李登輝元総統に関し、7月28日の夜半から出所不明の危篤説が流れ、果ては死亡説まで飛び交いました。昨日の午前中は蔡英文・総統、頼清徳・副総統、蘇貞昌・行政院長という大物3人が入院されている台北栄民総医院にお見舞いに駆けつけたことで、大手通信社がこの見舞いを「病状悪化」と断じて報じたこともあり、混乱に拍車をかけてしまったようです。
出所不明の危篤説は完全なフェイクニュースですが、この大手通信社のニュースはどのように病状が悪化したのかを一言も説明していないのですから、勇み足というより誤報またはフェイクニュースと言ったほうがいいかもしれません。
本誌でもたびたび李登輝元総統が入院されたことをお伝えしてきました。李元総統は今年2月8日夜、牛乳の誤飲により咳が止まらず、吐き気を訴えたことから、掛かり付けの台北栄民総医院(台北市北投区石牌路)に搬送、入院されました。
その後の経過は順調で、2月17日付の中央通信社は「食事や生活リズムなどは全て正常」と伝えるも「肺湿潤があり、肺炎を起こすのを防ぐため、病院で経過観察を続けている。医師からは感染防止策として、面会を断るよう言われているという」と報じています。武漢肺炎が蔓延したため、面会は家族に限定され、その状態はいまも続いています。
2月23日には李登輝基金会の王燕軍・秘書長が会見し「当初の肺浸潤から肺炎に進行したと説明。李氏が心臓病を患っているため、肺炎治療のための強い抗生剤を使うことはできないと説明し、弱い薬で治療を続けていると話した。意識ははっきりしているという」(中央通信社)と伝えられました。
現在も容態は安定し、意識もはっきりされているものの肺炎の状態は続いているそうで、時事通信は「蔡氏が自ら見舞うことにより、李氏が治療中であることをアピールしたものとみられる」と伝えています。
—————————————————————————————–入院中の李登輝氏見舞う=台湾総統【時事通信:2020年7月29日】
【台北時事】台湾総統府は29日、蔡英文総統が同日、台北の病院に入院中の李登輝元総統(97)を見舞ったと発表した。
李氏は体調を崩し今年2月から長期入院しているが、28日夜にインターネットなどで「死亡説」が流れ、報道陣が病院に殺到。蔡氏が自ら見舞うことにより、李氏が治療中であることをアピールしたものとみられる。
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