「週刊新潮」が発売された4月16日、体制派と見られがちな台湾の「中央通信社」もそ
の内容を詳しく紹介し、「なぜ台湾は親日か」という修士論文を書いた日本人教師と親台
派の日本人女性の批判的コメントを紹介している。メールマガジン「台湾の声」から転載
してご紹介したい。 (編集部)
【4月18日 メールマガジン「台湾の声」】
我が国が反日?―台湾メディアが「NHKスペシャル」を批判!
ブログ「台湾は日本の生命線!」より ↓ブログでは関連写真も
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-723.html#comment
「親日的とも言われる台湾に、今も残る日本統治の深い傷。それは今後、アジアの中で
生きて行く日本が分かち合わなければならない現実です」と強調した「NHKスペシャル
/シリーズJAPANデビュー」(第一回「アジアの“一等国”」)の偏向ぶりに対し、
全国で怒りの抗議運動が起こっているが、そこに台湾国営の通信社「中央通訊社」(中央
社)が「参戦」した。
「台湾のメディアが参戦した」と教えてくれたのはメールマガジン「台湾の声」の林建
良編集長。中国人と同様の歴史観に基づいて「反日台湾」との虚像を作り上げ、日台関係
を損なおうとするNHKへの抗議運動を台湾人として呼びかけている人物だ。
戦後派が主導する台湾メディアの「参戦」と聞き、私は当初NHKに好意的な報道を行
ったものと思った。なぜなら戦後派はかつての国民党独裁時代、反日教育を受けているか
らだ。今回NHKが示した日本の台湾統治に対する歴史観は国民党の反日史観と同じなの
だ。
ましてや現在は国民党政権の時代である。その意向を汲んだ報道もあり得るとも思った。
ところが、報道を行った台湾人記者は冷静だった。記事は今回のNHK騒動の問題点を
的確に把握した上で、淡々と状況を伝えるものだのだ。
もちろん実際には中央社が、NHK批判の我々の運動に「参戦」したわけではない。た
だNHKの偏向報道の前で、真実を追究する立場を示しただけだ。しかし我々から見れば、
それが「参戦」と映る。なぜなら現在展開しているのは、NHKの歴史歪曲から歴史の真
実を守るため、理性、常識に基づいて声を上げることだからだ。
中央社の記事は、台湾の大手紙「中国時報」や「聯合報」も引用して報じた。これらの
新聞は中国寄りとして知られているが、やはり台湾人の理性で、この報道は重要だと感じ
たのだろう。
以下は記事の日本語訳だ。
原文:台灣人反日? NHK特別節目遭多方抗議
http://tw.news.yahoo.com/article/url/d/a/090417/5/1hzbc.html
台湾人が反日? NHKスペシャルに多方面から抗議
【中央社記者楊明珠・東京16日】「日本放送協会(NHK)」は五日、日本の台湾統治
時代に関する特別番組を放映したが、その結果、多くの台湾人や日本人から「内容が著し
く偏向し、台湾が反日であるとの誤った情報を与えるもの」と抗議されている。番組でイ
ンタビューを受けた台湾人ですら、強く怒っている。
NHKのこの特別番組の名は「シリーズJAPANデビュー」。今年は横浜開港百五十
周年に当たることから、主に日本が世界の舞台に登場してから百五十年間の大きな出来事
を回顧するというものだ。その第一回のテーマは「アジアの“一等国”」で、日本の最初
の殖民地―台湾を報道するものだった。
番組は、日本は世界の「一等国」となるため、台湾の反抗勢力を鎮圧し、台湾の原住民
を博覧会へ連れて行って「展示」することで統治の成功を誇示し、さらには「差別待遇と
同化」と言う矛盾を利用して差別を生み、皇民化運動を実施して台湾人の民族性を剥奪し
たと指摘する。
今日発売の「週刊新潮」の報道によれば、前総統府顧問の金美齡氏は「『偏向番組』の
一語でしか形容できない。日本はいまだに自分を加害者とする自虐史観から抜け出せない
でいる」と語っている。
台湾研究フォーラム会長の永山英樹氏は「この番組は一枚の写真に『人間動物園』との
