台湾・台中の教え子(といっても87歳)宛に書いた戦前の住所に出した手紙を、郵便教員が必死で
探し当てて届けた。
この佳話は以前、本誌(4月6日発行)「日本人教師が台湾人の教え子に出した手紙が届いた『海
角七号』みたいな実話」として紹介したが、朝日新聞も5月9日の夕刊で「106歳〜拝啓 台湾の君
へ 元小学校教諭、約80年前の教え子に手紙」で記事にした。
記事を書いた鵜飼啓(うかい・はじめ)台北支局長は昨日、その続報を「特派員メモ」で書いて
いたので下記にご紹介したい。
なお、106歳になる先生、高木波恵さんが出された実際の手紙、教え子の楊漢宗さん宛の表書き
などの写真は「自由時報」で紹介され、その写真などを紹介した「Pen-Box」というブログも以前
に紹介したが、関連記事も含め改めて下記に紹介したい。
それにしても、郵便局員の郭柏村さん。よくぞ届けられました。姓こそ郭だが、かつて李登輝総
統時代に行政院長をつとめた●柏村と同名。日本語読みでは郭も●も「かく」で、おなじ「かく・
はくそん」。こちらの「かく・はくそん」さんの仕事ぶりに、鵜飼支局長は「仕事への誇りを感じ
た」と結んでいる。元行政院長もこの佳話を喜んでいるだろうか。
●=都の者が赤。
◆106歳〜拝啓 台湾の君へ 元小学校教諭、約80年前の教え子に手紙 【本誌5月10日】
http://melma.com/backnumber_100557_6205086/
◆日本人教師が台湾人の教え子に出した手紙が届いた『海角七号』みたいな実話 【本誌4月6日】
http://melma.com/backnumber_100557_6189994/
◆日本と台湾の間で起きた「映画みたいな実話」【Pen-Box:2015年3月23日】
http://blogs.yahoo.co.jp/bakumatsu1/13101917.html
◆日本と台湾の間で起きた「映画みたいな実話」 その2【Pen-Box:2015年3月25日】
http://blogs.yahoo.co.jp/bakumatsu1/13105654.html
◆台湾球児の甲子園V、ラジオに祈った 高木さん 【朝日新聞:2015年2月20日】
http://digital.asahi.com/articles/ASH2L5QNQH2LTLVB00N.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH2L5QNQH2LTLVB00N
106歳恩師の手紙 鵜飼 啓(台北支局長)
【朝日新聞:2015年5月27日「特派員メモ」】
106歳の日本人女性の手紙が台湾で話題になった。
女性は戦前、日本の植民地だった台湾で小学校教師をしていた。約20年ぶりに台湾中部・台中の
教え子に手紙を書いたが、住所表記が変わっていた。宛先不明になるところだったが、若い郵便局
員が受取人を探し出した。
思いがけず届いた手紙に、90歳前後の教え子たちは大いに沸いた。みんなで返事を書き、先生と
テレビ対面ができないかと心待ちにしている。
手紙を届けた郭柏村さん(28)も喜びの輪に加わる。1日約5時間かけて配達しているが、「郵便
物のほとんどは広告や勧誘のダイレクトメール」。スマートフォンなどで簡単にやりとりできる
今、「手紙を書く人はほとんどいない」と感じていた。
郵便配達という仕事への疑問も生まれていた中で届いた分厚い手紙。大事な手紙だと直感した
が、こんな「物語」が秘められているとは考えもしなかったという。
この一件で、人と人をつなぐ手紙の重み、郵便配達の仕事の大切さを改めてかみしめた。「かか
われて光栄」。郭さんの言葉に仕事への誇りを感じた。 (鵜飼啓)