王金平・立法院院長が来日、麻生太郎幹事長らと意見交換

台湾・立法院の王金平院長が7日、来日した。日本の新聞は北京五輪一色で埋め尽く
された感があり、王院長の来日を伝える報道は見当たらない。

 王院長は今回の来日目的について、「『府院党5人小組(ほか、馬英九総統、蕭万長
副総統、劉兆玄行政院長、呉伯雄中国国民党主席で構成)』の一員として、出発前にこ
の訪日のことについて話し合い、日本が台湾に対する懸念をすみやかに払拭」すること
にあると述べている。

 王院長の今回の来日は、10日から12 日まで奈良市で行われる「アジア太平洋国会議
員連合」(APPU)の総会に出席するためと伝えられているが、自民党の幹事長に就
任した麻生太郎・元外相の招きに応じての訪日とも伝えられている。

 来日した王院長は、その日のうちに江田五月参院議長と公邸で会談し、日台関係や国
際関係などについて広く意見を交換している。昨8日は自民党本部で麻生太郎・自民党
幹事長と会談し、台湾と日本および国民党と自民党の関係強化を話し合った模様だ。

 8月25日〜29日には、海峡交流基金会(海基会)理事長で国民党の江丙坤副主席の訪
日が予定されており、馬英九政権が掲げる経済を軸とする対中政策を説明すると報道さ
れている。

 本誌でも伝えたように、馬英九政権が発足して2ヵ月以上経った7月24日、欧鴻錬・外
交部長が『ワシントンタイムズ』紙に「台湾の政治課題:実務的なグローバル戦略」と
題する外交の新政策を発表し、「米国、日本、欧州連合(EU)およびその他の民主主
義国家との確固たるパートナーシップ強化」を謳った。

 日本に関しては、7月31日に国家安全会議がようやく台日関係強化策を検討する第1回
目の会議を開き、翌8月1日には馬英九総統が7月15日に赴任していた斎藤正樹・日本交
流協会台北事務所代表と会見するに至り、対日関係の道筋がぼんやりと見えてきた。そ
して、王金平・立法院院長、江丙坤・海峡交流基金会理事長の来日と続く。

 今回の王院長の来日に当たって、許世楷前駐日代表が日本を去るに当たって大切なメ
ッセージを発していたことを今さらながらに思い出す。

 「馬総統は(中国の反発で)日本訪問ができない。だが国民党と共産党が党対党で中
台関係を話し合っているのと同じ理屈で、こっちも自民党の首脳が早急に台湾にいって
今後の関係を確認することが日台の関係安定化に役立つのではないかと考えている。台
湾の対中国だけでなく、外交上の大きい問題についていつでも、なるべく早く日本側に
説明できる態勢。台北でも東京でも情報や信頼性の混乱を避けるため、台北でも東京で
も責任ある人物を決めておいて、本当の窓口をしっかりさせておいたらいい」

 「2003年だったか、自民党の麻生太郎さんが台湾に来たことがあった。当時の麻生さ
んは政調会長(であり実績がある)。今後は個人の資格ではなく党としての外交を、き
ちんとしたルートで台湾との間で結んだらいい」
                        (7月13日 MSN産経ニュース)

 中国の反対により、未だ総統、副総統、行政院長、外交部長、国防部長の日本訪問は
制限(禁止)されている。となれば、立法院長、海峡交流基金会理事長、国民党主席な
どが来日して説明するしかない。

 麻生自民幹事長はこの許大使のメッセージを忘れず、政党間交流と台湾が外交姿勢を
日本側に説明する機会を早速実現させたのが今回の王院長の来日ということのようだ。

 北京五輪の陰で、日台関係は再び最良の関係をめざして動き出した。王金平院長はき
ょう9日は日光で静養した後、10日に奈良に入る。

                   (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原 正敬)


王金平・立法院長(国会議長)が8月7日に来日
【8月7日 台湾週報】

 王金平・立法院長(国会議長)は8月7日〜13日の日程で来日し、日本において、「第
39回アジア・太平洋国会議員連合(APPU)総会」に出席し、同行した10数名の与野
党の立法委員と共に、来年における同総会の台湾開催の実現を図る予定である。

 今回の王立法院長の来日では、台湾の遊漁船「聯合号」が日本の海上保安庁の巡視船
に接触し沈没した事件発生後、台日関係は外部関係者から注目を集めており、王立法院
長は8月3日、美国のヘリテージ財団の招きを受け同地で講演を行い帰台後、ただちに対
日国会外交を繰り広げることになった。

 先ごろ、王立法院長は「今回の訪問では、麻生太郎・自民党幹事長など日本の政界ト
ップクラスの人物と会見を予定しており、台湾は中国大陸との交流を開放したが、台日
関係については従来どおり重視しており、これまでの水準を維持するのみならず、双方
の関係をさらに強化していかなければならない」との考えを示した。

 また、王立法院長は7日、日本訪問への出発に先立ち、桃園国際空港において「今回
の訪日で日本側に台湾政府の基本的立場を明確に説明することで、日本側のこれまでの
すべての懸念が払拭されるものと信じている。対日関係は従来どおり伝統的な友好関係
を維持できるものであり、問題はなくなるはずである。事実を明確に説明すれば、日本
側は必ず理解するはずであり、これは現在最も重要なことである」と強調した。

 さらに「私は『府院党5人小組(ほか、馬英九総統、蕭万長副総統、劉兆玄行政院長、
呉伯雄中国国民党主席で構成)』の一員として、出発前にこの訪日のことについて話し
合い、日本が台湾に対する懸念をすみやかに払拭できるよう全員が希望した」と説明し
た。

 そのほか、巷間言われている馬総統が「反日親中」であるのかについて、王立法院長
は「馬総統は先ごろ来台した日本の国会議員と会見した時、それについて説明し明確に
している。同議員各位が帰国後、日本の各界に馬総統の方針や政策を伝えてくれている
はずだ」と述べた。

 続けて「今回の訪日期間中、日本の衆議院および参議院議長ならびに国会議員の重鎮
に面会を予定しており、日本の政党指導者ならびに政府トップと会見する機会を利用し、
日本側に台湾の基本的立場を明確に説明し、理解し安心してもらうようにする。台日は
本来、相互に助け合い、依存し合っており、伝統的な友好関係はより深める必要があり、
双方の信頼を確固として構築することにより、対日関係はより密接になるのであり、こ
れが努力目標である」との考えを示した。