台湾の声
来年1月の総統(大統領)選挙と同時に実施される立法委員(国会議員)選挙で、与党・中国国民党との選挙協力を拒否した親民党が8月10日、小選挙区及び原住民選挙区の候補者10名を擁立することを表明した。
親民党が候補を立てた選挙区は、台北市(4区、6区、8区)、台中市(7区、8区)、台南市(1区)、高雄市(3区)、金門県、平地原住民、山地原住民で、このうち前回の選挙で野党・民進党が当選したのは台南市1区のみで、その他の多くの選挙区は与党・国民党が強い選挙区。親民党は今後さらに比例代表候補や小選挙区追加候補も発表する見込みだ。
親民党はもともと、2000年の総統選挙に国民党を離脱して出馬した宋楚瑜氏が結成し、2001年の立法委員選挙で躍進したが、その後は2004年と2008年の総統選挙で国民党と選挙協力した。2008年の立法委員選挙では親民党系の議員を国民党にくらがえする形で選挙協力して親民党自体の議席はなくなったが、国民党内に影響力を残した。しかし、馬英九政権が親民党系の人脈を重用しなかったことから、親民党派の馬政権に対する不満が高まっていた。
親民党が今回独自路線を強調し、野党色を鮮明したことで、もともと国民党を支持していたが馬総統の執政に失望した層の受け皿となる可能性があり、国民党にとっては票源が分裂して選挙が厳しい戦いになることは必至だ。だが、民進党に流れるはずだった「反馬」に転換した層の票の一部が親民党に流れるため、必ずしも民進党が漁夫の利を得られるとは限らない。
親民党の宋楚瑜主席は総統選挙か立法委員選挙のどちらかに必ず出馬すると明言しているが、いずれにしても総統選挙で「反馬」姿勢を明確にするかどうかで、親民党への票の流れ方が変化するとみられる。親民党の候補者擁立が立法委員選挙や総統選挙に大きく影響を与えることは確実で、今後の動向が注目される。