づけられるものになっている。
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