日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載
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10月29日に中津川博郷(なかつがわ・ひろさと)衆議院議員が提出した「交流協会と台
北駐日経済文化代表処の名称に関する質問主意書」に対し、昨日(11月6日)、野田佳彦総
理代理の岡田克也・内閣総理大臣臨時代理から「答弁書」が出された。
政府の「答弁書」を読んで常に思うことだが、「木で鼻をくくった」感が必ず残る。こ
の「答弁書」もそうだ。
中津川議員も同じように受け取ったようで、自身のブログで早速「答弁書」が返ってき
たことを取り上げ「11/6 質問主意書に対する答弁書が来る。想定内の回答とはいえ、政府
(外務省)の木で鼻をくくったような回答には、ただただ呆れかえる。私は、余計、闘志
が燃える」という長い見出しの下、以下のように述べている。
≪だいたいは想定内の回答ではあるが、この誠意のない回答には腹が立つ。外務省がいか
に中国重視で日台関係を軽視しているかということがわかる。私のホームページを見てい
る人も改めて確認できる。
思い返すと10年以上前、外国人登録証の問題を私が、国会ではじめて取り上げたときの
法務省、入国管理局の対応も同じようなものであった。それが今年から、在留カードに変
更になり、国籍欄には台湾と表記されるようになったのだから、国会議員がやる気を出せ
ば、必ず実現するものと信じている。少し時間はかかるが、中津川は必ずやり抜く。≫
そして、その「答弁書」の全文を原文のまま紹介している。
この政府「答弁書」では、交流協会という名称について「広く知られている」し、交流
協会も「名称を変更したいとの意向は有していない」から「名称を変更する必要性はない」
と述べている。
しかし、交流協会台北事務所の代表(大使に相当)をつとめた池田維(いけだ・ただし)
氏が交流協会の名称について自著『日本・台湾・中国 築けるか新たな構図』(産経新聞
出版)で取り上げたのは2010年9月で、2年前のことだ。代表時代は2005年7月から2008年7
月だから、さかのぼっても7年前にすぎない。
その本の中で池田氏は、7年前に赴任したとき、タクシーに乗って「交流協会」と告げる
と、台北市内をよく知っている地元の運転手も「交流協会」を知らなかったと書いている。
そこで、東京の交流協会本部と所管官庁の許可を取って「日本交流協会台北事務所」と呼
称するようにしたとも書いているのである。
答弁書のように「広く知られている」名称でないことは、現在、交流協会顧問をつとめ
る池田氏自身が証明している。だから「木で鼻をくくった」ような、後味の悪さが残るの
である。
また、中津川議員が台北駐日経済文化代表処の許世楷代表から直接聞かれた代表処の名
称変更申し入れについても「申入れが行われた事実はない」と断じている。これでは、許
世楷代表をウソつき呼ばわりしていることになる。まったく失礼な答弁書だ。
しかし、「現時点で確認できる範囲では」と、逃げ道を用意しているところがこの「答
弁書」でもある。後で事実が判明したときの逃げ道であり、こういう申し入れが台湾側か
らあったことになると、中国が何を言ってくるか分からないので、「申入れが行われた事
実はない」としたのだろう。これぞ「官僚答弁」の最たるものだ。この「答弁書」を書い
た外務官僚のビクビクしている様が伝わってくるようだ。
中津川議員が「質問主意書」で指摘したように、交流協会の名称は「日台交流協会」と
改めるべきであり、台北駐日経済文化代表処の名称も「駐日台湾代表処」の方が断然わか
りやすい。「少し時間はかかるが、中津川は必ずやり抜く」という中津川議員の「宣戦布
告」を真摯に受け止め、交流協会や台北駐日経済文化代表処が「正名」できるよう支援し
たい。
下記に改めて「質問主意書」の質問部分を紹介し、また政府「答弁書」の全文を紹介し
たい。
◆なかつがわ事務所ブログ
http://www.naktsugawa.net/
◆中津川博郷議員が「交流協会と台北駐日経済文化代表処の名称に関する質問主意書」
http://melma.com/backnumber_100557_5686914/
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交流協会と台北駐日経済文化代表処の名称に関する質問主意書
一 交流協会という名称では、どこと交流する法人なのか不明である。池田氏がすでに
「日本交流協会台北事務所」という名称を用いてはいるものの、それでも日本と台湾の
関係であることが不明瞭なので、関係が分かるよう「日台交流協会」と改めるべきと考
える。政府の見解を示されたい。
二 台北駐日経済文化代表処の名称変更について、当時なぜこの名称を拒否したのか、そ
の理由を示されたい。
三 台北駐日経済文化代表処の名称も、すでに「台湾」という名称が在留カードや外国人
住民基本台帳で定着しているのであるから、「駐日台湾代表処」の方が分かりやすいと
考えられる。台北駐日経済文化代表処から同様の申し入れがあった場合、政府はどう対
応するのか見解を示されたい。
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内閣衆質181第1号
平成24年11月6日
内閣総理大臣臨時代理
国 務 大 臣 岡田 克也
衆議院議長 横路 孝弘 殿
衆議院議員中津川博郷君提出交流協会と台北駐日経済文化代表処の名称に関する質問に
対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員中津川博郷君提出交流協会と台北駐日経済文化代表処の名称に関する質問に対
する答弁書
一について
政府としては、公益財団法人交流協会は、我が国と台湾との間の実務関係を処理する我
が国の民間団体として既に十分な実績を有しており、その名称についても広く知られてい
ると考えている。また、現在、同協会として、名称を変更したいとの意向は有していない
ものと承知している。したがって、政府としては、同協会の名称を変更する必要性はない
と認識している。
二について
現時点で確認できる範囲では、許世楷台北駐日経済文化代表処代表(当時)から日本政
府に対して、台北駐日経済文化代表処の名称の変更に関する申入れが行われた事実はな
く、日本政府として当該申入れを拒否した事実もない。
三について
仮定の質問にお答えすることは差し控えたい。