ンピック(1972年)の平泳ぎで金メダルに輝いた田口信教もOBの一人。
近年はラグビーやサッカーが強い。少林寺拳法でも全国大会出場を果たしている。現在、第94回
全校高校ラグビー大会が行われているが、初めてベスト4に駒を進めている。本日の東福岡高校戦
に勝てば広島勢初の決勝進出となる。
実は、海外交流・国際理解教育を推進している尾道高校の修学旅行先は台湾で、今年3月にも実
施を予定している。2年生約300人が参加するという。
昨夏は、3月の台湾修学旅行とともに「海外の地で見聞を広め,そこに集う外国の人々と接して
ものの考え方や価値観を肌で感じ,同時に我が国や自己のそれらと照らし合わせることを通じて,
自己の志を高くしていく絶好の機会」(黒木校長)にしようということで、台湾研修旅行も実施し
ている。
この台湾修学旅行や研修旅行を先頭に立って牽引しているのが理事長をつとめる加藤晴彦(かと
う・はるひこ)氏だ。機関誌「日台共栄」12月号で、加藤理事長にお忙しい合間を縫って台湾研修
旅行についてご執筆いただいた。
生徒たちの感想文をご紹介いただいたことで、中学生や高校生たちが李登輝元総統のご講話をい
かに深く理解しているかを知って驚かされた。台湾を研修旅行先に選んだ成果は、ラグビーやサッ
カーのように、必ずや現れるだろうと確信させる感想だ。
尾道高校初の台湾研修旅行 李登輝元総統のご講話に感銘
学校法人尾道学園理事長 加藤 晴彦
今年7月28日から8月1日にかけて、尾道高等学校初の国外研修となる台湾研修旅行を実施した。
本校では、2学年の3月に学年約300名全体での修学旅行をしており、台湾の台北を訪れ、観光の
ほか学校間交流を実施している。今年度は大学や企業の訪問も新たに織り込むこととしている。し
かし、日台関係や、英語教育をはじめ国際理解教育への取り組みが進んでいる台湾の教育につい
て、より深く知るにつれ、また、生徒・保護者の中に英語の短期語学留学の要望もあることから、
希望者を募って台湾での特別研修旅行を実施することにした。
その企画にあたっては、第1に、日台関係ひいては世界に関心を向けさせること、第2に、卒業後
の進路として台湾を含む海外大学留学にも関心を持たせうる語学研修とすること、この2つを主目
的と考え、本校独自の研修プログラムを組み立てることとした。
第1については、李登輝元総統から生徒たちに直接お話ししていただけるならば、それが最も良
いと考え、日本李登輝友の会を通してご無理をお願いした。第2については、台湾国立中正大学の
国際事務所長である施慧玲教授の特別の計らいにより、同教授の指導ならびに同大学生チューター
の支援のもとの合同研修となった。
第1の李登輝元総統のご講話については、生徒たちの感想文の一部を紹介するのがよいだろう。
「李登輝さんは91歳で読書と哲学がお好きだそうです。……日本と台湾はよき隣人で、日本は台湾
を50年間統治することで、台湾の近代化に協力したとのことでした。統治の間に、日本から台湾に
鉄道やダム、工業、現代の教育が伝えられました。日本の統治により台湾人が台湾人らしさを求め
るようになったとのことでした。また、台湾と日本は運命共同体でありお互いがなくてはならない
存在だともおっしゃっていました」(中三男子)
「講話の最後に『台湾なくして日本なし、日本なくして台湾なし』とおっしゃられて、とても感慨
深かったです。なぜなら、一時は日本に編入された台湾の人から、功罪を含めたうえで、日本をい
い意味で認めてくれていることや、さらに武士道で示された日本人としての捉え方や考え方が素晴
らしいものだということを聴き、外から日本を見る良い機会となりました」(高一男子)
「中でも印象に残ったのは、日本と台湾の歴史についてです。日本が下関条約から戦後まで台湾を
占拠し、その間に新教育制度を取り入れ、高度な教育を受けることを可能にしたことや、戦後の台
湾では、二・二八事件により、国民党の非民主主義に気づき、絶望した一方で、日本は経済的発展
を遂げたことなどをお話ししてくださいました。また、台湾人は日本人を尊敬しているとも教えて
くださいました。私は李登輝元総統の講話を聴いて、台湾人の方が日本を良く思ってくれていると
いうことを知って安心しました。また、日本人ももっと台湾について知るべきだと思いました。」
(高二女子)
「李登輝先生は、戦前から戦後にかけて日本の様々なものが変わっていく中で、米軍による厳しい
占領時期があったにもかかわらず変わることなく残った『武士道の精神』を大切にするようにと言
われました。私はこの話を聞くまで、日本の武士道が世界的に知られているものだとは思いもしま
せんでした。……これらの話のなかでも、最初に言われた『これから世界は大きく変わっていく、
その中で日本がどうするかを国民全員考える必要がある』という言葉と、最後に言われた『台湾な
くして日本なし、日本なくして台湾なし』という言葉に今後の進路を考えさせられました」(高二
男子)
第2の日台高校生合同研修は、両校から3名ずつ計6名のグループを4つ作り、グループごとに日台
の文化の違いなどのテーマを自ら設定して英語で議論し、その成果をパワーポイントを使ってプレ
ゼンするものだった。このような経験は全員の生徒が初めてであり、四苦八苦しながらも、台湾の
高校生たちとすぐに打ち解け、大学生の親身なサポートに感謝しつつ、なんとかやり遂げた。全員
が大変有意義であったと感想を述べており、今後の勉学におおいに刺激になった模様である。
最後に、この研修旅行のために大変お世話になった多くの皆様に、心から感謝し、改めて御礼を
申し上げます。