ロンドンで開いたG7外相会議の共同声明(5月5日発表)では「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記し、また「国際社会は、新型コロナウイルス対策で成功した台湾を含め、すべてのパートナーの経験から利益を得るべきだ」と指摘し、台湾が世界保健機関(WHO)の年次総会に参加することへの支持も表明したことは記憶に新しいところです。
5月24日から始まる今年のWHOの年次総会を前に、米国のアントニー・ブリンケン国務長官はさらに一押しし、5月7日に「台湾を引き続きWHOの年次総会から排除する合理的な理由はない」とする声明を発表、WHOの事務局長に対して、中国政府が異議を申し立てる前に台湾によるオブザーバー参加を招請するよう呼びかけたそうです。
台湾の「台湾国際放送」が伝えていますので下記に紹介します。
このブリンケン国務長官の呼び掛けに中国は反発、ロイター通信は「米国が台湾の招待を求めていることを『政治的操作』と非難し、台湾は国際機関への加盟を望むなら中国の一部であることを受け入れる必要があると述べた。その上で『台湾問題は中国の核心的利益に関わると再度強調したい。中国に妥協の余地はない』と語った」と報じています。
日本も政府をはじめ超党派の国会議員でつくる「日華議員懇談会」や多くの自治体が台湾のWHAへのオブザーバー参加を求めています。世界から医療の空白地帯をなくすこともさることながら、台湾のコロナ禍への対応を紹介できるもっとも適切な機会です。WHOのテドロス事務局長にはぜひ台湾がWHAに参加できる道筋をつけてもらいたいものです。
—————————————————————————————–米国務長官、台湾のWHA参加を支持 行政院が感謝【台湾国際放送:2021年5月11日】https://jp.rti.org.tw/news/view/id/93605
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は7日に声明を発表し、世界保健機関(WHO)の指導層が適切な行動をとり、今年の世界保健総会(WHA)への台湾のオブザーバー参加を認めるよう呼びかけました。行政院の羅秉成・報道官は8日、アメリカ、日本、フランスなどの主要国家の台湾に対する支持、励み、評価に感謝すると共に、台湾は今後も国際社会におけるイメージアップと地位向上のために努力し、価値観と理念の近い国々とのパートナーシップを強化していくとしています。
ブリンケン国務長官は、声明の中で、「台湾を引き続きWHOの年次総会から排除する合理的な理由はない」とし、WHOの事務局長に対して、中国政府が異議を申し立てる前、台湾によるオブザーバー参加を招請するよう呼びかけました。
これに対して、中華民国台湾の外交部は、ブリンケン国務長官は、全世界の公衆衛生の問題解決のために貢献を行い、経験を提供した台湾を評価した。台湾のことを頼もしいパートナー、活力に満ち溢れる民主国家、世界における善良な力と称えたとし、常に公の場で台湾を声援し、台湾による世界保健総会(WHA)への参加を強く支持しているブリンケン国務長官に心から謝意を表明したと述べました。
外交部はまた、アメリカ政府、国会、人民による台湾のWHO参加へのゆるぎない支持と支援にも感謝し、より多くの国々が台湾と共に努力し、政治を超え、全人類の健康と安全を守るよう呼びかけています。
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