【黄 文雄】香港と台湾の共闘を崩しにかかる中国

【黄 文雄】香港と台湾の共闘を崩しにかかる中国 

黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」】より転載

◆香港人の台湾やオーストラリアへの移住が急増

 今週も香港のニュースを取り上げなければなりません。民主化の象徴と言われている2人のリー
ダー的存在の若者の一時逮捕があり、香港警察によるデモ隊への攻撃の激化が止まらず、多くの香
港市民が傷ついています。

 冒頭のニュースにあるように、台湾の蔡英文政権は香港のデモ隊の支持を早い段階から表明して
いました。香港から逃れてきたデモ参加者を受け入れると表明したのです。これに対して中国政府
は、「台湾は犯罪者を匿う隠れ家と化すだろう」と言って、台湾が犯罪行為の隠蔽に手を貸さない
ようにと脅してきました。

 しかし、デモは長期化しすでに香港の混乱が2か月も続いています。学生たちは新学期が始まっ
ても、授業をボイコットしてデモ支持の意思を表しています。デモ隊と警官の衝突などにより交通
もマヒし、警察が発射した催涙弾が住宅に飛び込み、屋内にいた乳児が煙を吸ってしまったという
報道もあったそうです。

 香港市民の日常はだんだんと非日常に侵されており、長期化への不安を抱える人々は台湾やオー
ストラリアなどへの移民を考えるようになっているようです。台湾移住の説明会は満席で、実際に
台湾に移民する人の数も急増しています。以下報道を一部引用します。

<台湾当局の発表によると、今年1~7月に長期在留資格を得た香港人は1835人で前年同期比約30%
増。定住資格を得たのは759人で同約20%増だった。ロイター通信によると、高額投資が条件とな
るオーストラリア東部ニューサウスウェールズ州移住のためのビザ申請も急増しているという。>

 台湾でも香港人移民のニュースは連日報じられており、高雄に移民した香港人カップルがカフェ
を開業しているとのニュースもありました。

◆板挟みの林鄭月娥・香港行政長官がデモ隊の5大要求を中国に提案

 香港の林鄭月娥行政長官は、非公開会合で辞任の意向を示したとのニュースもありましたが、こ
れはあくまでも非公開会合で漏らした弱音です。

 香港と中国との板挟みとなっている林鄭月娥行政長官は、デモ隊が掲げる「五大要求」を中国政
府に提出し要求を呑むよう提言したけれど、中国政府は拒否したとの報道もあります。「一国二制
度」とは名ばかりで、香港の自治など中国に返還された瞬間からなかったようです。

 返還以後、香港は中国政府の指示通りに動かされてきたのでしょう。表に立つのは香港自治の仮
面をかぶった林鄭月娥行政長官ですが、彼女は完全な傀儡だったというのが今回明らかになったわ
けです。デモ隊の要求を受け入れる権限さえ与えられていないのですから。

 香港警察の反撃も過激化し、デモ隊も2人のリーダーの逮捕を経ても恐れず終息する気配をみせ
ていません。ある報道は不吉な予感を報じています。

<戦車に機関銃に、ヘリからミサイル・・・。香港駐在の人民解放軍は、訓練映像の公開でデモ隊
を牽制し、司令官も「暴力は絶対に許さない」と警告した。また、境界を挟み隣接する深圳
で、黄色いヘルメットの集団を警察が催涙弾で制圧する訓練映像も公開され、香港の中国政府に近
いテレビ局ではニュースで繰り返し放送していた。

 「香港政府がコントロールできない動乱が現れれば中央政府は絶対に座視しない。動乱を平定す
る多くの方法と強大な力を十分に有している」。中国政府の香港担当トップは、直接介入を匂わせ
デモ隊に警告した。

 なお“動乱”は、1989年の天安門事件の際に中国共産党機関誌の人民日報で学生デモを批判する
のに使われ、その後、学生や市民の反発が拡大し事件につながった言葉だ。そろそろ本気でキレる
ぞ!と拳を振り上げているも同然だ。>

 自由と専制は共存不可能だということを香港は証明してくれました。


台湾の声

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