習近平氏の視察に合わせ隔離を解除し検査を停止したと武漢の医師が告発

 3月10日、習近平・国家主席が武漢肺炎(COVID-19)発症地である湖北省の武漢市を視察した。すると、中国は武漢市の18日の新たな感染者を0と発表した。湖北省でも感染者0だったという。

 “まさか?!”と眉に唾してこのニュースを見ていたら、案の定、武漢市の患者隔離施設の医師が、習近平氏の「視察に合わせ、症状の残る多数の患者が隔離を急きょ解除され、一部の感染検査が停止された」と告発、「習氏への配慮から、対策成功アピールのため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘」したと共同通信が伝えている。

 この記事を読んで“やっぱりな!”と思うとともに、中国は劣勢挽回のために事実を隠蔽し、得意の宣伝戦に打って出ているという確信を深めた。

 中国問題に詳しい黄文雄氏も、中国は「習近平を『新型コロナ封じ込めの英雄』として祭り上げ始めたと指摘している。別途、ご紹介したい。

—————————————————————————————–中国の医師が告発 中国政府発表の武漢「ゼロ」はウソ 習近平氏の視察に合わせて隔離解除【共同通信:2020年3月20日】

 新型コロナウイルス感染症の被害が最も深刻な中国湖北省武漢市での新規感染者を、中国政府が18日に0人になったと発表したことについて、同市にある患者隔離施設の医師が19日、共同通信の取材に「信頼できない」と告発した。

 医師によると、10日に行われた習近平国家主席による視察に合わせ、症状の残る多数の患者が隔離を急きょ解除され、一部の感染検査が停止されたという。習氏への配慮から、対策成功アピールのため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘し、同市の状況改善は欺瞞(ぎまん)であるとした。

 中国で現場の医師がこうした告発を行うのは異例。医師は40代で、武漢市の患者隔離施設で退院の可否を判断する立場にある。匿名を条件に書面や通信アプリを通じて取材に応じた。実態が隠されれば、再び大流行が起こる恐れがあると強い懸念を示した。

 中国の診療方針は感染症患者の退院について、ウイルス検査の結果が2回連続で陰性となり、コンピューター断層撮影(CT)で肺炎の症状の明らかな改善が確認されることなどを条件としている。

 医師によると、習氏の視察以降、自身が担当する患者に肺炎の所見が見られたにもかかわらず、感染症対策を担う当局の「専門団」の判断で隔離が解かれた。この頃から解除の判断が甘くなり「感染者の大規模な隔離解除が始まった」という。

 外来患者も発熱などの症状がある人への問診が簡略化され、感染時に体内で生成される抗体を検出する血液検査が停止された。結果として「感染疑い例が野に放たれている」としている。

 習氏は武漢市の病院などを視察し「(感染状況に)前向きな変化があり、重要な成果が出ている」と強調、感染が終息に向かっていると内外にアピールしていた。

 中国政府の発表では、湖北省でこれまでに5万8000人近くが治療を終えて退院。武漢市では3月中旬に入って1日当たりの新規感染者数が10人以下で推移している。

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