この法案は3条からなり、米国が台湾を重視する姿勢が如実に見て取れる以下の内容だ。
一、米国の全てのレベルの政府関係者による台湾訪問および対等な行政レベルにある台湾の政府関 係者への訪問を解禁する。
二、台湾の政府関係者の尊厳を守る原則の下、台湾の政府高官の訪米および国務省や国防総省を含 む米政府高官との対面を解禁する。
三、米駐在の台湾の代表機関、駐米台北経済文化代表処および台湾が設置した全ての機関による米 での正式な活動を奨励する。
この法案が法制化されると、蔡英文総統を国家元首としてホワイトハウスに迎え入れることも可能になるという。
蔡英文総統も早速、ツイッターで「台湾旅行法は、台湾と米国の長期にわたるパートナーシップを強化する」として米国議会へ感謝の意を表している。
この「台湾旅行法」の法案は、昨年1月13日、スティーブ・シャボット下院議員(共和党)、ブラッド・シャーマン下院議員(民主党)、下院外交委員会のエド・ロイス委員長が共同で提出、下院の外交委員会アジア太平洋小委員会は6月15日に全会一致で可決。その後、10月12日には下院の外交委員会が可決している。
5月4日には上院でも、マルコ・ルビオ上院議員(共和党)、シェロッド・ブラウン(民主党)、ジム・インホフ(共和党)、ロバート・メネンデス(民衆党)、コーリー・ガードナー(共和党)、ゲイリー・ピーターズ(民主党)の6議員により同様の法案が提出されている。
また、米連邦議会下院では同日、台湾の世界保健機関(WHO)参加への支持と協力を国務長官に求める法案も可決されたという。中央通信社の記事を下記に紹介したい。
なお、米国議会では現在、「米国政府が台湾の国際的地位を促進し、地域の平和と安定を確保すること」を目的とした「台湾安全法」(Taiwan Security Act)も審議されている。この法案は昨年7月24日、上院外交委員会の東アジア等小委員会委員長を務めるコーリー・ガードナー上院議員(共和党)とトム・コットン上院議員(共和党)が提出した。
—————————————————————————————–台湾旅行法が米下院通過 総統府が感謝の意【中央通信社:2018年1月10】
(台北 10日 中央社)米下院は9日、米国の全レベルの官僚の台湾訪問許可を盛り込んだ「台湾旅行法」の草案を全会一致で可決した。総統府の林鶴明報道官は10日、台米交流を重視する米議会の姿勢や法案推進に力添えをした議員に感謝を示した。
台米高官の相互訪問は1979年の台湾関係法施行以来、米側によって規制されてきた。草案では、米政府は台米間の全レベルの官僚の相互訪問を奨励すべきだとする米議会の意見が記されており、具体的な内容として▽閣僚級の国家安全保障高官や軍将官、行政機関官僚を含む全てのレベルの官僚の台湾訪問、相手方官僚との面会の許可▽米国を訪問する台湾高官個人の尊厳を尊重する形での受け入れや、国務省、国防総省、その他閣僚級高官との面会許可―などが挙げられている。
共和党のスティーブ・シャボット下院議員らによって昨年1月に提出され、同10月に下院外交委員会を通過。上院でも同5月、共和党のマルコ・ルビオ上院議員らによっても同様の草案が提出されている。法案は上院で可決された後、上下両院での一本化に向けた協議が行なわれ、トランプ大統領の署名を経て成立する。
また、下院では同日、台湾の世界保健機関(WHO)参加への支持と協力を国務長官に求める法案も可決された。同法案は上院に送られる。
下院外交委員会のエド・ロイス委員長は「下院が台湾に関する2つの法案を1日に可決したことは、友人であり、パートナーでもある台湾への支援を示す力強いメッセージ」だと報道資料でコメントしている。
(鄭崇生、葉素萍、江今葉/編集:名切千絵)