産経が日華懇の記者会見の模様や和田有一朗・衆院議員と謝長廷・元代表の感慨を報道

昨日(2月26日)、国会内で開かれた日華議員懇談会(古屋圭司会長)の「戸籍における国名表記問題に関するプロジェクトチーム」(略称:戸籍PT)が開いた会合の模様は別途紹介したが、産経新聞がその模様とともに、国会で戸籍問題について質問した和田有一朗・衆院議員(日本維新の会)と、戸籍問題について国会議員と情報交換していた謝長廷・台北駐日経済文化代表処前代表の感慨を伝えている。

また産経新聞は、台湾人記者に取材し、在日台湾人の方々が「すごくうれしがっている」様子を伝える記事も報じている。

合わせて下記に紹介したい。

◆「みんな日本政府に感謝」台湾人記者、戸籍「台湾」表記を歓迎 取材先はシャンパンで乾杯
【産経新聞:2025年2月26日】
https://www.sankei.com/article/20250226-IQGZWJQD5JED5DZ3KC2QSW5R7Y/


「涙せずにいられぬ」戸籍の国籍欄「脱中国」は台湾人長年の願い 水面下で尽力した日華懇
【産経新聞:2025年2月26日】
https://www.sankei.com/article/20250226-KTKFC5Q4QJACRGUPMXDH7OMF7A/

5月下旬以降、日本人と結婚した外国人の戸籍の国籍欄に地域名が追加され、台湾出身者を対象に「中国」ではなく「台湾」表記が認められる。

法務省が戸籍法の施行規則を改正する方針を明らかにした。

「台湾」表記は台湾出身者の長年の願いだった。

台湾との友好関係を重視する超党派議員連盟「日華議員懇談会」(日華懇)も水面下で政府に実現を働きかけていた。

◆石破首相にも「逐次報告」

「台湾人の国籍が『中国』表記されているのはアイデンティティーとして極めて問題だ。

ローキーで議論してきた」

日華懇の古屋圭司会長(自民党)は26日、記者団にこう語り、中国側の妨害を避けるため水面下で調整してきたことを明らかにした。

石破茂首相や岩屋毅外相に対しても「逐次報告され、十分認識されている」と強調した。

日華懇は同日午前、国会内で戸籍PT(座長・滝波宏文参院議員)を開催し、台湾の台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)幹部や台湾出身者に対し、戸籍に「台湾」表記が認められる経緯について説明した。

◆遡及的に手続き可能

台湾出身者は日本で約6万7千人(令和6年6月時点)が暮らしている。

既に戸籍上「中国」記載となっている台湾出身者も変更手続きが可能となる。

台湾では2003(平成15)年頃から従来の「中華民国」などに替えて、「台湾」呼称使用の拡大を図る「正名運動」が進められ、日本では平成21年7月の法改正による外国人登録証明書の在留カード化措置で台湾出身者の「国籍・地域」表記は「中国」から「台湾」に改められた。

台湾出身者に対して戸籍上「中国」表記が強いられる問題は「台湾人の人権や尊厳に関わる問題」(日華懇・木原稔事務局長)に加え、実害も報告されている。

日本で亡くなった台湾出身者を台湾で埋葬しようとしても、発行書類の国籍名が「中国」となるため書類訂正が求められるといった弊害があるという。

◆新人議員も国会質問「台湾に失礼だ」

戸籍法の施行規則改正は、戸籍に氏名の振り仮名記載が追加されるためのシステム改修に伴って実施される。

こうした流れも踏まえて、日華懇は令和4年11月にPTを発足させ、法務省側との交渉を加速させていた。

日華懇にも所属する日本維新の会の和田有一朗衆院議員も4年2月8日の衆院予算委員会で、台湾出身者の戸籍欄に中国と記されていることについて、「台湾の方に失礼だ。

人権問題だと思う。

変えることはできないか」などと疑問視していた。

和田氏は3年10月の衆院選で初当選し、この時が初の国会質問だったという。

和田氏は、日本で暮らす台湾人から戸籍を実際に見せてもらい、「中国」と表記されていることへの複雑な思いも聞いてきた。

◆「ついに来たか」

和田氏は産経新聞の取材に、戸籍の「中国」表記について「どう考えてもおかしな話だ。

われわれは台湾人を『友人』『外交上の良きパートナー』という割には初歩的なことができていなかった」と振り返った。

今回の対応については「ついに来たかと思う一方、この程度のことでこれだけ時間がかかってしまうのか」とも漏らした。

2016(平成28)年から24年8月まで台北駐日経済文化代表処代表を務め、戸籍の「台湾」表記を訴えてきた謝長廷氏は今月17日、戸籍に「台湾」表記を可能とする報道に接し、フェイスブック(FB)にこう書き込んだ。

「涙せずにはいられない。

いろいろな感情が混ざり合っている。

多くの人間の無限の努力があった」

(奥原慎平)。

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