【はるかなり台湾】「台湾での留学生活」

【はるかなり台湾】「台湾での留学生活」

メルマガ「はるかなり台湾」より転載
                 
今日のメルマガに将来日台の架け橋になりたいという伊藤亜美さんに登場してもらいました。伊藤さんとはふとした
きっかけで知り合いになり、交換留学生として今年の8月に台湾に来て、来年2月までの半年間滞在するとのこと。
原稿を依頼したら、一生懸命書きあげてくれました。半年間の台湾での生活体験は、きっと将来役に立つことでしょう。

台湾での留学生活
                      伊藤亜美

 私は、第二外国語として現在日本の大学で中国語を学んでいます。世界中の多くの人と交流したいという思いがあり、
これからの時代は中国語を話せるほうがいいと聞いていたのがきっかけで、中国語を学ぶことに決めました。大学には
世界各国からの留学生が在学しており、文化交流をする機会があります。日々彼らと触れ合っていくうちにより彼らと
中国語でコミュニケーションがとれるようになりたいと強く思うようになりました。家族旅行や大学の日台文化交流ボ
ランティアの参加で台湾に訪れた際に、私は台湾の魅力に気づいたのです。台湾人の温かさ、美味しい台湾料理、美し
い風景などと直に接し、私は必ずまた台湾に来て中国語を勉強すると決意しました。そのために日本では勉学と並行し
てアルバイトを一生懸命し留学費用を貯め、両親を説得し、大学の留学制度に申し込み、やっと台湾に留学するチャン
スを掴むことができました。多くの方が応援してくれたおかげで実現する事ができたことですので、私は色々なことを
吸収し一回りもふたまわりも大きく成長して日本に戻り、感謝の気持ちを改めて伝えたいと考えています。

 私が台湾に来たのは8月3日でした。大学のプログラムでの参加になるので、日本人の学生8人と一緒に訪れました。
来てすぐに大きな台風に遭遇したのは予想外の出来事でした。寮の電気が停電し、電子機器が一切使用できなかったため
不安でいっぱいの一夜を過ごしましたが、同じ寮に暮らしている現地学生が心配して様子を見に来てくれたことで安心す
ることができました。このときの台風は非常に強烈で台北市内も甚大な被害を受けていたと知ったときには驚きました。
食料の確保などを台湾人の学生と協力して行い、言葉は通じないけれども人は助け合っていけるということがわかり大
切なことを学んびました。

 留学生活で一番心配していたことは、寮での生活でした。現在日本人学生である私と台湾人学生4人の合計5人で暮らし
ています。日本にいるときでさえ、他人と長期の共同生活などしたことがないにも関わらず、海外の言葉が自由に使えな
い環境で集団生活を送ることなど想像ができませんでした。中国語がうまく話せないがために、相手にされないのではな
いかという不安をずっと抱えていたのですが、実際に会ってみるとそのようなことは一切なくルームメイトは皆思いやり
を持っている人たちでした。一緒に生活をするようになってから、彼女たちは宿舎生活に関することや大学生活のことな
どで、わからないことがあればいつでも私たちに聞いてねと言ってくれました。そして私が理解できるまで辞書を使った
り紙に書いたりしながら熱心に教えてくれたのです。もちろん日本語は誰一人として話せませんので、意思疎通はすべて
中国語で行います。日々彼女たちと接していくにつれて、より深い議論ができるようになって自分の視野を広げたいとい
う思いを持つようになり、それが中国語を勉強する際のもうひとつのモチベーションになっています。

 台湾に滞在してから約2ヶ月ほど経ちましたが、現地の人と交流して感じたことがあります。それは、一人ひとり自分の
個性をしっかりと持っていることです。日本では、もし周りの人と違ったことをするととても浮いた存在になるため、人と
なるべく同じことをしたり、人目を気にして行動する傾向があると感じます。ですが、台湾人を見ていると彼らは人目をあ
まり気にせず自分の好きな服を着て、いい意味で人に遠慮せずきちんと自分の意見を伝えているのを目の当たりにし、その
人個人の存在が尊重されているように感じました。

そして、とても印象的な思い出のひとつに、中秋節があります。台湾での一大イベントを経験することは初めてのことで、
台湾の文化に触れるいい機会となりました。私はその日、ルームメイトの故郷である高雄に一緒に連れて行ってもらい中秋
節を祝いました。彼女の実家は六亀にあり大自然を感じられる素敵な場所でした。彼女の家に到着してまもなく、不思議な
光景を目にしました。なぜなら、家には玄関というものが無く、入ってすぐの部屋がリビングとして利用されていたからです。
台湾では一般的のようですが、日本とは異なった構造をしていたため、非常に衝撃を受けました。
 台湾の中秋節では、親戚や友達と一緒に月を見ながらバーべキューをし、月餅や柚子を食べる習慣があります。日本には
無い習慣ですので、楽しみで仕方がありませんでした。バーベキューの材料を手に入れるために、彼女の母親と、弟、ルーム
メイトと私の4人で伝統的な市場を訪れました。朝の市場はとても賑やかで、日本では珍しい?仁湯や菱角があったり、豚が一
匹丸ごと店頭に並んでいたのを見た時は、驚きとともに新鮮さを感じました。
 また、台湾人は家族との絆が強く、親戚同士の繋がりも大切にしているようでした。私の家族も台湾人と同様に家族の時間を
大切にしていますが、日本では家族同士で過ごす時間は台湾に比べて少ないように思います。家族との触れ合いは重要なことだ
と改めて気づきました。
 今回彼女の祖父と伯父2人にお会いしたのですが、彼らは客家の方たちで客家語をよく話していました。彼女の伯父2人は日本
語も話すことができ、ひとつの国にいながらも中国語、台湾語、客家語、そして日本語が飛び交う環境で過ごすという貴重な体
験ができました。バーベキューや彼らとの交流で心もお腹も満たされ、忘れられない思い出となりました。

 留学中には、中国語を勉強するだけでなくまだまだ私の知らない台湾の魅力を発見していきたいです。


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