米国政府が台湾へ無人航空機など3種類の新鋭兵器売却を議会に通知

 10月13日、米国政府は国務省の承認の下、新鋭兵器の無人航空機「MQ─9」、トラック型ロケットランチャー「HIMARS」、空対地巡航ミサイル「SLAM−ER」の台湾への売却について議会に通知したと報じられている。台湾への武器売却は今回で8度目になるという。

 米国は、再選された蔡英文総統の総統就任式当日の今年5月20日、台湾へ魚雷とその関連部品など総額1億8000万ドル(約190億円)にのぼる武器売却を決め、7月9日には6億2000万米ドル(約663億円)に上る地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を更新するための関連装備の売却を議会に通知したばかりで、今年3度目となる。

 トランプ政権となってからの米国は、中国の露骨なまでの覇権的台頭を「主要脅威」と位置づけ、インド太平洋地域の安定をはかるため台湾との関係を強化している。その具体化が武器売却だ。

 トランプ政権は2017年6月、政権発足後初めて、台湾に対し魚雷やSM2艦対空ミサイル部品、早期警戒用レーダーの技術支援など7項目にわたる総額約14億ドル(約1600億円)の武器売却を決め、その後も2018年9月には、F16戦闘機やC130輸送機などの交換部品など3億3000万ドル(約373億円)の売却、2019年7月には、携帯型地対空ミサイル「スティンガー」250発と「M1A2エイブラムス戦車」108輛など計約22億ドル(約2400億円)の売却、翌8月にはF16V戦闘機66機の売却を決定している。

 米国と中国はあらゆるところを戦場とする超限戦の様相を呈している現在、米国の台湾への武器売却は昨年が2度、今年は3度と、そのスピードは加速している。

—————————————————————————————–米政権、台湾への無人機売却計画を議会に通知=関係筋【ロイター通信:2020年10月13日】https://jp.reuters.com/article/usa-taiwan-arms-idJPKBN26Y2V9

 [ワシントン 13日 ロイター] – 米ホワイトハウスが13日、無人航空機「MQ─9」と沿岸防衛ミサイルシステムを台湾に売却する計画を議会に通知したことが、事情に詳しい5人の関係者の話で分かった。

 台湾への軍備品売却は中国の反発を招く可能性がある。ロイターは前日、米政権がロッキード・マーティン製のトラック型ロケットランチャー「HIMARS」やボーイング製の空対地巡航ミサイル「SLAM−ER」など3種類の新鋭兵器の台湾向け売却計画を議会に通知したと報じた。

 MQ─9売却の議会への事前通知は、トランプ大統領が「ミサイル関連技術輸出規制」(MTCR)を再解釈し、無人機の輸出規制を緩和すると発表してから初めて。

 米上下両院の外交委員会には、国務省が議会に正式な通知を送る前に、武器売却に関する非公式の審査を実施し、阻止する権利がある。

 関係筋によると、両院の外交委員会の幹部は今回、海外への兵器売却を管轄する国務省が、台湾への兵器売却計画を承認したとの通知を受けた。

 米国務省と中国政府はコメント要請に応じていない。

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