所長を務めるNPO法人岡崎研究所が日・米・台の安全保障問題の専門家を集めて「戦
略対話・東京ラウンド」を行ったことをお伝えした。
この会議には台湾から王金平・立法院長(国会議長に相当)や蔡明憲・前国防部長
(大臣に相当)も出席、特に王院長が「安定発展に向かう台日協力関係」と題して講演
したことを「台湾週報」が伝えているのでご紹介したい。 (編集部)
王金平・立法院長が東京で「台日の特別なパートナー関係」を提唱
【9月17日 台湾週報】
http://www.taiwanembassy.org/ct.asp?xItem=68060&ctNode=3591&mp=202
岡崎研究所が主催する「戦略対話・東京ラウンド」が9月16日、東京都内のホテルで
開かれ、台湾、日本、米国3カ国から約20名の安全保障専門家らが出席し、台日米の協
力関係のあり方などについて討論された。
台湾からは王金平・立法院長が出席し、王院長は「安定発展に向かう台日協力関係」
をテーマに講演を行った。
このなかで王院長は「台湾は中国大陸との交流を一歩ずつ進めているが、対日および
対米関係を重要視していることに変わりはない」と述べ、日本および米国と国会外交を
推進し、各国の行政部門の重要人物との意思疎通を深めてきたことを強調した。
台日関係について王院長は、台日両国の貿易総額が670億ドルで台米貿易総額の640億
ドルを超えていることや、観光客ノービザ措置、航空新路線の開設、運転免許証の相互
承認、台日両国の年間往来人数が250万人に達したこと等、台日関係がますます緊密に
なっている例を挙げたうえで、王院長は「日本の各界は馬英九総統および新政府の対日
友好の立場を疑う必要はない」と述べ、「引き続き台日間の各項目の関係を発展させ、
地域の平和と安定、自由民主、発展繁栄を増進することで両国の新局面を共同で創り出
すことができる」との認識を示した。
そのうえで王院長は、「台湾と日本は正式な国交関係がなく、いかなる同盟関係や自
由貿易協定(FTA)も結んでいないが、台湾と日本は常に密接な政治協力関係を維持
しており、台湾海峡の安全保障問題は台日双方および日米安保の共通の関心テーマとな
っている」と指摘し、この状態を保つ「台日の特別なパートナー関係」を提唱し、台湾
と日本の信頼関係と長期的な友好の基礎としたい考えを示した。
台湾の国連専門機関参加に関して、王院長は「例えば世界保健機関(WHO)総会オ
ブザーバー参加はわが国が長期にわたって推進している既定の目標であり、新政府は来
年5月に達成できるよう、日米両国の支持と、その影響力を発揮してその他の国家が台
湾を支持するよう期待すると同時に、(日米に対し)中国大陸が妨害しないよう説得し
てほしい」と呼びかけた。また、王院長は「国際民間航空機関(ICAO)や世界気象
機関(WMO)等政治性の低い国連専門機関などに、日米が台湾の国際空間獲得に協力
することは、台日米の共通利益になると信じている」と述べ、日米両国の理解と協力を
求めた。
このほか、王院長は講演前に同席した安倍晋三・元首相と会話を交わし、安倍元首相
は、台湾と中国の関係安定に歓迎の意を示すと同時に、台湾の新政府がさらに対日関係
強化を進めることに期待を示した。
また、王院長は東京滞在中に平沼赳夫・日華議員懇談会会長を表敬訪問し、国会外交
を通じた台日関係強化などのテーマについて意見交換を行った。