2013.1.25 産経新聞
【台北=吉村剛史、北京=矢板明夫】沖縄県・尖閣諸島沖の接続水域に24日、台湾の抗議船、巡視船と中国の海洋監視船が入った。中台の船舶が同時に尖閣沖に現れるのは異例だ。中国船が台湾船に協力しようとする動きも見せており、中国側には中台“共闘”を日米両国にアピールする思惑があったようだ。
台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)によると、台湾抗議船が接続水域に入った後、中国の海洋監視船が現れ、しばらく同行。これに対し付近を航行していた台湾の巡視船が中国船に離れるよう求めたという。
中国外務省の洪磊報道官は同日の記者会見で、「尖閣諸島に接近する台湾の船を中国は支援するのか」との質問に、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)に関する中国の立場は一貫している。私たちは事態の発展に注目している」と語った。
共産党筋によれば、中国政府は台湾や香港の船が尖閣海域に入ることを支持する立場で、水面下で資金援助を行っているという。中国の政府関係者は「台湾や香港の船が前面に出れば、中日の対立という構図でなくなり、米国は介入しにくくなる」と指摘している。
台湾当局が今回、活動家らの出港を許した背景として、与党・中国国民党幹部は、対中融和に取り組んできた馬英九政権が尖閣をめぐり日本や米国と対立する中国側に配慮したとの見方を示し、中国の圧力があった可能性も示唆している。
活動家らが所属する中華保釣協会の狙いとしては、2月の旧正月前に中国財界などから寄付金を集めることだったとみられている。
ただ、今回の問題で、尖閣周辺海域の扱いが焦点の日台漁業協議再開に向けた準備が先送りされる可能性がある。今年前半中が目標とされた漁業協定締結にも影響しそうだ。