【寄稿】李登輝元台湾総統がノーベル平和賞を受賞するに足る所以(3)

【寄稿】李登輝元台湾総統がノーベル平和賞を受賞するに足る所以(3)

─台湾民主化についての功績

           柚原正敬 (日本李登輝友の会 事務局長)

3、総統の直接公選制の実現

世界の耳目を集めた台湾の民主化を象徴するできごととして、総統の直接公選制を実現したことが挙げられる。
 
1990年6月に開かれた国是会議において、「台湾省、台北市、高雄市の首長公選制の実現」、「総統の直接公選制の実現」が採択されているが、台湾の民主化にとって大きなステップとなったのは、1992年12月19日に行われた第2期立法委員選挙だった。この選挙は中国国民党政権が台湾で行った初めての選挙であり、選挙という民主的な手続きを踏むことによって統治の正統性を獲得した。

そして1994年12月3日、台湾省、台北市、高雄市の首長選挙において、住民による初の直接選挙を実施した。この選挙では、民主化の一環として、戒厳令下で叛乱罪の判決を受け、釈放後も公民権を剥奪、または停止されていた思想犯や政治犯約51,000人も投票権を付与されている。

 このような背景の下に李登輝は1996年3月23日、台湾史上初となる住民による総統直接選挙を実施して当選し、5月20日、初の民選総統に就任している。


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