台湾の中央通信社は「ブッシュ(子)政権時代の国防総省中国部長、ジョセフ・ボスコ氏が1月下旬、雑誌への投書で蔡総統の招請をトランプ大統領に呼び掛けた」ことに続くと報じている。下記に産経新聞の記事を紹介したい。
テッド・クルーズ議員は2017年1月8、中米4ヵ国訪問の往路でテキサス州ヒューストンに立ち寄った蔡総統と会談し、「台湾は力強い友、力強い同盟相手であり、それを強化するのが楽しみだ。武器の輸出など安全保障上の関係から始めるべきだ」と表明していた。
コーリー・ガードナーとマルコ・ルビオの両議員は、昨年3月に制定された「台湾旅行法」や12月末に制定された「アジア再保証イニシアチブ法」の上院提案者であり、またコーリー・ガードナーとトム・コットンの両議員は「台湾安全法」(2017年7月24日提出)の上院提案者だ。
米国の連邦議会の活躍はまことに頼もしい限りで、米国にはすでに「台湾旅行法」があり、台湾の政府高官の訪米および国務省や国防総省を含む米政府高官との対面などは違法ではない。台湾との関係強化をはかる国内法の制定は中国への強烈な牽制となっている。
翻ってわが日本はどうだろう。蔡英文総統を招いて国会演説するよう要請する国会議員はいるのだろうか。議員はいたとしても、実は台湾の総統を招くことを合法とする法律がなく、提案さえできないというのが日本の現実だ。日米同盟を組む日本の国内法整備はかなり立ち遅れていて、米国とのバランスに欠ける上、日本の国益にも影響する重大な欠陥だ。
————————————————————————————-米共和党議員団、台湾の蔡総統を上下両院合同会議に招くよう下院議長に要請【産経新聞:2019年2月8日】
【ワシントン=黒瀬悦成】米上院共和党の有力議員5人は7日、ペロシ下院議長に連名で書簡を送り、台湾の蔡英文総統を上下両院合同会議での演説に招待するよう要請した。
書簡に名を連ねたのは、上院外交委員会の東アジア太平洋・国際サイバー安全保障小委員長を務めるガードナー氏のほか、ルビオ、コットン、コーニン、クルーズの各氏。
ガードナー氏らが公開した書簡は、4月に成立40年を迎える台湾関係法が「米国と中国との外交関係の樹立は、台湾の将来が平和的に定められることへの期待を基礎とする」と明記されていると指摘。その上で、「中国は台湾の民主体制と主権を脅かす言動をエスカレートさせている」と非難した。
また、米議会が昨年、台湾高官の訪米と米高官との交流を促す台湾旅行法や、インド太平洋地域への米国の関与強化に向け、米台高官の相互訪問の推進を米大統領に求めることなどを盛り込んだ「アジア再保証イニシアチブ法」を成立させたと指摘し、「議会はほぼ全会一致で台湾を支持している」と強調した。
書簡はその上で、「蔡総統は、台湾の人々の民主的権利と基本的人権の否定を図る権威主義的で抑圧的な体制との闘争に取り組む、真の民主的指導者だ」とし、蔡氏を議会演説に招待するのは「米国と米国民は常に抑圧された人々の側に立つという強いメッセージを(中国に)送ることになる」と訴えた。