金沢出身の八田與一が台湾・台南に建設した東洋一(当時)の烏山頭ダムは昭和5
年(1930年)に完成している。
これによって台湾第2の嘉南平野は沃野に変わり、台南の人々は喜んだ。潤ったのは
土地ばかりでなく、日本と台湾の関係にも及んだ。台湾の人々は毎年、命日とされる5
月8日に烏山頭ダムの畔に立つ八田の銅像の前で墓前際を開き、多くの日本人も参加し
て交流を続けている。八田與一が日台交流のシンボルとされる所以である。
何と、最近、烏山頭ダムを工事している様子が写された20分ほどの映像が見つかった
という。八田の122回目の誕生日である2月21日(木)、「金沢ふるさと偉人館」3階に
おいて、午後2時から始まる「八田與一百二十二年生誕祭」の中で公開される。
入場料は無料だという。お近くの方は、ぜひお越しください。 (編集部)
■日 時 2008年2月21日(木)午後2時〜5時
■会 場 金沢ふるさと偉人館 3階(約100名収容)
■入場料 無料
■金沢ふるさと偉人館
〒920-0993 金沢市下本多町6-18-4 TEL(076)220-2474 FAX(076)220-2197
ijinkan@city.kanazawa.ishikawa.jp
http://www.city.kanazawa.ishikawa.jp/bunho/ijin/index.htm
烏山頭ダム工事の映像 金沢、生誕祭で初公開
【2月9日 北國新聞】
金沢市出身の八田與一技師が、日本統治時代に台湾南部で建設した烏山頭(うざんと
う)ダム工事の作業風景を収めた映像が見つかり、八日までに同市の金沢ふるさと偉人
館が確認した。工事の様子を収めた映像が見つかったのは初めてで、同館は二十一日の
「八田與一百二十二年生誕祭」(北國新聞社後援)で映像を公開し、功績をたたえる。
映像は「幸福の農民」というタイトルで、約二十分間。撮影は「台湾教育会」となっ
ている。烏山頭ダムの基礎部分の工事などが収録され、汽車が煙を上げて走り、ダム工
事に使うために運び込まれた土砂が荷台から勢いよく落ちる場面など、当時の様子が生
き生きと伝わってくる。
収録日時は不明だが、同館は、八田技師が手掛けた烏山頭ダムと水路網で構成される
かんがい施設「嘉南大(かなんたい)しゅう」が一九三〇(昭和五)年に完成している
ことから、大正末期から昭和初期にかけて撮影されたとみている。音声はなく、現在の
ところ、八田技師の姿は確認できていないという。
映像は、八田技師を題材にした長編アニメーション映画を製作中の虫プロダクション
(東京)からふるさと偉人館が借り受け、確認した。映画は今夏公開予定で、製作費一
億五千万円を投じ、アニメ版「鉄腕アトム」などを手掛けた石黒昇氏が監督を務める。
同館は八田技師の百二十二回目の誕生日にあたる二十一日の生誕祭で映像を公開する。
アニメの原作者である財団法人全国建設研修センター(東京)の緒方英樹氏による記念
講演やダム工事の写真展を開き、台湾政府から八田技師に贈られた褒賞も披露する。
松田章一館長は「映像が残っていたことに驚いている。製作中のアニメ映画も見ごた
えのあるものになるだろう」と話している。