烏来の「高砂義勇隊慰霊碑」問題が全面解決へ

一昨年2月、台湾の「中国時報」による悪質なニセ報道をきっかけに勃発した「高砂
義勇隊慰霊碑封鎖問題」が、昨日行われた公開協議において、台北県政府側が記念碑封
鎖を解除し、撤去した石碑をすべて元に戻すことで全面的に解決するメドが立った。9
月には施工に入る予定だという。

 折しも、訪台していた第9回台湾李登輝学校研修団が5月24日に講師の馬薩道輝先生た
ちと烏来を訪問し、高砂義勇隊慰霊碑を管理運営している「烏来郷高砂義勇隊記念協会」
の簡福源理事長やマカイ・リムイ総幹事(亡くなった周麗梅さんのご子息)らと懇談、
すでにこのような見通しを聞いていた。

 何はともあれ、素直に喜びたい。これもまた馬英九政権の対日関係を配慮した一つの
施策と受け止めるべきだろう。                     (編集部)


「高砂義勇兵」記念碑封鎖で公開協議
【5月30日 産経新聞】

【烏来(台湾北部)=長谷川周人】台北県烏来郷の公園内に設置された台湾先住民出身
の元日本兵「高砂義勇兵」の戦没者らを祭る記念碑が2006年2月、地元当局によって封
鎖された問題で、県側は29日、地元と初の公開協議を行った。この中で一帯の拡張工事
を行った上で記念碑の封鎖を解除し、撤去した石碑も元の場所に全面返還することで両
者は最終合意した。作業は終わる予定で、問題は3年ぶりに全面解決する見通しがついた。

 県側は同日、記念碑一帯に新たに900万台湾元(約3000万円)と投じる工事計画の概
要を発表し、記念碑を歴史的な観光資源として活用していく方針を説明。日本語の碑文
には中国語、英語、先住民語による訳文をつけ、9月には施工に入るという。

 再建後の管理権は土地所有者の県側に移るが、観光客の案内業務など運営は地元に委
託される方向だ。県はまた記念碑を指定観光地とする計画でという。

 16年前に建立された記念碑は、敷地を提供した観光会社の倒産で存続の危機に陥った。
これを報じた産経新聞の記事がきっかけとなり、記念碑を「日台友好のきずな」として
存続を求める読者らから3000万円を超える義援金が寄せられ、2006年2月、現在の県有
地に移設された。

 だが、移設直後に台湾メディアが碑文を誤訳して報じ、これを下に県側は「日本の軍
国主義をあおっている」と決めつけ、問題は一気に政治化。中国国民党出身の新任県長
(知事)は石碑を強制撤去し、記念碑を封印した。これに対し、地元側は同年4月処分
取り消しを求める訴願を内政部(内務省)に提出、昨年3月には高等行政裁判所に行政
訴訟を起こした。

 しかし「烏来郷高砂義勇隊記念協会」のマカイ・リムイ総幹事は29日、訴訟取り下げ
を検討する考えを示し、「ようやく日本から送られた善意に応えられる。訳文などの公
正性が保たれるよう県との交渉は続くが、問題は大きな山を越えた」と話している。



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