米国の米中経済安全保障調査委員会が台湾のWHO排除は情報共有に支障と報告

 米国連邦議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」」(USCC:U.S.-China Economic and Security Review Commission)の年次報告書は毎年11月に発表される。しかし、5月12日に発表した報告書は、連邦議会の上院が台湾のWHO年次総会への参加支援する法案を可決したタイミングで発表したことから、WHO開催をにらんで、中国を牽制するために発表されたようだ。

 報告書は、台湾のWHOからの台湾排除は情報共有に支障を来たと指摘するとともに、台湾排除を主張する中国を非難し、感染拡大を利用して中国が台湾への圧力を強めているとも指摘しているという。

 米中経済安全保障調査委員会の報告書について、日本メディアの扱いは小さい。産経新聞でさえ共同通信記事を報じている中、日本経済新聞が独自で報道している。その記事を下記にご紹介したい。

 ちなみに、この米中経済安全保障調査委員会は、上下両院の共和、民主両党議員が指名する12人の専門家の委員を中心に、米中経済関係が米国の安全保障に及ぼす影響を精査して政府と議会に政策勧告することを目的として2000年10月に設立されている。共和党と民主党がメンバーを選出するため、その年次報告書は米の与野党の共通認識を反映していると言われる。

 今回の報告書も与野党の共通認識を反映したものと思われ、上院で可決された台湾のWHO年次総会への参加支援する法案は下院でも可決される可能性が高い。

—————————————————————————————–台湾のWHO排除「情報共有に支障」 米議会諮問機関【日本経済新聞:2020年5月13日】

 【ワシントン=永沢毅】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障再考委員会」は12日にまとめた報告書で、台湾の世界保健機関(WHO)への参加が認められていないため新型コロナウイルスの情報共有が進んでいないと指摘し、台湾排除を主張する中国を非難した。感染拡大を利用して中国が台湾への圧力を強めているとも指摘した。

 このタイミングでの公表には、18日に始まるWHOの年次総会への台湾参加の機運を国際社会で高める狙いがある。新型コロナの流行を受けて強まる米議会の対中強硬姿勢も反映している。

 報告書は「台湾の排除によって、感染拡大の初期にWHOの加盟国への時宜を得た正確な指針の提供が遅れた」と分析。もしWHOが台湾の専門家と情報共有をしていれば「各国はもっと完全な情報を得られた」との見方を示した。台湾の対策はいち早く封じ込めに奏功したとして各国から評価されている。

 また、「世界が新型コロナに翻弄されている間に中国は多方面で台湾への圧力を強化した」とも指摘した。中国の空母「遼寧」が4月に台湾周辺を航行したことなどを具体例にあげた。

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