G7プーリア・サミットの首脳コミュニケで台湾の国際機関への参加支持を初明記

イタリア南部プーリア州ファサーノにおいて6月13日から開かれた主要7カ国首脳会議(G7プーリア・サミット)で14日、「G7首脳コミュニケ」が採択された。

首脳コミュニケの「インド太平洋地域」の項では「法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋へのコミットメントを改めて表明する。

インド太平洋地域の平和と安定が世界の繁栄の鍵だ。

台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する」(要旨)が明記された。

「台湾海峡の平和と安定の維持」の重要性については、2021年6月のコーンウォール・サミットと2022年6月のエルマウ・サミットでも盛り込まれ、2023年5月の広島サミットでは、「台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠」という文言が付け加えられた。

今回のプーリア・サミットでも広島サミットの文言がそのまま踏襲された。

そもそも、中国の覇権的台頭を念頭に2016年8月のアフリカ開発会議において「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱したのは日本の安倍晋三総理であり、国際社会で広範な支持を得た。

その後、菅義偉総理は2021年4月のバイデン大統領との「日米首脳共同声明」で初めて「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」という文言を入れて発表する。

さらに、岸田総理は2022年5月のバイデン大統領との「日米首脳共同声明」で初めて台湾海峡の平和と安定がなぜ重要なのかを「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素」だからだと謳った。

それが広島サミットの「G7広島首脳コミュニケ」にも反映された。

つまり、「台湾海峡の平和と安定の重要性」も、それがなぜ重要かを説明する「国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素」という表現は、すべて日本の発案であり、それが今回のプーリア・サミットでも踏襲された。

なお、プーリア・サミットの首脳コミュニケでは「国際機関への台湾の有意義な参加を支持する」と表明され、台湾の外交部は「台湾による国際機関参加への支持が明記されたのは初めてだとして『大きな歓迎と心からの感謝』を示したという。

そもそも、初めて「台湾海峡の平和と安定の維持」の重要性を表明した2021年6月のコーンウォール・サミット前の5月にロンドンで開かれたG7外相会議の共同声明で、すでに台湾のWHO(世界保健機関)の会議やWHA(世界保健総会)への参加支持も打ち出していた。

台湾は、国際刑事警察機構(ICPO)や国際民間航空機関(ICAO)など重要な国際機関への参加を中国の反対で加入できない状態が続いていることから、今回のG7首脳コミュニケに初めて盛り込まれたようだ。

心から歓迎し、この認識が「台湾海峡の平和と安定の重要性」と同じように、世界的に広まることを大いに期待したい。

◆Apulia G7 Leaders’ Communiquechrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100684958.pdf


G7首脳声明、台湾の国際機関への有意義な参加に初めて支持表明 外交部「感謝」【中央通信社:2024年6月15日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202406150003

 (台北中央社)イタリアで開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日に採択した首脳声明で「国際機関への台湾の有意義な参加を支持する」と表明した。

外交部(外務省)は15日、同サミットの首脳声明に台湾による国際機関参加への支持が明記されたのは初めてだとして「大きな歓迎と心からの感謝」を示した。

声明では、「台湾海峡の平和と安定の維持が国際社会の安全と繁栄に不可欠であることを再確認する」ことにも触れ、2021年以来、4年連続の立場表明となった。

外交部は、台湾はインド太平洋地域の重要な国と責任ある国際社会の一員として、今後はG7のメンバーや理念の近い国々と引き続き連携し、共同で同地域と世界の平和と安定を守っていくと強調した。

(呉書緯/編集:荘麗玲)


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