米連邦議会の上院が台湾のWHO年次総会への参加支援する法案を可決

 5月18日の世界保険機関(WHO)の年次総会(WHA)開催が迫る11日、米連邦議会の上院(定数:100人)が台湾のWHO年次総会への参加支援する法案を全会一致で可決した。

 法案は、国務長官に台湾が世界保健機関にオブザーバーとして復帰できる戦略策定を求める内容で、「台湾の世界の公衆衛生分野での貢献について言及。台湾が同分野における国際人道支援に投入してきた資金は1996年から現在まで60億米ドル(約6443億円)超に上っているとし、80余りの国が恩恵を受けたと指摘」(中央通信社)しているという。

 法案はジェームズ・インホフ議員(共和党)が提出し、コリー・ガードナー氏やマルコ・ルビオ氏ら20人余りの議員が賛同署名を寄せたとも報じられている。

 法案はまだ下院で可決されておらず、成立は大統領の署名を経なければならないことから、日本メディアも軒並み扱いが小さい中で、NHKが大きく報じている。昨日の本誌でお伝えしたように、NHKは台湾のWHO年次総会への参加について「政治的な駆け引きよりも人命と安全を最優先に、台湾を排除しないよう求めたい」と解説している。

 なお、上院がこの法案を可決した翌12日、今度は連邦議会の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会」が、台湾のWHOからの台湾排除は情報共有に支障を来たと指摘するとともに、台湾排除を主張する中国を非難し、感染拡大を利用して中国が台湾への圧力を強めているとも指摘する報告書を発表した。

 米中経済安全保障調査委員会の報告書は、11月に発表される年次報告書ではなく、WHO開催をにらんで発表されたようだ。別途、ご紹介したい。

—————————————————————————————–米議会 台湾のWHO年次総会への参加支援する法案を可決【NHKニュース:2020年5月13日】

 アメリカ議会上院は、台湾が求めている、WHO=世界保健機関の年次総会への参加を支援する法案を全会一致で可決し、アメリカではトランプ政権に続いて議会でも台湾の参加を後押しする動きが活発化しています。

 アメリカ議会上院は11日、台湾が求めている、WHOの年次総会へのオブザーバー参加を支持し、国務長官に対して参加に向けた戦略の策定を求める法案を全会一致で可決しました。

 台湾は以前はオブザーバーの資格でWHOの総会に参加していましたが、4年前に中国からの独立志向が強いとされる民進党の蔡英文政権が発足して以降、招待されておらず、来週開かれることしの総会にも参加の見通しは立っていません。

 法案を提出した共和党のインホフ上院議員は11日、声明を発表し、「中国政府が台湾の参加を妨害してきたが、もはや受け入れられない。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している時に中国政府による外交的いじめがさらにひどくなっている」と述べ、中国政府を非難しました。

 アメリカ議会では先週、上院と下院の外交委員会の共和・民主の代表4人が連名でおよそ60か国の指導者に書簡を送って、来週、開かれるWHOの総会に台湾が参加できるよう各国の協力を求めています。

 アメリカでは、トランプ政権が台湾の参加を働きかけ中国政府との対決姿勢を強めていますが、これに続いて議会でも超党派で台湾の参加を後押しする動きが活発化しています。

◆国務省はツイッターで台湾の参加を支持

 一方、アメリカ国務省は、12日、ツイッターに「18日から開かれるWHOの総会に台湾が参加することをわれわれは強く支持する」と書き込んだ上で、台湾は参加すべきというメッセージを拡散するよう呼びかけています。

 国務省は今月1日にもツイッターに「新型コロナウイルスの発生に際して、中国政府は事実を隠し科学者の口を封じ、言論統制を行ったが、台湾の対応は世界の模範だ」と投稿し、SNS上で台湾が総会に参加する意義を訴えています。

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