来日中の柯文哲・総統選候補がNHKのインタビューに「総統に当選すれば、3者の高官による安全保障対話を定期的に行いたい」旨を述べたそうだ。その言やよし、である。
柯氏は「李登輝政権時代には月に1回ほどのペースでアメリカと日本と台湾の高官が安全保障についての対話を行っていた」ことを紹介した上で、「米日台の対話の枠組みは非常に重要」という指摘をしたという。
李登輝政権時代の日米台の安全保障対話は「明徳プロジェクト」と呼ばれる秘密会合で、米国からはリチャード・アーミテージ、日本からは森喜朗、椎名素夫、台湾からは謝長廷、蔡英文などが参加していたと言われるが、馬英九政権になって中止されたという。
柯氏は産経新聞のインタビューでも「李登輝元総統は以前、私に『日米台のハイレベル安保対話をやらなければだめだ』といったことがあった。私への政治的遺言だと考えている。それを推進したい」と述べている。
日本では李登輝元総統の言が受け入れられやすいことも織り込んでの発言だと思われるが、それを差し引いても、日米台によるハイレベルの安全保障対話が重要であることは多言を要しまい。
すでに、台湾の蔡英文総統からは、2019年3月に産経新聞のインタビューを通じ、日本政府に安全保障問題やサイバー攻撃に関する対話を求める意向が表明されている。蔡総統は「台湾と日本の間の安全保障は実務上の協力を極めて必要としている」「日本側が法律上の障害を克服し、われわれと相互協力や、有効な情報交換の機会を持つことができるのを期待している」と述べたが、当時の菅義偉・官房長官も河野太郎・外務大臣も、日本政府の「台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していく」という従来の立場を述べるだけだった。
—————————————————————————————–台湾 野党 民衆党 柯文哲氏「米日台高官による安保対話を」【NHKニュース:2023年6月7日】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230607/k10014092541000.html
来年1月の台湾総統選挙に立候補を予定している、前の台北市長で野党・民衆党のトップの柯文哲主席がNHKのインタビューに応じ、総統に当選すれば、アメリカと日本と台湾の高官による安全保障対話を定期的に行いたいという考えを示しました。
柯文哲氏は、来年の台湾総統選挙に向けて、与党・民進党、最大野党・国民党の候補者と並ぶ第3の勢力として注目されています。
柯氏は、今月4日から日本を訪れていて、麻生元総理大臣や野田元総理大臣をはじめとする与野党の国会議員と台湾海峡情勢について意見交換するなどしていて、7日、NHKのインタビューに応じました。
この中で柯氏は、李登輝政権時代には月に1回ほどのペースでアメリカと日本と台湾の高官が安全保障についての対話を行っていたと指摘し、「米日台の対話の枠組みは非常に重要だ。特に台湾と日本はもっと緊密につながるべきだ。台湾と日本に共通認識があればアメリカと共通認識を持つことも容易になる」として、総統に当選すれば、3者の高官による安全保障対話を定期的に行いたいという考えを示しました。
また、台湾も領有権を主張している沖縄県の尖閣諸島については「一般に台湾の人たちはこの土地が欲しいというわけではなく、そこで漁業ができればいいだけで、それなら日本と意見の一致をみられるはずだ。争いのない部分を先に解決し、争いのある部分はあとで処理する」と述べ、周辺の海域で台湾の漁船が今よりも操業しやすくなるよう、日本に一層の対応を求めました。
一方、中国との関係については「つきあいをしないのは口げんかをするよりもっと恐ろしい」と述べ、民進党政権のもとで途絶えている中国との公的な対話を再開する必要性を強調しました。
そのうえで「台湾人は政治制度と生活スタイルを自分で決めたい。これが侵害されないことを最低ラインとして中国と対話する」と述べました。
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