台湾駐日代表処の許世楷大使が発売中の月刊「正論」12月号で、「台湾がアイデンテ
ィティー・ウォーズに勝利する日」と題し、台湾の国連加盟問題を中心テーマに発言し
ている。聞き手は、上島嘉郎編集長。
今年初めて台湾は、未だ国連に加盟していない国として「台湾」名で国連加盟を申請
したことは本誌でも何度か伝え、9月15日には本会も加わって東京・新宿において「9・
15『友邦・台湾を国連へ!』アピール行進」を行った。
許世楷大使は、台湾はこれまでの「中華民国」ではなく、なぜ「台湾」名で申請した
のか、この件で台湾が進める住民投票に対する日米の対応の違いとその問題点、なぜ台
湾は台湾化を進めなければならないのかなど、台湾が抱える重要問題について、まさに
獅子吼と言うにふさわしい発言をしている。
「日本はあの当時の高島さん(「日中共同声明」作成実務に当たった高島益郎・外務省
条約局長。周恩来から「法匪」と罵倒された)と同じ考え方をして欲しいと思います。
台湾のためにということではなく、日本の道理と国益を考えれば、一体いかなる選択が
長期的に見て日本のためになるかということです」
日本政府および日本人にとって、許大使のこの発言の意味するところは決して小さく
ない。味読すべき発言である。
今後の東アジアの命運を担っているのは、日本や中国もさることながら、まさに台湾
であることを改めて思い出させてくれるインタビューである。
なお、同誌12月号の巻頭エッセイ「折節の記」の冒頭で、文芸評論家の富岡幸一郎氏
が「知覧と開聞岳」と題して書いているが、氏の『新大東亜戦争肯定論』を共感をもっ
て読んだ者として、またもや共感をもって読んだ。 (編集部)
■月刊「正論」12月号
http://www.sankei.co.jp/seiron/wnews/0711/mokji.html