中国へ忖度するにもほどがある日本のメディア  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2024年4月3日】 https://www.mag2.com/m/0001617134*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付けたことをお断りします。

◆中国がアメリカを上回った?

 シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所が2日発表したところでは、南東アジアで、米中の二大国のうち一つと同盟を結ばなくてはならなくなったとしたら、どちらで結ぶかという問いに、中国と答えた割合が、アメリカを初めて上回ったとのことです。

調査では、アメリカを選ぶと答えた割合が49.5%だったの対して、中国を選ぶという回答は50.5%でした。

東京新聞をはじめ、日本のメディアは、この「中国がアメリカを上回った」ということばかりを強調していますが、じつは重要な結果が外されています。

それは、中国が世界の平和、安全、繁栄、ガバナンスを促進できるかという質問に対して、ASEANの人々の半数以上が中国への不信感を表明し、昨年の49.8%からわずかに上昇した、ということです。

ASEAN諸国民の信頼度としては、日本が1位(58.9%)、ついでアメリカ(42.2%)、EU(41.5%)の順で、中国は24.8%しかありません。

要するに、ASEAN諸国の国民の半数以上が中国を信用できない国だと思っているのにそのことは、日本のメディアはほとんど書かないのです。

中国に対する忖度でしょうか。

台湾のメディア「自由時報」は、「偏好合作 過半東協人民卻不信任中國」(ASEANの人々の半分は中国を信用していない)という見出しをつけています。

同じことを報じるにしても、これほど日本と台湾は異なっているのです。

◆岸田総理のお見舞いメッセージに頼・次期総統が返礼

 4月3日午前7時58分、台湾東部の海域でマグニチュード7.7 の地震が発生し、建物が倒壊するなどの被害や死傷者が出ました。

これに対して、日本のXでは、「台湾の地震」「台湾大丈夫」「台湾の被害」といったワードが相次いでトレンド入りし、「台湾が心配」「台湾の皆さんが無事であってほしい」「今こそ恩に報いる時」といった声が寄せられましたが、そのことは日本ではほとんど報じられない一方、台湾の三立新聞網など、台湾では大きく報じられています。

岸田首相が首相官邸での会議で「政府として情報収集と必要な対応に万全を期す。

要請に応じて台湾に対し早急に支援を行う」と表明したことについては、各メディアも報じていますが、岸田首相がXで台湾に対して日本語と中国語でお見舞いを申し上げたことについては、あまり報じられていません。

以下は、岸田首相のメッセージです。

<台湾の皆さんへ この度、台湾東部において大きな地震が発生し、大きな被害が出ているとの報に接し、大変心を痛めています。

被害に遭われた方々に対し、心からお見舞い申し上げます。

東日本大震災、また先日の能登半島地震の際にも、大切な友人である台湾の皆様から本当に心温まる支援を頂いたことに、私たちは心から感謝しています。

海を接する隣人である台湾の困難に際し、日本としては必要な支援を行う用意があります。

 そしてこのメッセージに対して、次期台湾総統である頼清徳が返答しました。

以下が、その内容です。

<尊敬する岸田首相 台湾で発生した地震につき、いち早くお見舞いのお言葉をいただき感謝申し上げます。

首相のお言葉はわたしたちの心を温め、また台湾と日本の強い絆を象徴するものでもあります。

これからも助け合い、手を取り合って難関を乗り越えていきましょう。

 このようなやり取りは、もちろん中国と台湾のあいだではありません。

そのためか、やはり、頼清徳から岸田首相にお礼のメッセージがあったことは、日本ではほとんど報じられていません。

日本と台湾の友好が進んでいるといった内容を報じるのは、中国の手前、やりにくいということなのかもしれません。

しかし、日本のメディアがいくら中国に忖度しても、日本と台湾の友好はますます強固になっているのです。

むしろ日本のメディアは、真実から遠く離れつつあるのではないでしょうか。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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