【黄文雄】世界にアピールすべき中国の沖縄分断工作

【黄文雄】世界にアピールすべき中国の沖縄分断工作 

               黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」より

◆約束を守らない北と南はいずれ自滅する

 皆様、黄文雄です。

 新年あけましてめでとうございます。

 今年が皆様にとっていい年になりますことをお祈り申し上げます。

 昨年は北朝鮮の「核」と、トランプ大統領の「言いたい放題」(真言陀羅尼?)に振り回された
感をお持ちの方も少なくないでしょう。

 日本と台湾の関係についていえば、2017年の年初早々、日本は台湾との窓口機関の名称を「日本
台湾交流協会」に変更し、正式に「台湾」の名を使用するようになりました。

 その他、アメリカ、イギリス、EUなども台湾との従来の関係を変更するさまざまな動きがあり
ました。EUでは欧州議会で、台湾の国際機関への参加を支持する決議も可決されました。

 しかし、台湾ではこうした新しい流れへの対応にもたついているので、「不作為」だという声も
あります。我々の力不足によるところも多いと反省しながら、これからますます努力していくつも
りです。

 日本は北朝鮮の核に振り回されるだけでなく、昨年末には韓国の文在寅大統領が慰安婦合意の反
故を示唆するなど、朝鮮半島をめぐっては頭の痛いトラブルだらけです。

 しかし、韓国の裏切りやいじめにあってきた台湾からすれば、「慰安婦」や「性奴隷」などの嫌
がらせについては、いちいち気にしていたらキリがありません。北も南も約束を守らないというこ
とは、世界的に知られるようになってきていますから、単なる「病気」だと考えて要求を突っぱね
ていれば、いずれ自滅していくでしょう。

◆日本から沖縄の分断を図る中国

 日本のメディアや言論人は、いつも中国のいちばん「いい時代」の延長線上で中国の未来を語
り、日本の「暗い時代」(たとえば失われた20年)の延長線として日本の未来を語ります。中国は
これからも経済成長を続け、活力を失った日本はその風下に甘んじるしかない、だから中国とは友
好関係を保つために相手の言い分も聞くべきだと言った論調が、まだまだ主流を占めています。

 しかし、それは「偏見」だと私は思っています。そもそも、中国の言い分を聞くということは、
尖閣諸島を核心的利益だとする中国を「正しい」と認めろということなのでしょうか。

 中国は沖縄までも自国の固有領土だと、官製メディアを通じて主張しています。反日デモの際に
は「沖縄解放、琉球回収」というプラカードがよく掲げられることはよく知られています。

 最近は、まずは日本から沖縄の分断・独立工作を図るため、沖縄に日本の主権は及ばないという
説を打ち出し、「沖縄は『琉球』と呼ぶべきだ」という運動も展開しているのです。

 2013年には人民日報が「歴史上結論の出ていない沖縄(の帰属)問題も再び議論が可能だ」とし
た記事を出し、これに対して中国外交部の華春瑩報道官は、「沖縄および琉球の歴史は、学術界が
長期にわたって注目する問題である」などと述べ、沖縄の帰属問題は定まっていないという立場を
表明しています。

 中国が「一帯一路」に沖縄を引き込み、日本との分断を画策していることは、以前のメルマガで
も述べました。沖縄を日本と切り分けたあとは、当然ながら中国は沖縄を「古来より中国の属国で
あり、日本がこれを奪った。だから中国のものである」と主張してくることは目に見えています。

 こうした中国の狙いに与したかたちの「友好関係」を築けというのでしょうか。そもそもふだん
は「安倍一強」を批判するような人たちが、共産党一党独裁の国に与するような発言、姿勢を見せ
ることも理解不能です。

◆沖縄の主権が日本にあることを確認した中国

 ちなみに、確かに琉球は明、清と朝貢関係がありましたが、島津藩の支配を受けて、両属関係に
ありました。

 そして1871年に遭難して台湾に漂着した沖縄の宮古島民が、台湾原住民に中国人と間違われて殺
害されるという事件が起こり、日本が清朝に責任を問うと、清朝側は「台湾は化外の地(統治の及
ばない地)」だと言い逃れたので、日本は西郷従道中将を指揮官として台湾に出兵しました。その
結果、清朝側は日本の出兵は義挙だったと認め、賠償金を支払ったのです。

 この台湾出兵の結果、琉球は日本に属し、台湾は清に属するという暗黙の了解が日清両国の間に
生まれました。そして明治政府は1872年に琉球藩を設置、1879年には沖縄県を設置したのです。い
わゆる「沖縄処分」ですが、台湾出兵から沖縄処分までの一連の流れは、国際的には日本と清が沖
縄と台湾の帰属を相互承認したものと認識されています。

 西郷の遠征軍が台湾を去るとき、清の艦隊は礼砲で送りました。その際、清の官民は「勝った、
勝った」と大喜びしました。というのも、わずかな賠償金を支払っただけで、日本から台湾の帰属
承認を得られたからです。

 そして1894年の日清戦争で日本が勝利したことにより、台湾は日本に永久割譲されるとともに、
沖縄の主権は日本にあることが明確に確認されたのです。だから沖縄は明らかに日本に帰属してい
るのです。

◆中国の言う「固有の領土」こそ嘘だらけ

 中国の領土主張は「歴史的には中国の固有領土」の一点張りです。インドとの国境紛争も、中
ソ、中越、南シナ海(南洋)、尖閣諸島なども、その一言を繰り返すばかりです。しかし、2016年
7月に、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が「中国が主張する南シナ海の領有権には、いかなる
歴史的根拠もない」という裁定を出したことは、中国の言う「固有の領土」こそ嘘だらけというの
が「正しい歴史認識」であるということを示しています。

 日本人は中国人に対して、「もっと歴史を学べ!」と言うべきです。中国の周辺国に対する野心
について、日本はもっと世界各国にアピールすべきです。

 今年も私は日本やその近隣諸国、時局を冷徹な目で分析し、語り続けていくつもりです。お付き
合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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