今年の1月半ば、共和党のスティーブ・シャボット下院議員、民主党のブラッド・シャーマン下 院議員、下院外交委員会のエド・ロイス委員長が共同で「台湾旅行法」(Taiwan Travel Act)という法案を提出したことは、本誌6月17日号でお伝えした。
この法案は3条からなり、法案第1条に「米国の全てのレベルの政府関係者による台湾訪問、および対等な行政レベルにある台湾の政府関係者への訪問を許可する」とあり、なんとも画期的な法案だ。
この法案は、連邦議会下院の外交委員会アジア太平洋小委員会において6月15日に全会一致で可決され、10月12日、今度は下院の外交委員会で可決されたという。今後、下院本会議で審議する。
一方、共和党のマルコ・ルビオ上院議員らによって、上院にも同様の草案が提出されているという。
昨年7月6日、米国連邦議会の上院は「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」を可決している。これも「台湾の主権に関する立場を変えない」や「台湾関係法の改正に同意しない」「中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない」など6項目を米国の基礎とするという画期的な決議だ。
さらに、昨年12月、オバマ大統領が署名したことで成立した「2017年度の国防授権法」は、米国と台湾の間の軍と軍の関係を向上させるため、米軍の現役将官や国防総省の次官級以上の職員が台湾軍の高官や国防関係幹部職員と交流を実行すべきとする内容だ。
現在は「2018年度の国防授権法」の審議が進められており、米海軍の艦船を高雄など台湾の港に定期的に寄港させることや、米太平洋軍が台湾の入港や停泊の要請を受け入れること、水中戦での攻撃能力向上を目指す台湾への技術支援などが盛り込まれており、6月28日に上院の軍事委員会がこの法案を可決し、7月14日には下院が可 決している。
「台湾旅行法」と「2018年度の国防授権法」の行方に注目してゆきたい。
—————————————————————————————–米下院外交委、「台湾旅行法」可決 高官の相互訪問解禁に一歩前進【中央通信社:2017年10月13日】
(ワシントン 13日 中央社)米下院外交委員会は12 日、米国の全てのレベルの官僚の台湾訪問許可を盛り込んだ「台湾旅行法」の草案を可決した。米側は1979 年の台湾関係法施行以来、台米高官の相互訪問を規制してきた。草案の同委員会通過は、相互訪問解禁に向けた重要な一歩となった。
草案では、米政府は台米間の全レベルの官僚の相互訪問を奨励すべきだとする米議会の意見が記された。具体的な内容としては▽閣僚級の国家安全保障高官や軍将官、行政機関官僚を含む全てのレベルの官僚の訪台、相手方官僚との面会の許可▽米国を訪問する台湾高官の個人の尊厳の尊重をできる形での受け入れや、国務省、国防総省、その他閣僚級高官との面会許可―などが挙げられた。
共和党のスティーブ・シャボット下院議員らによって今年1月に提出され、6月に下院外交委員会アジア太平洋小委員会を通過していた。5月には共和党のマルコ・ルビオ上院議員らによっても同様の草案が提出されている。
シャボット議員は同委員会で、米国が台米高官の相互訪問を自主規制するのは侮辱であり、台湾の総統や副総統、外相、国防相のワシントン訪問を認めないのはばかげていると語った。
草案は今後、下院本会議に送られる。
(鄭崇生/編集:名切千絵)