【黄文雄】日本で歪められる台湾のニュース

【黄文雄】日本で歪められる台湾のニュース
メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より転載

よく「日本人の常識は世界の非常識、世界の常識は日本人の非常識」などと言われますが、私は文化はすべてユニークなものだという文化観があり、中国人、韓国人の「常識」も「非常識」なものです。

日本の文化人、言論人で、台湾と中国を同一視する人も少なくありません。しかし、中国と台湾は、同じモザイク社会でも体制のみならず歴史の歩みも異なっているため、「常識」すら違っています。以下は、台湾を知るために最低不可欠の「常識」です。

台湾は多言語、多文化、他文明、多民族の社会で、その多様、多元こそが社会のベースとなっています。
多様、多元だけでなく、国家、民族、政治、経済、社会、文化、アイデンティティまで、中国とは異なっています。
はるか17世紀のオランダ時代から、鄭成功三代、清の212年、日本時代、中華民国統治時代まで、島と陸、台湾と中国とは「絶対不可分」などでは「絶対」なかった。あくまで敵対的であり、それは現在も続いている。
日本時代の50年と中華民国時代の70年の台湾人は、アイデンティティも「人となり」も決して同じではない。
以上のことについて、日本の学者、文化人、言論人、ジャーナリストさえ「常識不足」であり、わざわざ事実を歪曲することすらあります。

目下の台湾は、11月24日の統一地方選挙(中間選挙)を控え、藍(ブルー、中国派)と緑(グリーン、台湾派)、白(ホワイト、無党派)が激突し、パフォーマンス合戦を繰り返しています。

国民党台南党本部の候補者は、わざと党本部の一角に「慰安婦像」をつくって、反日パフォーマンスをしています。国民党本部も党員、シンパなどを動員して、台北の日本代表所(大使館に相当)に押しかけるなどの反日行動をアピールしました。

国民党の反日パフォーマンスを「台湾人の反日」として針小棒大に書きまくったのは、反日日本人の言論人です、それはまさしくフェイクニュースで、私は実にいやらしさを感じます。

長年にわたる国民党の統治下で、学校教育から社会にいたるまで台湾語の使用はタブーとされてきましたが、「国語」とされる北京語専用は、世界最大のチャイナタウン・台北を中心に、北部だけに限定されてきました。

日本の各社マスメディアの特派員は、日中台3つの言語ができる通訳を雇うのが常識です。日本のメディアの特派員が現地取材したか、たんにネットからピックアップして記事にしたか、内容を一読すればすぐにわかります。

10月20日に台湾独立派「喜楽島連盟」が台湾独立を問う住民投票の実施を台湾民進党本部前を求めてデモ行進をしましたが、産経新聞も結果だけの記事を流していました。それはしかし、偏見に満ちたものです。

● 台湾独立派6千人が台北で集会、与党は別の反中デモ

「喜楽島連盟」の台湾総督府包囲デモについて、蔡英文総統は先手を打って台湾民進党員の参加を阻止、しかも総統府前の大通りはすでに台北市政府が別団体のデモ行進を許可していたという理由で、「喜楽島」の総統府包囲デモを台湾民進党本部前の数百メートルに限定したのです。つまり、住民投票を要求するデモを葬ったのです。

産経新聞は、単に結果だけを伝えて、その経過を報じませんでしたが、それは台湾の国民党本部のホームページに書いてあることをそのまま使用したからだという声も多いのです。もちろん、産経新聞は蒋介石以来の台湾国民党政権との付き合いも長いので、複雑な台湾事情については、日本のマスメディア各社よりもよく知っているはずです。

目下、台湾独立系のメディアは「自由時報」以外にはテレビでは「民視」と「三立」くらいしか残っていないので、「三民治」(サンドイッチ)などとも言われています。ほとんどが中国資本(中資)といわれています。

台湾の言論界は中国の言論とほぼ一致しています。せめて日本のマスメディアだけは、台湾の事情と真実を伝えてほしいものです。それをこのメルマガで声を大にして言いたいと思います。


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