2・28事件犠牲者の王育霖氏ご子息が『悲しみと怒りを力に変えて』を出版

 言語学者にして台湾独立運動を日本ではじめた王育徳氏の実兄の王育霖氏は、1919年(大正8年)に台南で生まれ、東京帝国大学法学部在学中に高等文官試験に合格し、台湾人として初めて日本の検事になった方でしたが、1947年に台湾で起こった2・28事件の犠牲者でした。

 ご子息の王克雄氏がこのほど『悲しみと怒りを力に変えて』と題する本を出版したそうです。事件から76年を経ても、蒋介石による独裁政権の犠牲になったご遺族の悲しみが癒えないことを物語っています。日本でも出版されることを期待します。

 王育徳氏の『「昭和」を生きた台湾青年』には、育霖氏と育徳氏の兄弟仲睦まじかった様子や育霖氏の活躍ぶりが生き生きと描かれるとともに、王育徳氏が危うく事件に巻き込まれそうになった経緯などが詳述されています。

 また、育霖氏の姪となる育徳氏の娘さんの王明理さんが昨年2月28日、「nippon.com」に事件のことなどを寄稿しています。

◆王明理「使命感に駆られて台湾に戻った伯父」(nippon.com:2022年2月28日) https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c11003/

—————————————————————————————–2・28事件遺族「悲しみと怒りを力に」著書出版【中央通信社:2023年2月16日】https://japan.focustaiwan.tw/society/202302160005

(台南中央社)国民党政権が市民を弾圧した1947年の「2・28事件」で父親を失った王克雄さんの書籍が15日、出版された。南部・台南市で行われた出版記念発表会に出席した黄偉哲(こういてつ)市長は、過去の人権侵害に向き合う「移行期の正義」をさらに推し進めていく姿勢を示した。

 王克雄さんの父、育霖さんは日本統治時代に台南で生まれ、東京帝国大(現東京大)卒業後、台湾出身者として初めて日本で検察官となった。戦後も台湾で検察官を務めていたが、事件で失踪した。

 「悲しみと怒りを力に変えて」と題された同著。真相究明を目指して活動してきた克雄さんの歩みとともに、事件の「加害者」として考えられる人物に関する報告書も収録された。

 イベントは「台南228記念館」で開催された。台南市政府文化局は、今月28日の「和平記念日」に合わせ、講座や関連書籍の出版記念座談会を予定している。

(張栄祥/編集:楊千慧)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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