刺激的な表題を付け、それを利用して一九一〇年にロンドンで開かれた日英博覧会で、日
本政府が台湾のパイワン族を連れて行って『見世物』として展示したと説明するが、パイ
ワン族は伝統舞踏や模擬戦闘を披露したのであり、それは今日の日本が相撲や伝統舞踊、
歌舞伎などを海外で公演するのと同じことだ」と述べる。
評論家の櫻井よしこ氏は、「番組での『人間動物園』の一語は日本政府が使用した言葉
だと誤解させる。番組全体が歴史歪曲報道の連続だと言うことができる」と話す。
「週刊新潮」は、番組の中で何度も登場する八十七歳の柯徳三氏も憤慨していると指摘
する。彼は二〇〇五年、東京で「母国は日本、祖国は台湾」と言う本を出している。
彼は番組の中でのインタビューで、「ようやくエリート学校の「台北第一中学」(現在
の建国中学)に合格したが、日本人が多数を占める環境の中で常に差別を受け、偏見を持
たれることもあった。たとえば豚の角煮や尻尾を弁当のおかずにするとからかわれた」と
語っている。
番組では彼は反日のように見える。だが彼は「取材を受けたとき、日本の台湾統治は
五〇%プラスで五〇%はマイナスと強調した。確かに差別は受けたが、日本は台湾に多く
のものを残した。若し日本の教育がなければ、今日の私はない」と語っている。
また「NHKは取材の際、『もし不都合なことなら話さなくていい』と言うので、不都
合なことと言うのは『日本の批判すべきこと』かと思った。しかし隠す必要はないと思っ
ていたら、意外にもNHKは日本を批判する部分だけを取り上げて放映したので驚いた」
と話す。
報道によると、柯徳三氏は「現在、台湾は正に中国に併呑されるかどうかと言う状況だ。
台湾では日本統治時代のことを知る七十歳以上の人は日本が応援の手を差し伸べることを
期待している。もしNHKの報道で台湾人は反日だと解釈されたら、きっと台日関係に影
響する。だから番組の背後には中国の意図があり、台日を離間させようとしているのでは
ないかと疑う」との憂慮を示している。
日本李登輝友の会事務局長の柚原正敬氏も今日、NHKの報道に対する見方を中央社の
記者に語った。それによると同会の小田村四郎会長及び五名の副会長は連名で抗議声明を
書き、九日に柚原氏からNHKに手交したが、それへの回答は同会には非常に不満なもの
だった。
同会はNHKが番組制作時の参考資料を公開することを望んでいる。また公開討論会の
開催し、NHKの番組制作者、取材記者などの関係者に説明をさせることも検討している
ところだ。
「なぜ台湾は親日か」との修士論文を書いたことのある日本人教師は中央社に対し、
「あの番組を見た後、NHKに抗議の電話を入れ、昨年の北京五輪以降、報道には親中傾
向が目立つと指摘したところ、何と職員から『台湾は中国の一部ではないのか』と言われ、
さらに怒りが高まった」と話す。
東京在住で親台派の日本人女性は、番組の内容について「とんでもない」と語る。そし
て「日本が台湾人を奴隷にしたと告発しているようだ。このような番組によって、台湾人
は実際には反日だと簡単に思わせることができる。自分の親台の心情もこれで撃破されて
しまった」と言う。
NHKの反日姿勢を批判的に取り上げる外国のマスコミは中央社が初めてだろうか。こ
れを知れば多くの日本人は喜ぶだろう。「やはり台湾は親日国家だ」と。しかし「親日」
だからこのような記事を書いたかどうかはわからない。しかし少なくともはっきり言える
のは、台湾人は理性と常識に基づいて、NHKが行った自虐番組の滑稽さを報じたと言う
ことだ。
もちろんそこには、「自国の歴史を歪めるだけでは飽き足らず、台湾の印象まで損なっ
た」「台湾には中国のような嫌らしい反日感情はない」「台湾を反日目的で利用するな」
との不満の気持ちも込められていることだろう。
台湾にまで多大な迷惑をかけたNHK。「日本弱体化」だけでなく「日台離間」をも目
指す中国の意向も働いていると、私もそのようにこのテレビ局を疑っている。(終)
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